ドル円は下値模索が続く 105.70円付近に下落=NY為替後半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/08/05 04:33
 NY時間の終盤に入ってドル円は再び下値模索の動きが出ており、105.70円付近まで下落している。きょうのNY為替市場はNY時間に入ってドル売りが優勢となり、ドル円は再び105円台に下落した。原油や金といった商品相場が上昇しているほか、TikTokを巡って米中対立がエスカレートを見せる中でも米株が底堅く推移しており、従来のリスク選好のドル売りが出ているのかもしれない。米国債利回りが低下していることもドル売りを誘発しているようだ。

 ドル円は106.20円付近まで上昇していたものの、NY時間に入って戻り売りが強まり、ストップを巻き込んで105円台に下落。

 米中対立については、人気動画アプリ「TikTok」を巡り、トランプ大統領が9月15日までにTikTokの米事業を売却するよう要請しており、それができなければ、営業停止にするとしている。マイクロソフトが買収交渉に乗り出しているが、中国政府はマイクロソフトによる買収を受け入れず、売却を余儀なくされた場合は米国に対して対抗措置を取る可能性があると伝わっていた。

 また、米追加経済対策を巡って米議会での与野党の協議がなお難航している。ただ、市場の反応は比較的落ち着いており、法案の進展を待っている状況のようだ。

 前日は21日線に接近する場面もみられたものの、上抜けることなく伸び悩んでいる。本日の21日線は106.50円付近に来ているが、根強いドル安期待の中で、その水準での上値抵抗は強いようだ。

 ユーロドルは買い戻しが強まり、1.18ドル付近まで戻している。ただ、調整の流れは続いており、NY時間の朝方には一時1.1720ドル付近に下落し、調整の雰囲気は続いている。

 調整の流れの中で一部からは、下値では押し目買いを推奨する声も聞かれる。ユーロドルは8月にこれまでの上昇を修正する可能性はあるものの、米国はユーロ圏よりも感染第2波の打撃を受けており、中期的には底堅い推移が続くとの見方を示している。2020/2021年のGDPの落ち込みもユーロ圏は米国ほどではないと予想しているようで、その見方が広く支持されれば、ユーロの強いフォローとなると見ている模様。

 ポンドドルは一時1.30ドルを割り込む場面も見られたが、NY時間に入って1.30ドル台半ばに戻す展開。1.30ドルを完全にブレイクするようであれば、1.28ドル台までの下げも警戒されるが、きょうのところは深押しすることもなく1.30ドル台を維持している。

 今週は木曜日に英中銀金融政策委員会(MPC)を控えており、据え置きが確実視されているものの、市場の注目度は高い。今回のMPCは経済見通しが公表され、ベイリー英中銀総裁の会見も予定されているが、それらをきっかけに、金融緩和とEUとの貿易交渉の不確実性から、ポンドは下向きの圧力に直面しているという見方を強める可能性があるとの指摘も聞かれる。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

配信元: みんかぶ(FX/為替)