円売りで突如ドル円に買い強まり108円台回復=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/06/03 01:55
 きょうのNY為替市場は円売りの動きが強まり、ドル円はロンドンフィキシングにかけて買いが加速している。NY時間に入って突如ドル円に買いが強まり、ストップを巻き込んで一気に108円台半ばに上昇。

 ドル自体は軟調な展開が続いており、円安の動きがドル円を押し上げたようだ。ユーロ円やポンド円も上昇。米株式市場は利益確定売りも見られているものの底堅さ堅持している。ただ、円売りを誘発する特段の材料は見当たらず、実需の円売りがまとまって入った可能性もありそうだ。

 ドル円はきょうの上げで一気に200日線を回復。ドル買いのフォローが見られない中で、どこまで上値を追えるか、明日以降の動きが注目。

 ユーロドルは買い戻しが加速し、1.12ドルをうかがう動きも見られた。200日線を上放れる展開が続く中で、1.1150ドルの水準は意識されていたポイントだったが、その水準を突破したことでテクニカル的にも弾みがついたとの声も聞かれる。

 ただ、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは、買われ過ぎの水準である70に接近しており、そろそろ過熱感も否めない状況ではある。ただ、全体的なドル売りの流れがユーロドルを支えているようだ。この日はメルケル独首相が与党の党員に対して、第2次の景気刺激策で譲歩を求めているとの報道が伝わったこともユーロをサポートしている模様。報道では、ドイツ政府は最大1000億ユーロの第2次景気刺激策を模索するという。

 ポンドドルも買い戻しが続き、一時1.2575ドル近辺まで上昇。きょうからEUとの貿易交渉が再開しているが、英タイムズ紙が、「英国が漁業権などで譲歩する用意がある」と伝えたことでポンド買いが強まった。ただ、この報道に対してスナック英報道官は「それはEUの希望的観測であり、英国は公平な競争条件確保や漁業権で妥協はしない」と否定していた。

 市場も懐疑的で、バルニエEU首席交渉官が日曜日のサンデータイムズ紙のインタビューで「英国はより現実的になるべきだ」と発言しており、今週中には大きな進展はないのではとの見方も少なくない。もし、今週中に必要最低限の合意が形成できれば、ポンドのポジティブな反応も期待できるが、失望的な内容になる可能性もある中で、ポンドの上値は限定的になるとの指摘も出ている。完全解決の道筋が見えない限り、ポンドの上昇は短期的になるとの見方も根強い。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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