DeFiカテゴリー:デリバティブ【フィスコ・暗号資産コラム】

配信元:フィスコ
投稿:2020/11/24 12:02
DeFiのサービスではDEX、レンディング、ステーブルコインの3つのカテゴリーの注目度が高いが、複雑な金融取引を可能にする「デリバティブ」も徐々に増えてきた。デリバティブの規模はまだ小さい。DeFi全体の合計ロック資産額(TVL)は約125億ドルであるのに対して、デリバティブのTVLは約7億ドルと全体の10分の1に満たない。現物とデリバティブの取引規模も大きく異なる。Uniswapでの現物取引高が1日当たり約200億円であるのに対して、dYdXでのマージン取引と無期限先物取引の取引高は1日当たり約8.3億円にとどまる。

しかし、既存金融では株式時価総額の75兆ドル、債券時価総額の103兆ドルに対して、デリバティブの時価総額は690兆ドルと、デリバティブの市場規模は現物を大幅に上回る。今後DeFiにおいてもデリバティブ市場が拡大していく可能性は高いだろう。デリバティブ取引を扱うスマートコントラクトは複雑な設計になりやすく、手数料(ガス代)が高くなりやすい。そのため、(スケーラビリティ問題に対するソリューションを提供するレイヤーである)レイヤー2ソリューションを研究・開発している企業と提携し、テストを行うなどの模索も続けられている。

DeFiデリバティブのカテゴリーは主に、(1)マージントレード、(2)先物・オプション、(3)合成トークン、(4)保険、(5)予測市場、の5つに分類される。マージントレードは、トークンに対して2~10倍程度のレバレッジをかけてロング・ショートできる取引機会を提供するものであり、dYdXやbZxなどが提供する。先物・オプションに分類されるのはdYdX、Synthetix、Opynなどであり、dYdXは無期限先物市場、SynthetixやOpynはオプション取引市場を提供している。合成トークンを発行することで、より柔軟に様々な資産へのアクセスを可能にしているのがSynthetixとUMAである(UMAのサービスはまだローンチされていない)。保険とは、DeFiのスマートコントラクト保険を提供するDeFi保険プロバイダーである。スマートコントラクト保険とは、特定のスマートコントラクトのバグに起因する資産紛失イベントに対して適応される保険であり、Nexus Mutual、Yearn Finance、Coverなどが提供している。予測市場とは、イベントに対してスマートコントラクトを介して賭けを行うことができるものであり、Augur、Omenなどが提供している。

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配信元: フィスコ