ドル買い戻し強まり、ドル円は106円近辺に急上昇 続かないとの見方も根強い=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/08/01 01:40
 きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが強まっており、ドル円は106円近辺まで急上昇している。きょうは一時104円台前半まで下落し、安値から200ポイント近く切り返している格好。ドル買いの直接的な材料は見当たらないものの、月末ということや、感染第2波の中での夏休みシーズンに入りということもあり、ドルショートの整理が活発化しているのかもしれない。ストップを巻き込んでショートカバーが活発に出ているようだ。

 今週発表の第2四半期の米GDPが過去最悪のマイナス成長になり、米国内で感染第2波の拡大が依然として収束しない中で、市場は、米経済は期待ほど早期の回復はないのではとの不安が強まっている。前日発表になった大手IT・ハイテク企業の決算は、逆にパンデミックの恩恵もあって最高益の企業も出ていたが、全体的な雰囲気の改善にはつながっていない。

 そのような中で為替市場はドル売りが強まり、ドル円も心理的節目の105円を割り込んだが、さすがに過熱感も出ており、月末のドレッシング買いが出ているのかもしれない。一時的なドル買いと見ている向きは多いようだ。

 ドルの買い戻しが活発化する中、ユーロドルは戻り売りが強まっている。ロンドン時間の早朝には1.19ドル台に再び上昇していたが、その後は戻り売りが続き、1.17ドル台まで急速に下落。

 これまで買いの勢いが加速していたユーロドルだが、1.20ドルを上回った場合はECBが何らかのアクションをとる可能性もあるとの指摘も聞かれる。ECBはユーロ圏経済へのディスインフレの影響を考慮すると、最近のユーロ上昇は無視できないだろうという。ただ、ユーロ圏は、GDPに占める経常収支が2.8%の黒字であるのに対し、米国は2.1%の赤字を抱えているため、ユーロ安は難しいという。米政府が11月の米大統領選挙に向けてドル高誘導を取ることはまずないものと思われ、ECBがユーロ高に苦言を呈したとしても、簡単にはドル高・ユーロ安の流れには戻らないとも述べている。

 ドル買い戻しの中でもポンドドルは底堅い動きが継続していたが、NY時間の昼になって戻り売りも見られている。1.31ドル台半ばまで上昇していたが、1.30ドル台に伸び悩む動き。

 来週は英中銀金融政策委員会(MPC)が行われる。四半期インフレ報告も公表され、経済見通しが公表されるものと思われるが、一部からは2020年の成長見通しは上方修正される一方で失業率とインフレ見通しは下方修正されるとの予想も出ている。政策自体は据え置きが確実視されているものの、将来的なマイナス金利導入の可能性にはオープンの姿勢を示してくるとの見方も出ているようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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