ドル円は109円手前まで上昇 ドルの高値警戒感も指摘される=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/03/09 03:34
 きょうもNY為替市場ではドル買いが続いており、ドル円は109円手前まで上昇。6日土曜日に米上院が1.9兆ドル規模の追加経済対策の修正案を可決したが、市場では米景気回復とインフレ期待が高まっており、米国債利回りの上昇とともにドルのショートカバーが強まっている。対円での巻き返しも活発化している状況。

 追加経済対策法案は1400ドルの直接給付、失業給付上乗せは週400ドルから300ドルに縮小の一方、給付期間を9月6日までの延長で合意した。ただ、下院の法案に盛り込まれていた最低賃金の15ドルへの引き上げは上院では見送られ、修正案が下院に再送付されている。法案成立はほぼ確実な情勢で、米民主党は失業給付上乗せ措置が期限を迎える3月15日までに法案を成立させたい考え。下院は上院の修正案の採決を9日に行う見通し。

 市場はすでに織り込み済みとなっており、それ自体への反応は限定的となっているが、市場はインフレ期待を強めており、米国債利回りも上昇が続いている。しかし、市場の一部からは、FRBは2022年半ばまで資産購入ペース縮小に動かないとの見方も出ている。追加経済対策は米景気回復を後押しするが、雇用は依然としてパンデミック前の水準を900万人下回っており、FRBは過熱リスクを冒すことをいとわないという。一部は景気回復を恩恵を早期に受けるが、低所得者層など不遇な立場にある人々の改善が確認できるまでは、FRBは景気支援のアクセルから足を離すことはないという。

 また、本日は下げているものの、原油相場の買い戻しも活発化しており、ドル買い戻しは、もうしばらく続くとの見方の一方で、これ以上のドルの上値は限定的としており、ドル指数で1〜2%上昇した後、失速が警戒されるとしている。今年に入ってからのドル高は、昨年までの下降トレンドの大きな転換ではなく、あくまで自律反発の範囲だという。

 ユーロドルは1.18ドル台半ばまで下落。200日線が1.1825ドル付近に来ているが、その水準をうかがう展開が見られている。今週はECB理事会が予定されており、インフレ期待の高まりから国債利回りが急上昇する中で、ECBがどのような姿勢を示して来るか市場の注目が集まっている。

 ECBが本日、3月5日付の債券購入結果を公表し、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による債券購入は純増ベースで週119億ユーロと、前週とほぼ変わらずとなった。そのような中で市場の一部からは、ECBは今週、PEPPの純購入ペースを200億ユーロ以上に拡大して来る可能性があるとの見方も出ている。一方、ECBが利回り急上昇の不安に対応するというシグナルを発して、コミットメントの信頼性を確保したのち、資産購入を購入枠に沿った水準より若干低めに緩めることもできる。しかし、あまりに細かいPEPPのオン/オフの切り替えは逆効果になる可能性があるとも指摘した。

 ポンドドルは1.38ドルちょうど付近まで一時下落。ジョンソン英首相が「英国は人口の3分の1余りがワクチン接種済ませた」と述べた。英当局の発表によると、1回目のワクチン接種人数は2237万人超となっている。各国に先がけてワクチン接種の展開が進んでいる英国だが、為替市場ではドル買い戻しが強まっており、ポンドドルの反応は鈍い。しかし、対ユーロや円ではポンドは堅調な値動きを続けており、ポンド円は一時150.60円付近まで上昇する場面もみられた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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