飯野海運---1Qは営業利益が大幅増、主力のケミカルタンカーが好調

配信元:フィスコ
投稿:2020/08/12 09:21
飯野海運<9119>は7日、2021年3月期第1四半期(20年4-6月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比4.9%減の218.75億円、営業利益が同723.0%増の26.30億円、経常利益が27.85億円(前年同期は0.17億円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が30.21億円(前年同期は3.02億円の損失)となった。

外航海運業の売上高は前年同期比0.5%減の172.40億円、営業利益は16.69億円(前年同期は3.06億円の損失)となった。大型原油タンカーは、支配船腹を長期契約に継続投入することで、安定収益を確保した。ケミカルタンカーは、基幹航路である中東域から欧州向け及びアジア向けの数量輸送契約に加え、北アフリカからの燐酸液や好採算のスポット貨物を積極的に取り込むことにより運航採算が大きく改善した。米国オペレーターとの合弁事業も、数量輸送契約やスポット貨物の集荷により効率的な配船に努め採算は改善した。大型ガス船は、LPG船及びLNG船共に、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保した。また、新たに締結した定期用船契約向けに、サステナビリティへの取り組みの一環として、従来の重油だけでなくLPGを推進燃料にできる自社初のLPG2元燃料主機関を搭載する大型LPG船を発注した。ドライバルク船は、市況が軟調に推移する中、契約貨物への投入を中心に効率的な配船と運航に努めたが、感染症の世界的な拡大によるスポット市況軟化の影響を避けることはできなかった。

内航・近海海運業の売上高は前年同期比10.3%減の20.67億円、営業利益は同37.1%減の0.59億円となった。内航ガス輸送は、感染症の拡大に伴うLPG需要の低下と石油化学ガス出荷プラントの定期修繕並びに設備検査等による出荷量減少の影響を受けたが、中長期契約に基づく安定的な売上確保と効率配船に取り組んだ。近海ガス輸送はプラントの定期修繕等によって稼働が減少した影響を完全に避けることはできなかったが、自社の安定運航への評価を得た結果、定期用船契約更改時において市況下落の影響を軽減化し、安定した貸船料収入を維持できた。

不動産業の売上高は前年同期比23.7%減の25.99億円、営業利益は同69.7%増の9.02億円となった。自社所有ビルは、商業テナントの営業に感染症の影響は出たが、事務所テナントは順調な稼働を継続し、安定した収益を維持できた。新橋田村町地区市街地再開発事業では、施工会社による工事の中断が一時あったが、既に新築建物の鉄骨建方工事を再開しており、現在のところ2021年6月末の竣工を予定している。自社グループのイイノホール&カンファレンスセンターは、感染症拡大による緊急事態宣言発令及びイベントの自粛要請を受け臨時休館したことにより、収益に大きな影響を受けた。フォトスタジオ事業を運営する(株)イイノ・メディアプロは、広告需要の減少と感染症拡大防止を目的とした営業自粛の影響により、収益が大きく減少した。英国ロンドンの不動産事業は、3月に同地で都市封鎖が開始され商業テナントは休業となったが、本物件の保有子会社は12月31日を決算日としており都市封鎖以前の損益が合算されたため、当第1四半期連結会計期間は収益増加に寄与した。

当第1四半期連結累計期間の業績は、主力のケミカルタンカーを中心に前回発表時の前提と比して海運市況が大幅に上昇したこと等から当初の予想を大きく上回った。また、足元の海運市況も前回発表時の前提と比較すると高水準である。一方で、感染症は現在も世界的な拡大を続けており、収束時期については不透明感を一層強めているため、2021年3月期通期連結業績予想においては2020年10月以降も当期末まで感染症の影響が継続するという前提で見直しを行った。売上高が前期比2.4%減の870.00億円、営業利益が同13.2%増の45.00億円、経常利益が同30.2%増の45.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が18.8%増の45.00億円と修正した。


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