ドル円は上値期待を高める展開も、信頼感はないとの声も多い=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/10/21 02:21
 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となる中で、ドル円はNY時間に入って伸び悩む動きが見られている。一時105.75円付近まで上昇し、ここ数日、上値抵抗となっていた105.50円の水準を上抜いている。テクニカル的には上値期待を高めそうな展開となっているものの、一方で信頼感はないとの声も多く聞かれる。為替市場はドル売り基調が続く中で、ドル円の上値には限界があるとの指摘も少なくない。

 市場は米追加経済対策の協議の行方に関心が集中している。ペロシ米下院議長が協議の期限として設定した20日となっている。特に報道も伝わっておらず、ムニューシン米財務長官とペロシ議長との会談待ちのようだ。

 もともと市場も、米大統領選前の合意は期待していなかった。双方が再び協議に戻ったことで、関心を集めており、合意できればポジティブ・サプライズになるであろうが、あまり期待はしていないものと思われる。ただ、米大統領選前に合意できなくても、その後にそれなりの対策規模で合意されるものと期待しており、今回は市場も過度に期待はしていないものと見られる。

 目先は下値サポートが105.50円付近、上値は105.80円が意識されている。

 ユーロドルは買いが強まり、1.18ドル台を回復。一時1.1840ドル近辺まで上昇し、21日線を上放れる展開を強めている。大きな心理的節目で、ECBも注目しているとされる、1.20ドルを再び試しそうな気配も出ている。ただ、あくまでドル売りに伴う上げでユーロ自体の強さではなく、欧州各国で感染第2波が拡大する中で、ユーロ圏は景気後退のリスクにさらされているとの指摘も聞かれる。

 第4四半期はドイツはプラス成長が期待されるものの、スペインは恐らくマイナス成長との予測も聞かれる。政府は予想以上に財政支援を打ち出すものの、失業率の上昇を止めることはできず、消費を圧迫するとの見方も出ている。そのため、ユーロ圏では、目標を大幅に下回るインフレが続き、ECBによる緊急資産購入プログラムの拡大も予想されるという。

 ポンドドルは1.29ドル台で上下動。英・EUの貿易交渉が不透明な中で、一時1.2915ドル付近まで下落していたが、ドル売りの流れの中で1.2980ドル台まで戻す場面もみられた。バルニエEU首席交渉官の発言が伝わり「英国との協議に対するわれわれの扉は開かれたままだ」と述べていた一方で、英政府は協議は建設的としているものの、スタンスに変化はないと述べていた。バルニエ交渉官とフロスト交渉官は連絡を取り合っているという。お互い強硬姿勢は崩していないが、交渉は続けているといった状況に変化はないようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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