ドル円は104円台前半と本日高値圏での推移=NY為替後半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/12/05 06:05
 NY時間の終盤に入ってドル円は104円台前半と本日高値圏での推移が続いている。きょうのNY為替市場でドルが買い戻されており、ドル円は再び104円台に浮上している。朝方発表になった米雇用統計をきっかけに米国債利回りが急上昇しており、ドル円の買いに繋がっているものと見られる。

 米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が24.5万人増と予想を大きく下回った。労働参加率が低下し、失業率は予想通りに低下していたが、全体的に回復の鈍化傾向が見られている。ただ、逆に冴えない数字が米追加経済対策への期待感に結びついていることや、平均時給が前年比4.4%と高い伸びが依然としてい続いており、これらが来年のインフレ期待を高め、米国債利回りを上昇させているのかもしれない。

 ドル円は一時104.25円付近まで上昇。21日線が控える104.40円付近が目先の上値メドとして意識されそうだが、ドル安期待は依然として根強く、21日線にかけての上値抵抗も強そうだ。21日線を突破できるか、それとも、103円台に再び下落するか注目の展開が見られている。

 ドル買い戻しからユーロドルも伸び悩む展開が見られているが、1.21ドル台はしっかりと維持した。きょうは一時1.2175ドル近辺まで上昇し、2018年以来の高値水準を更新していた。ただ、このところの急ピッチな上昇で高値警戒感も指摘され始めている。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは74台後半に上昇しており、買われ過ぎ感を示す70を優に超えている。一方、ドルのほうも下値期待が根強いものの、さすがに売られ過ぎとの声も出ているようだ。

 来週はECB理事会が予定されており、追加緩和が確実視されているが、今回はマイナス金利の深堀は見送られ、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡大とTLTRO(的を絞った長期リファイナンスオペ)の変更が有力視されている。PEPPの現在の購入枠の上限は1.35兆ユーロだが、これまでの予想を大きく上回る6000億ユーロの購入枠拡大を打ち出すとの声も出ている。ただ、その場合、完全に枠を使い切る必要性もないとのコメントが添えられる可能性があるという。また、期間については現在、少なくとも2021年6月末までとしているが、ECB当局者からは12カ月延長にもオープンとの発言も出ていた。

 これまではECBの追加緩和がユーロ安に繋がるかは未知数と見られていた。しかし、ユーロドルの上昇に過熱感が見られる中で、タイミングや内容によってはユーロの調整が出る可能性も留意されそうだ。

 ポンドドルも伸び悩む動き。英・EUの貿易交渉が大詰めを迎えているが、バルニエEU首席交渉官が「協議を一時中断した」と発表。ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長が明日5日に協議を行うという。バルニエEU首席交渉官とフロスト英交渉官が共同声明を発表しており、「1週間に渡るロンドンでの激しい交渉後、公正競争、統治、漁業権で大きな相違があり、合意の条件には達していないことで本日合意した」と発表した。

 貿易交渉については情報が錯そうしている。英政府からは「EUとの通商交渉は極めて難しい地点にある」とのコメントが出ていた一方で、EU当局者からは「合意は目前に迫っている」との言及も伝わっていた。ただ、市場はいまのところ楽観的なようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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