■ランドコンピュータ<3924>の今後の見通し
2. 新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた対応とニューノーマル
「今変われない企業に未来はない」とは、昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授である白河桃子(しらかわとうこ)氏の言葉だが、Society5.0やDXが取り沙汰されている時代に、昭和的・アナログ的経営を継続しようする企業に明日はない、という意味合いを持つ。人口ボーナス期は、均一の条件で男性中心の長時間労働が経営の前提となっていたが、現在は生産年齢人口が減少する人口オーナス期に入っており、多様な条件の人が男女ともになるべく短時間で働くという認識に変わった。人口ボーナス期の成功体験にとらわれている企業は、事業環境の変化に対応できない。同様に、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に改革を実行できるかが、今後の企業の明暗を分けることになるだろう。
● テレワークへの取り組み
政府は、2020年4月7日に「緊急事態宣言」を発令し、「出勤7割減」と「人との接触8割減」を要望した。これに対応して、同社も全社員を対象に原則としてテレワーク等による在宅勤務を実施し、顧客対応では客先訪問を原則中止、メール・電話会議・Web会議などに切り替えた。緊急事態宣言の解除後の在宅勤務の割合は60%程度となっている。
同社の売上高の約半分を占める主要顧客である富士通グループと日立グループは、新型コロナウイルス感染症拡大を契機にテレワークを常態化させ、経営の仕組みを変えている。日立製作所は、緊急事態宣言後も全社員の7割を対象に週2~3日は在宅勤務とする方針を発表した。富士通は、国内で働く約8万人の社員の働き方を抜本的に見直しており、社員のアンケート調査では、約8割の社員が目的や状況に応じて場所を選ぶ働き方の継続を希望した。今後、オフィス出勤率を最大25%に抑制し、3年後を目途に既存のオフィススペースを半減させる計画を発表している。なお、サテライトオフィスなどへの投資が必要となるが、オフィスビルの賃借料減少により約3年で回収可能と試算している。また、客先常駐開発がネックとなるが、これも新業態への対応を検討している。
2020年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック開催時の交通機関の混雑緩和のため、東京都は2017年より「テレワーク・デイ」を定め、企業に向けてテレワーク実行を呼びかけてきた。新型コロナウイルス感染症拡大により、テレワークの導入が推奨から原則に変わり、対象がすべての企業へと広がった。内閣府の調査によると、テレワークの経験者は全国の34.6%に対し、東京23区が55.5%と高く、うち9割がテレワークの継続を希望した。一方で、従業員の希望に反して、緊急事態宣言の解除後に以前の原則出社に戻した企業が多い。ただし、事業所内での濃厚接触によるクラスターの発生を防ぐため、ソーシャルディスタンスや接触時間の制限などの措置並びに事業所内での接触者の記録を取ることが求められる。また、感染者が出れば、その事業所が部分的もしくは全面的に一時閉鎖されるリスクがある。従業員や取引先など関係者の安全と健康だけでなく、BCP(事業継続計画)の観点から働き方を考慮することが必要となったと言えよう。
(社)情報サービス産業協会は、「情報サービス業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」として、自らの感染予防対策にとどまらず、テレワークやリモートサービスの基盤整備、さらにはデジタル化とデータ活用の加速に向け、社会インフラ事業者として積極的に貢献することを表明した。情報サービス業にかかるすべての対面型・集合型業務をいかにデジタル化によって非接触型に移していくかが、最重要ポイントとしている。業務に携わるすべての関係者、元請と下請が一体となって感染予防に取り組まないと、プロジェクト遅延という事態に発展するおそれがある。客先常駐という開発形態でも、同様のリスクがある。緊急事態宣言下の一時的装置ではなく、ニューノーマルにおける日常業務への新型コロナウイルス感染症対策の組み込みが、情報サービス企業のチェックポイントとなっている。
なお政府は、2020年6月の規制改革推進会議において、企業が在宅勤務やテレワークをする人材を評価する新たな手法を確立するよう提言した。雇用関係の規制や年功序列型賃金など従来型の雇用制度・慣行を見直し、賃金・雇用体系の改革を促している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2. 新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた対応とニューノーマル
「今変われない企業に未来はない」とは、昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授である白河桃子(しらかわとうこ)氏の言葉だが、Society5.0やDXが取り沙汰されている時代に、昭和的・アナログ的経営を継続しようする企業に明日はない、という意味合いを持つ。人口ボーナス期は、均一の条件で男性中心の長時間労働が経営の前提となっていたが、現在は生産年齢人口が減少する人口オーナス期に入っており、多様な条件の人が男女ともになるべく短時間で働くという認識に変わった。人口ボーナス期の成功体験にとらわれている企業は、事業環境の変化に対応できない。同様に、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に改革を実行できるかが、今後の企業の明暗を分けることになるだろう。
● テレワークへの取り組み
政府は、2020年4月7日に「緊急事態宣言」を発令し、「出勤7割減」と「人との接触8割減」を要望した。これに対応して、同社も全社員を対象に原則としてテレワーク等による在宅勤務を実施し、顧客対応では客先訪問を原則中止、メール・電話会議・Web会議などに切り替えた。緊急事態宣言の解除後の在宅勤務の割合は60%程度となっている。
同社の売上高の約半分を占める主要顧客である富士通グループと日立グループは、新型コロナウイルス感染症拡大を契機にテレワークを常態化させ、経営の仕組みを変えている。日立製作所は、緊急事態宣言後も全社員の7割を対象に週2~3日は在宅勤務とする方針を発表した。富士通は、国内で働く約8万人の社員の働き方を抜本的に見直しており、社員のアンケート調査では、約8割の社員が目的や状況に応じて場所を選ぶ働き方の継続を希望した。今後、オフィス出勤率を最大25%に抑制し、3年後を目途に既存のオフィススペースを半減させる計画を発表している。なお、サテライトオフィスなどへの投資が必要となるが、オフィスビルの賃借料減少により約3年で回収可能と試算している。また、客先常駐開発がネックとなるが、これも新業態への対応を検討している。
2020年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック開催時の交通機関の混雑緩和のため、東京都は2017年より「テレワーク・デイ」を定め、企業に向けてテレワーク実行を呼びかけてきた。新型コロナウイルス感染症拡大により、テレワークの導入が推奨から原則に変わり、対象がすべての企業へと広がった。内閣府の調査によると、テレワークの経験者は全国の34.6%に対し、東京23区が55.5%と高く、うち9割がテレワークの継続を希望した。一方で、従業員の希望に反して、緊急事態宣言の解除後に以前の原則出社に戻した企業が多い。ただし、事業所内での濃厚接触によるクラスターの発生を防ぐため、ソーシャルディスタンスや接触時間の制限などの措置並びに事業所内での接触者の記録を取ることが求められる。また、感染者が出れば、その事業所が部分的もしくは全面的に一時閉鎖されるリスクがある。従業員や取引先など関係者の安全と健康だけでなく、BCP(事業継続計画)の観点から働き方を考慮することが必要となったと言えよう。
(社)情報サービス産業協会は、「情報サービス業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」として、自らの感染予防対策にとどまらず、テレワークやリモートサービスの基盤整備、さらにはデジタル化とデータ活用の加速に向け、社会インフラ事業者として積極的に貢献することを表明した。情報サービス業にかかるすべての対面型・集合型業務をいかにデジタル化によって非接触型に移していくかが、最重要ポイントとしている。業務に携わるすべての関係者、元請と下請が一体となって感染予防に取り組まないと、プロジェクト遅延という事態に発展するおそれがある。客先常駐という開発形態でも、同様のリスクがある。緊急事態宣言下の一時的装置ではなく、ニューノーマルにおける日常業務への新型コロナウイルス感染症対策の組み込みが、情報サービス企業のチェックポイントとなっている。
なお政府は、2020年6月の規制改革推進会議において、企業が在宅勤務やテレワークをする人材を評価する新たな手法を確立するよう提言した。雇用関係の規制や年功序列型賃金など従来型の雇用制度・慣行を見直し、賃金・雇用体系の改革を促している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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