◎〔週間外為見通し〕ミセスワタナベ「ドル円逆張り買い」正念場=岡三オン証・武部氏

配信元:時事通信社
投稿:2020/07/31 16:02
 武部力也・岡三オンライン証券投資情報部長兼シニアストラテジスト=「Buy American(米国製品を購入せよ)」−。これは米国が掲げる自国製品優先購入政策だ。米連邦政府が物資の購入契約や公共建設の委託契約を締結する場合、原則として米国製品の購入、または米国製資材の使用が連邦政府に義務付けられている。11月の米大統領選挙まで残り3カ月。民主党候補のバイデン前副大統領は経済再生計画の要旨を先日発表し、米国を「Build Back Better(より良く立て直す)」との選挙対策フレーズを掲げた。“Buy American”を軸に中間層を支えていく姿勢を鮮明にしており、現職トランプ大統領の掲げた‘America First(米国第一主義)’、2017年の大型減税政策や規制緩和と一線を画したとの見方だ。大統領選挙の主な争点は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済と雇用の停滞、そして人種問題だとした報道が伝わるが、筆者が危惧するのは1点。それはバイデン候補の“Buy American”が国内産業基盤の強化をもって米経済の回復推進とする策だ。これは視点を変えた保護主義の拡張とも言え、米国経済圏ブロックの構築、国内調達コストの上昇、海外企業の米国投資意欲を萎縮させる可能性が指摘されている。立て直すどころか米経済の回復力を鈍化させる危険すらあるのだ。有権者向けスローガンとしては評価されやすいが既存制度の強化であり、対日貿易協定の見直しにも転ずる可能性は留意すべきだろう。
 ◇ドル事情を11月米大統領選で読む
 29日のFOMCでは現ゼロ金利政策と量的緩和策を継続維持すると決定。その上でパウエルFRB議長は新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、景気回復が遅れていて、今年初めの水準に戻るまでにはかなりの時間がかかるという認識を示した。確かに4〜6月期米GDPも過去最大のマイナス成長を示し、経済頼みだったトランプ大統領も30日にはツイッター投稿で大統領選の延期を言及。当初想定された米景気のV字型回復は難しい情勢と読んだか、11月大統領選挙延期提議はトランプ陣営が選挙戦での不利認識を強めた、との見方にもつながった。では、米景気悪化の長期化は何をもたらすか。資金供給不足を解消するため潤沢に積み上がったドル資金は毀損(きそん)化、つまりは通貨安でのドル売りを意味するのではないか。
 ◇円事情をミセスワタナベが読む
 ドル売りを受けて円高は進行するのか。アベノミクス開始以来、円高抑制は経済政策の柱でもあり日本政府・与党、そして通貨当局・日銀もドル売りによる円高進行を継続して看過するとは到底思えない。6月日銀短観の2020年度ドル円想定為替レート(107.87円)から乖離幅が強まれば輸出企業の業績や設備投資の見直し、そしてデフレ回帰圧力が強まればコロナ禍を巡って苦悩している安倍政権へのそしりも免れないからだ。そうした円事情を斟酌(しんしゃく)したか、以下、ドル円売買比率(参照資料)を見るとドルの買い持ち高(円売り)が急増している。特にFX個人投資家の総称である「ミセスワタナベ」の投資行動としては米政治事情と景気の先行き懸念、FRBの長期緩和姿勢からドルの上値追いは厳しいと考察する一方で日本の事情としても過度な円高は受け入れ難い背景を読みドル円“逆張り買い”戦略となって反映させているようだ。アベノミクス継続への期待の表れか。筆者は3月上旬時の1ドル101円台示現とした突発的な円フラッシュ・クラッシュ(瞬間的なドルの大暴落≒円急騰)の再現リスク(例えば8月10日・山の日での東京休場などにおいて)を留意しつつ、目先の下限を考察する正念場、7月就任の岡村財務官にも期待を寄せる場面と捉えている。
【来週のドル円予想レンジ】103円00銭〜106円00銭(了)
[時事通信社]
配信元: 時事通信社
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