アウトソシング Research Memo(8):20年12月期の業績予想は減額修正も、予想を上回るペースで回復へ

配信元:フィスコ
投稿:2020/09/25 15:48
■業績見通し

1. 2020年12月期の業績予想
2020年12月期の業績予想(IFRS)についてアウトソーシング<2427>は、コロナ禍の影響を踏まえ、2020年5月14日付で期初予想を大きく減額修正した。修正後の業績予想として、売上収益を前期比1.0%増の365,000百万円(修正幅55,000百万円減)、営業利益を同34.8%減の10,000百万円(修正幅11,000百万円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益を同63.5%減の3,000百万円(修正幅8,150百万円減)と微増収ながら減益を見込んでいる。ただ、ロックダウン解除が想定よりも早まったことなどにより、上期業績は修正予想を上回る水準を確保しており、前提条件の一部に差異が生じてきたことには注意が必要である。

売上収益は、上期同様、「国内技術系」と「国内サービス系」が伸長する一方、コロナ禍の影響を踏まえ、「国内製造系」、「海外技術系」、「海外製造系及びサービス系」が減収となり、売上収益全体では微増にとどまる想定となっている。

利益面でも、2020年5月14日時点の見通しに基づき、コロナ禍による減産や工場稼働の停止、ロックダウンに伴う活動制限等の影響を前提として、休業補償費用を含めた固定費負担等により、大幅な減益を想定している。

ただ、既述のとおり、ロックダウンが想定よりも早く解除されたことや、リモート対応の推進、好調分野へのシフトなどにより、足元の業績は修正予想の策定時よりも速いペースで回復に向かっており、特に利益面では上振れる可能性が高くなってきた。したがって、修正前の業績予想の水準にどこまで戻せるかがポイントになるだろう。同社では、コロナ第2波、第3波が発生しても、成長が継続できる仕組みを2020年7月時点で整えており、第4四半期には在籍社員数や受注残高等が修正前予想を達成できる水準にまで回復可能と判断している。また、これまでの積極的なM&Aにより計上されている「のれん」(約564億円)についても、2020年6月末のストレステストによれば減損リスクは極めて低い水準にあるようだ。

弊社では、同社の収益モデルは積み上げ型であることから、上期の下振れ分をカバーした上で、さらに業績の上乗せを図り、修正前の成長軌道に回帰させていくことは簡単ではないとみている。ただ、少なくても2020年7月以降の回復により成長の角度を戻していくことは可能だろう。また、世界経済の先行きに不透明感が高まっていることに変わりはなく、そこは慎重な判断が必要であるが、見方を変えれば、厳しい環境が続くなかで、業界淘汰のチャンスも広がっており、実現すれば、上期の下振れ分をカバーするほどのプラスの効果も期待できるだろう。

2. 2021年12月期業績の考え方
同社は、中期経営計画の2年目に当たる2021年12月期の計数目標として、売上収益4,970億円、営業利益250億円を掲げている。計画策定時には想定していなかったコロナ禍の影響により、これまでの進捗には遅れがみられるものの、現時点で計画の見直しはない。足元業績が回復に向かっていることに加え、今後の「ニューノーマル」に対応するビジネスモデルの変革や業界淘汰等のアドバンテージを取ることで、十分に挽回可能であると考えている。弊社では、前述のとおり、これまでの下振れ分をカバーし、さらに計画線に乗せていくためには、業界淘汰の取り込みがポイントになるものとみている。いずれにしても、2020年12月期の後半に向けてどこまで計画線に戻すことができるかが、2021年12月期以降の業績を判断するうえでも重要なマイルストーン(道標)になるとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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