株高で雰囲気改善の中、ドル円は105円台で上下動=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/09/29 06:10
 きょうのドル円は105円台での下に往って来いの展開が見られている。米株式市場はきょうも大幅高となるなどリスク選好の雰囲気が強まった。そのような中で、為替市場はリスク選好のドル売りが優勢となっているものの、一方で円売りもあり、ドル円は105円台に収まっている状況。

 市場の雰囲気が改善する具体的な材料は見当たらないが、先週のナスダックは4週間ぶりに週足で陽線を描いた。金曜日のダウ平均も序盤は軟調に始まったものの、引けにかけて上げ幅を広げる展開で終わっている。市場は、今月に入ってからの下げはあくまで調整と見ている向きが多い。月末も接近しており、そろそろ調整も一段落するのではとの期待が出ていたのかもしれない。

 日本時間0時のロンドンフィキシングにかけて、ドル買いの動きが見られ、ドル円は105.65円近辺まで戻したものの、フィキシングを通過するとその動きも一服していた。

 東京時間の早朝に105.70円近辺まで上昇して今週は始まったものの、その後に105円台前半まで一時下落するなど、ドル円は上値の重い展開もみられた。心理的節目の105円は維持しているものの、米大統領選や英EU離脱など年末にかけて不安要素も多い中で、ドル円には弱気な見方も多く、上値では戻り売りを推奨する声も少なくない。

 ユーロドルはNY時間にかけて買い戻しの動きが優勢となった。ユーロドルは1.16ドル台前半まで値を落としていたが、NY時間に入って1.1680ドル近辺まで上昇する場面もみられた。きょうはラガルドECB総裁の議会証言が行われ、「ユーロ高はインフレ率を下押しする見込み。ECBはユーロの動きを極めて注意深く監視している」などと述べていたが、これまでと同様の発言ということもあり、ユーロ相場の反応は限定的となっていた。

 ラガルド総裁は「必要に応じ全ての手段を調整する用意がある」と、引き続き、量的緩和(QE)拡大の可能性を示唆した発言を繰り返している。ECBは年内にパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を拡大して来るとの見方が、市場でも有力視されている状況。しかし、この見方に関して一部からは、市場金利とボラティリティが低く、スプレッドがタイトな限り、1.35兆ユーロのPEPPを強化するインセンティブはあまりないとの指摘もあるようだ。

 ポンドドルはNY時間に入って伸び悩む動きが見られており、1.28ドル台半ばで推移。きょうはロンドン時間に買い戻しが強まり、1.29ドル台を回復する場面もみられた。 ポンドドルはきょうの上げで200日線でサポートされた格好となっており、明日以降の動きが注目される。

 英中銀のラムスデン副総裁の発言もポンドの買い戻しを誘った模様。副総裁は「マイナス金利導入は差し迫ってはいない。自身の見方では政策金利の実効下限は依然として現行の0.1%だ」と述べた。この発言を受けて短期金融市場では、英中銀がゼロ金利とする時期は来年6月と5月から後ずれした。一方で、テンレイロ英中銀理事は、マイナス金利の有効性を調査したところ、「有望な証拠が見つかった」とサンデーテレグラフのインタビューに語っていたが、英中銀内でも賛否両論あるのかもしれない。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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