ドル安優勢もドル円は一時104円台に戻す ただ、上値は依然重い=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/01/20 06:58
 きょうのNY為替市場はリスク選好の雰囲気が広がる中、為替市場はドル安が優勢となった。ただ、ドル円は円安が下支えし、104円台に戻す場面もみられた。104円台前半には強い上値抵抗が観測される中、目先は今月高値の104.40円が意識される。

 きょうは米国債利回りが上昇し、インフレ期待を示すブレークイーブン・レートは10年物で一時2.112%まで上昇し、2018年10月以来の水準まで上昇した。バイデン次期大統領は1.9兆ドル規模の追加経済対策を提案しており、市場のインフレ期待は強い。

 一方、米株が伸び悩んだこともあるが、ドル円は104円台に入ると上値が重くなる。足元の感染拡大は依然として収束の気配を全く見せていないものの、市場は、今後ワクチンの展開が進むにつれて下期の景気回復への期待を強めている。リスク回避のドル需要は減少が期待されている中、ドル円の上値に積極的にはなれないようだ。

 きょうは次期米財務長官に指名されているイエレン前FRB議長の米上院財政委員会での指名公聴会が実施され、「米企業の競争力を上げるためのドル安は望まない」と述べていた。また、財政については「安定させる必要があるが、いまは支援が最優先」としている。中国については最も重要な戦略的競争相手としたうえで、「不公正な慣行に対応する準備がある」と厳しい姿勢を示していた。人権侵害にも言及。

 ただ、市場はある程度、想定範囲内であったこともあり、大きな反応は見られなかった。

 ユーロドルは買い戻しが優勢。前日は1.2055ドル付近まで下落していたが、きょうは一時1.2145ドル付近まで上昇。目先はフィボナッチ38.2%戻しの水準が1.2165ドル付近に来ており意識される。

 ドイツのメルケル首相が2月14日までの都市封鎖を延長することで合意したと伝わっていたが、足元の感染拡大は依然として収束の気配を全く見せていない。しかし市場は、いまの欧州通貨は景気循環通貨に位置付けられており、上昇期待は根強い。ユーロドルはバイデン次期大統領が議会に正式に認可されて以降、調整の動きが続いている。心理的節目の1.20ドルを試しそうな気配も出ているが、その下げの過程でロング・ポジションが増える可能性も指摘されている。

 ポンドドルは堅調な動きが続き、1.36ドル台前半で推移。ただ、一部からは財政支援策が終了すると、英中銀はマイナス金利を選択する可能性があるとの指摘も出ている。一時解雇制度への財政支援が終了するとすぐに失業率が上昇する懸念が強い。政策金利は恐らく実効の下限にはなく、年内に引き下げられマイナスになる可能性があるという。

 今は財政政策が支配的な刺激策であり、これが一旦撤回されると、例え経済が回復しても、特にポンド高が進んでいる場合、インフレ期待は低下する可能性があるという。その点では、量的緩和よりも利下げのほうが効果的だとしている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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