懸念も多いが、市場は依然楽観的 ただ、ドル円は107円台で膠着=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/07/15 02:39
 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となっており、ドル円も上値の重い展開が見られている。ロンドン時間には107.40円付近まで上昇していたものの、NY時間に入ってその動きは一服している格好。先行きへのリスクを巡って為替市場は株にらみの展開が見られているが、米株が底堅く推移し、ダウ平均の上げ幅が一時300ドル超に上昇したことが、リスク選好のドル売りを誘っている模様。

 感染第2波への懸念が依然として根強く、期待通りの回復を示すか先行きへの不安が高まりつつあるようだ。また、前日伝わった南シナ海における中国に対するポンペオ国務長官の発言で、米中対立への懸念もそれに加わっている。長官は「南シナ海の大部分にわたる海洋資源に対する中国の主張は完全な不法行為だ」と述べていた。米中貿易合意の履行への懸念も高まっている模様。しかし、各国政府による大胆な財政刺激策や金融緩和策を支えに、ワクチン開発への期待もあり、市場は依然として楽観的だ。

 ただ、ドル円は107円台での膠着相場に終始している。先週は106円台に下落し、下値警戒感を高めていたが、結局、元の位置に戻している。もっとも、上値を追う雰囲気まではなく、あくまで、107円のレンジに戻しただけであり、次の展開待ちの雰囲気に変化はない。

 ユーロドルは買いが優勢となっており、先月10日以来の1.14ドル台を回復している。先月10日の高値は1.1420ドル付近だが、その水準が目先の上値メドとして意識される。

 経済再開後の米国とユーロ圏との状況格差もユーロドルのフォローとなっているとの指摘も聞かれる。一部の米州での感染第2波の拡大とは対照的に、封鎖措置の緩和後でも、欧州の主要国での蔓延は抑制されており、短期的には米経済とユーロ圏経済との間に回復スピードの格差が生じる可能性があるという。封鎖措置を再度導入することなくユーロ圏が回復を続けられれば、ドルに対するユーロの相対的な魅力は増すと指摘した。

 ポンドドルも買い戻しが膨らんでいる。NY時間の朝方に一時1.2480ドル近辺まで下落する場面もみられた。本日の21日線は1.2485ドル付近に来ており、一時顔合わせしている。NY時間に入ってその下げを取り戻す展開。

 ただ、ポンドへの弱気な見方は根強い。きょうは5月の月次GDPが公表されていたが、前月比でプラス1.8%と前回の急落からは回復を見せたものの予想は大きく下回った。市場ではこれを受けて、英中銀がゼロ金利への利下げを実施するのではとの見方も出ている。市場がゼロ金利を織り込むようになれば、ポンドドルは1.20ドルを目指すとの指摘も聞かれる。英GDPは事実上、パンデミック前の75%に縮小しており、EU離脱を前にした貿易摩擦も警戒される中で、先行きの成長の道筋が見出しにくいとの声も出ていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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