コーセー、個々人のストレス耐性を判別する評価法を開発 ~第22回日本感性工学会大会にて優秀発表賞を受賞~

配信元:PR TIMES
投稿:2020/09/25 13:47

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、文京学院大学(本部:東京都文京区) 人間学部 長野祐一郎准教授との共同研究により、ストレスに対する皮膚温応答性を利用し、短時間で簡便にストレス耐性を判別する評価法を開発しました。この研究成果を第22回日本感性工学会大会(2020年9月9-11日、オンライン開催)にて発表し、優秀発表賞※1を受賞しました。


図1 皮膚温測定装置
 図2 皮膚温のストレス応答性(全被験者平均)
                
研究の概要
タイトル 皮膚温応答性を用いたストレス耐性評価の試み -アロスタシス理論に基づく分析-
発表者 株式会社コーセー 美容開発部 渡邉梨奈
 ストレス社会といわれる現代ですが、ストレスは目に見えず、また個人差があります。過度なストレスによって心身の健康を損なうこともあるため、事前に各個人のストレスに対する反応を正しく把握し、適切な対処をすることが重要です。本研究では、ストレス耐性の高い人は、ストレス負荷に対して適切に応答し、ストレス負荷後は速やかに回復するというアロスタシス理論※2に基づく仮説をもとに、ストレス耐性を客観的かつ短時間で簡便に測定する評価方法を検討しました。
 実験は、被験者 20~60代の女性62名に、ストレスに対する応答性指標として指先の皮膚温変化※3(図1)を評価し、ストレス負荷(計算課題)を2分、リラックス(回復期)1分、計3分間の試験を実施し、1秒毎の皮膚温変化を計測しました(図2)。
 さらに、ストレス耐性に関連する被験者の心理的要因として、人格特性※4および数日間の主観的なストレス状態※5の調査を実施し、皮膚温のストレス応答性との関係性についての解析を行いました。

研究の成果 皮膚温のストレス応答性の違いにより、個々人のストレス耐性を判別する方法を開発心理的要因との関連も示唆~


図3 心理的要因から裏付けられたストレス耐性と皮膚温応答性の関係
 試験の結果、ストレス負荷期に皮膚温が下降して回復期に上昇するデータが得られ、3分間という短時間の中でストレス負荷および回復の双方の応答を捉えることができました(図2)。
 得られた結果から、ストレス負荷期(前期・後期)、回復期の計3区間について、皮膚温変化量および平均皮膚温を6つの評価指標に換算した値と、人格特性、および主観的ストレス状態をそれぞれ変数として分散分析および多重比較検定を行ったところ、皮膚温変化量の結果は、「人格特性の開放性」、「誠実性」、「主観的ストレス状態の集中力」に関する質問の回答結果との関連が見られました。一方、平均皮膚温では、「人格特性の神経症傾向」、「主観的ストレス状態の社会的活動障害」に関する質問回答に関連が見られました。
 これらの解析により、アロスタシス理論に基づく仮説通り、ストレスに対する負荷前期および回復期の皮膚温の応答性が高い人はストレス耐性が高いことが明らかとなりました。さらに、皮膚温のストレス応答性タイプの違いにより、急性ストレスだけでなく慢性ストレスについても判別でき、心理的要因の特性分析にまで応用できる可能性が示唆されました(図3)。

今後の展望  一人ひとりストレス耐性タイプに応じた美容サービスの提案
 本研究の成果によって、短時間で簡便に個々人のストレス耐性を判別する評価法が開発されました。ストレス耐性のタイプは、肌の状態や生活習慣などについても影響する可能性が考えられます。今後、ストレス耐性のタイプに応じた心身へのお手入れ提案など、肌の状態だけでなく、お客さま自身も気づいていない心の変化にも寄り添う美容提案やカウンセリングサービスの提供に繋げていきます。

※1日本感性工学会:
1998年10月9日に設立された学会。感性をテーマに、科学から心理学や哲学まで幅広く多様な学問領域の研究活動が行われています。年に1回大会を開催しており、優秀発表賞は、大会での発表の中から、予行原稿による事前審査および口頭発表による実審査の結果に従い、優秀な発表を行った若手会員を推奨する賞です。

※2アロスタシス理論:
動的適応性。近年、ストレスに対する生体内の恒常性維持を説明する上で、ホメオスタシス(生体恒常性)に変わり着目されています。
この理論に基づくと、ストレス負荷に対して適切に応答し、ストレス負荷後は速やかに回復することが、ストレス耐性の高さであると考えられます。

※3指先の皮膚温:
緊張したり、不安になったり、ストレスがかかると手先が冷たくなることがあります。これは、自律神経の交感神経の働きが活発になったことによる影響です。急性ストレスに対するストレス反応を評価する研究に数多く用いられています。

※4人格特性:
NEO-PI-R人格検査 (BIG5 Personality Inventory)を用いて調査。
健康な成人の人格特性の5つの主要な次元(N:神経症傾向、E:外向性O:開放性、A:調和性、C:誠実性)を測るための尺度。
各次元はさらに6つの下位次元から構成されており、人格の測定に用いられます。

※5数日間の主観的なストレス状態:
GHQ60精神健康調査票 (The General Health Questionnaire)を用いて調査。
神経症者の症状把握、評価および発見に有効なスクリーニング検査に用いられます。直近の健康状態で4要素(身体的症状、不安と不眠、うつ傾向、社会的活動障害)の傾向がわかります。
配信元: PR TIMES

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