明日の株式相場戦略=株価3ケタ台の中低位株に上昇気流
きょう(27日)の東京株式市場では日経平均は上値指向を継続し3日続伸となった。大引けは148円高となり2万1400円台で着地。朝方の上値の重さを目の当たりに、さすがにきょうは一服するだろうという大方の見方を、後場に入って覆す強さをみせた。気がつけば今週に入ってから既に1000円強の上昇、3日間で大台ひとつ分の水準を切り上げたことになる。
前場は前日終値を挟んでの右往左往で方向感が定まらなかった。前日のNYダウは「529ドル高」で2か月半ぶりの高値をつけリスクオンのバトンを渡してきたが、それに先立って前日の日経平均は「529円高」とドル・円の違いはあれど偶然にも同じ数値で2万1000円台に歩を進めていた。きょうは実質月内最終商いで変化日ということもあり、東証1部で133%(26日時点)まで切り上がった騰落レシオを横目に、買いを躊躇するのは普通の感覚といえる。ところが気迷いをみせた前場の値動きから打って変わり、後場に入って上昇スイッチが入るあたりに今の相場のしぶとさがある。もとより、ファンダメンタルズ面でのアプローチは用なしの状況、そこには過剰流動性バブルの芳香すら漂う。
株式市場は「経済を映す鏡」というようなアカデミックな形容をされることが多いが、実際に投資家の立場に立って至近距離で相場と対峙すれば、もっとドロドロとした人間心理が錯綜するジャングルのような要素が強い。AI取引全盛の今は、一昔前より更に複雑で理解の領域を超えるような値動きに翻弄されるケースが多くなっているかもしれない。遠方から眺める富士は綺麗だが、いざ登山してみるとその風光明媚なイメージとはまるで別世界の岩山である。株式市場も近づくほどに理屈では語れない場面に遭遇する。敢えて言えば、離れて見たものが実勢経済と対をなす相場の正体、しかし、近くで目を凝らさなければ本質は見えてこない。
日経平均2万円ラインを通過してからきょうに至るまでの軌跡は、正直なところ個人的には想定できていなかった。しかし、ここまでヒット&アウェイの投資スタンスに特化すべきとしてきたが、これは上昇トレンドの相場でも回転売買によってバイ&ホールドと同様の効果を得られるため間違いではない。相場が上げ潮の時は全体指数にアウトパフォームできる確率は、回転を利かす手法の方が一つの銘柄を持ち続けるよりも高い。
さて、前日も触れたが、直近は株価が比較的低い水準に位置する銘柄に物色の矛先が向かいやすくなっているようだ。具体的には1000円未満の中低位株。これは銘柄によって地相場とする水準が異なり、一概にリターンリバーサルの動きともいえないが、アフターコロナで活躍できる成長シナリオを持った銘柄といえどもやや買い疲れ感が出るなか、株価が3ケタ台という値ごろ感はポジティブ材料だ。
XML技術を基盤としたパッケージソフトメーカーで、サブスクリプション型に重心を置くアステリア<3853.T>の500円近辺は買い場となっている可能性がありそうだ。4月20日に640円まで一気に駆け上がった脚力は魅力がある。また、医療画像システムを主力としドローン分野にも積極展開するイメージ ワン<2667.T>。同社は空撮した写真から高精度な点群データや地表の3Dモデルなどを自動作成するスイス社製ソフトを取り扱っており、建設ICTでも活躍余地がある。
アフィリエイト広告大手でSNSとの連携も強化しているアドウェイズ<2489.T>や、再生可能エネルギーの投資事業に期待がかかる日本アジア投資<8518.T>などもマークしておきたい。このほか、産業機械商社で3Dプリンターに実績が高く、直近は3Dプリンター業界最大手であるストラタシス製の最新機種取り扱いを開始したアルテック<9972.T>も面白い存在だ。
日程面では、あすは5月の月例経済報告、4月の建設機械出荷額など。海外では韓国中銀が政策金利を発表。また、米国で重要経済指標が相次ぐ。1~3月の米実質GDP改定値、4月の米中古住宅販売仮契約、4月の耐久財受注、週間の米新規失業保険申請件数など。このほか、欧州時間では独CPI速報値も発表される。
(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
前場は前日終値を挟んでの右往左往で方向感が定まらなかった。前日のNYダウは「529ドル高」で2か月半ぶりの高値をつけリスクオンのバトンを渡してきたが、それに先立って前日の日経平均は「529円高」とドル・円の違いはあれど偶然にも同じ数値で2万1000円台に歩を進めていた。きょうは実質月内最終商いで変化日ということもあり、東証1部で133%(26日時点)まで切り上がった騰落レシオを横目に、買いを躊躇するのは普通の感覚といえる。ところが気迷いをみせた前場の値動きから打って変わり、後場に入って上昇スイッチが入るあたりに今の相場のしぶとさがある。もとより、ファンダメンタルズ面でのアプローチは用なしの状況、そこには過剰流動性バブルの芳香すら漂う。
株式市場は「経済を映す鏡」というようなアカデミックな形容をされることが多いが、実際に投資家の立場に立って至近距離で相場と対峙すれば、もっとドロドロとした人間心理が錯綜するジャングルのような要素が強い。AI取引全盛の今は、一昔前より更に複雑で理解の領域を超えるような値動きに翻弄されるケースが多くなっているかもしれない。遠方から眺める富士は綺麗だが、いざ登山してみるとその風光明媚なイメージとはまるで別世界の岩山である。株式市場も近づくほどに理屈では語れない場面に遭遇する。敢えて言えば、離れて見たものが実勢経済と対をなす相場の正体、しかし、近くで目を凝らさなければ本質は見えてこない。
日経平均2万円ラインを通過してからきょうに至るまでの軌跡は、正直なところ個人的には想定できていなかった。しかし、ここまでヒット&アウェイの投資スタンスに特化すべきとしてきたが、これは上昇トレンドの相場でも回転売買によってバイ&ホールドと同様の効果を得られるため間違いではない。相場が上げ潮の時は全体指数にアウトパフォームできる確率は、回転を利かす手法の方が一つの銘柄を持ち続けるよりも高い。
さて、前日も触れたが、直近は株価が比較的低い水準に位置する銘柄に物色の矛先が向かいやすくなっているようだ。具体的には1000円未満の中低位株。これは銘柄によって地相場とする水準が異なり、一概にリターンリバーサルの動きともいえないが、アフターコロナで活躍できる成長シナリオを持った銘柄といえどもやや買い疲れ感が出るなか、株価が3ケタ台という値ごろ感はポジティブ材料だ。
XML技術を基盤としたパッケージソフトメーカーで、サブスクリプション型に重心を置くアステリア<3853.T>の500円近辺は買い場となっている可能性がありそうだ。4月20日に640円まで一気に駆け上がった脚力は魅力がある。また、医療画像システムを主力としドローン分野にも積極展開するイメージ ワン<2667.T>。同社は空撮した写真から高精度な点群データや地表の3Dモデルなどを自動作成するスイス社製ソフトを取り扱っており、建設ICTでも活躍余地がある。
アフィリエイト広告大手でSNSとの連携も強化しているアドウェイズ<2489.T>や、再生可能エネルギーの投資事業に期待がかかる日本アジア投資<8518.T>などもマークしておきたい。このほか、産業機械商社で3Dプリンターに実績が高く、直近は3Dプリンター業界最大手であるストラタシス製の最新機種取り扱いを開始したアルテック<9972.T>も面白い存在だ。
日程面では、あすは5月の月例経済報告、4月の建設機械出荷額など。海外では韓国中銀が政策金利を発表。また、米国で重要経済指標が相次ぐ。1~3月の米実質GDP改定値、4月の米中古住宅販売仮契約、4月の耐久財受注、週間の米新規失業保険申請件数など。このほか、欧州時間では独CPI速報値も発表される。
(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
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