2万円のフシでの値固めができるかの正念場

著者:出島 昇
投稿:2020/05/18 18:54

先週は、週始めは20534円の高値をつけ一時2万円台を切るが、週の終値では2万円台を守る

 先週の予測では、2万円台に乗せたものの売り圧力強く、前週と同じように時間外での米株先物の動き、為替相場の動き、原油市況など海外要因に左右されやすい状況は変わらないとしました。目先は4月30日の20365円を試す展開が想定されます(ここを抜けると20500円水準まで上昇)が、そのあとはもみあいに入るとしました。

 下げる場合は、トランプ大統領が新型コロナウイルスの発生源を中国だと名指しで批判し、米中関係に懸念がでており、その場合、日経平均の目先の下値は19500円水準を考えてみました。

 結果的に、11日(月)の日経平均は20365円を突破して20534円まで上昇し、終値では△211円の20390円と年初来高値更新となりました。しかし、その後、上値重く3日続落となって14日(木)は19902円まで下げて▲352円の19914円となりました。引け後の米国株式では、シカゴの日経先物は19600円まで下げましたが、NYダウが切り返したことで2万円台を回復し、週末は△122円の20037円で引けました。

 ゴールデンウィーク明けの11日(月)は、前週末8日(金)の米国市場で4月雇用統計が戦後最悪となったものの、悪化が予想を下回らなかったことや、欧米で外出規制を緩和する動きが広がったことで、米株式3指標がそろって大幅高となり、これを受けて日経平均は△154円の20333円で寄り付き、一時△355円の20534円まで上昇し、終値はやや上げ幅を縮小し、△211円の20390円と3日続伸となりました。

 12日(火)は、朝方はハイテク株が買われましたが、利益確定売りで方向感の乏しい展開となり、▲24円の20366円と4日ぶりに小反落しました。

 13日(水)は、前日の米国市場で経済活動の再開に不透明感が強まったことで、主力ハイテク株中心に売り物が出て、NYダウは▲457ドルとなり、日経平均も米株安と円高を嫌気して▲225円の20140円で寄り付き、▲310円の20056円まで下げましたが、売り一巡後は下値堅く2万円台を守って▲99円の20267円の続落でした。

 14日(木)は、前日の米国市場でNYダウが前日の▲457ドルに続き▲516ドルと3日続落となった(パウエルFRB議長が経済の先行きに強い懸念を示した)ことで、日経平均は▲126円の20140円で寄り付くと、後場には株価先物にまとまった売りが出たのをきっかけに下げ幅を拡大し、一時▲364円の19902円まで下げ、大引けは19914円と7日以来の2万円割れとなりました。

 15日(金)は、前日の米国株式が一時▲458ドルの22789ドルまで急落し、これにつれてシカゴの日経先物は19600円まで下げましたが、原油価格が反発したことで、NYダウは切り返し△377ドルの23625ドルで引け、シカゴ日経先物は△280円の20060円となっていました。これを受けて日経平均は△235円の20149円で寄り付き、一時△283円の20198円まで上昇しましたが、前引け近くに▲81円の19832円まで下落しました。しかし、後場になるとプラスに浮上し、日銀のETF買い観測もあり△122円の20037円で引けました。

 15日(金)の米国市場は、4月小売売上高が過去最悪となり、米国政府がウイルスの発生源とみられる中国に経済制裁(ファーウェイへの制裁強化など)を発表したことで、米中対立懸念から大きく売られて始まりましたが、その後、5月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想外に改善し、多くの州で経済活動再開拡大となってきたことで、NYダウは△60ドルの23685ドルと続伸しました。シカゴの日経先物は▲20円の20020円でした。

2万円のフシでの値固めができるかの正念場

 今週は、日経平均が2万円のフシ目で値固めできるかどうか注目するところです。先週は、11日(月)に20534円まで上昇後、15日(金)には19832円まで下落して、20037円で引けましたが、不安定な動きといえます。日経平均の動きは、NYダウに基本的に現状では連動していますので、第2次新型コロナ感染拡大懸念と米中摩擦が大きなポイントとなります。米中関係は、22日に中国が全国人民代表大会の開催を控えていますので、習主席は米国に対して強気の対応に出ることになります。トランプ大統領は新型コロナウイルスの世界的拡大の責任を追及しており、これが米中貿易摩擦の再燃となりつつあるので注意が必要です。

 国内では、14日に5月末の緊急事態宣言の期限を待たずに39県で解除をし、第2次補正補正予算の編成方針を示しましたので、相場のサポート要因になっています。これに加え、21日に見直し日とされる8都道府県の緩和が示されれば、プラス要因になります。但し、コロナ問題が長期化するとの見通しが広がっているため、景気の回復が遅れることが懸念されるので、当面は上値を買っていく動きはでないものと思われます。

 本日は、先週末の米株高を受けて買いが先行し、買い一巡後は戻り待ちの売りに押され、マイナスに転じる場面もありましたが、後場には時間外の米株先物が堅調に推移したことで、一時△160円の20197円まで上昇し、大引けは△96円の20133円となりました。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、日本株式は米株式、為替、原油市況など海外要因に左右されやすい状況となっています。そのため、米株式が堅調であれば日経平均は上値は重いものの底堅いと思われます。上値は4月30日の20365円水準であり、2万円をフシ目に展開されるとしました。

 結果的に、週前半は底堅かった日経平均ですが後半に修正される展開となり、5月14日(木)はアッサリ2万円を割り込みました。

 今週は、米中摩擦懸念、新型コロナ感染拡大懸念を気にしつつ、21日を見通しとしている残る8都道府県の緊急事態宣言の解除がどうなるのかが注目されます。チャートでは2万円をフシ目とするもみあいが想定されますが、新しいリスクとして大きくなっている米中摩擦が気になるところです。トランプ大統領は新型コロナの世界的拡大の責任を追及しており、中国は22日から全国人民大会が開催されることで対立が強まることが考えられます。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、最悪の経済指標続出となっているものの、チャートは底打ちしており、株式相場の下値は限定的で堅調に推移するものと想定しました。

 しかし、週前半は6日続伸してきたナスダックが利益確定売りとなり、経済活動の再開見通しに不透明感が強まり、パウエル議長が景気の先行きに強い懸念を示し、米中関係の悪化も懸念されたことで、NYダウは3日間の大幅続落となりました。5月14日(木)には、一時▲458ドルの22789ドルまで下落しましたが、原油価格の反発で切り返し△377ドルの23625ドルとなりました。週末は大きく下げたあと△60ドルの23685ドルで引けました。米国株は、NYダウが4月下旬以降のレンジを下ブレしていますので要注意です。

 当面は、経済活動の再開が徐々に拡大することや、FRBによる強力な金融支援、トランプ大統領の第4弾追加救済策への期待が相場を下支えするものの、第2波のウイルス感染拡大懸念や米中関係の悪化が上値を抑える可能性があります。先週のチャートの動きは、ザラ場で5月14日に22789ドルと4月24日の22941ドルを切っており下値を試す動きがでています。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、最悪の結果となった4月の雇用統計を通過したことで底堅い動きが想定されるとしました。

 結果的には、米国経済の段階的再開への期待が広がって経済指標の悪化は続いているものの、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する措置が緩和され、ドル買い有利な展開となりました。週末の15日(金)は、4月の小売売上高が過去最大の減少となったことで、106.86円までドルが反落しましたが、ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回ったことで107.37円までドルが買われ107.09円で引けました。

 今週は、安全資産としてのドル買いが強まる可能性があるとの見方が多いようです、第2次新型コロナウイルス感染拡大懸念や米中対立懸念からリスク回避の円買いの可能性も考えられますが、トランプ大統領がドル高について肯定的な見解を示していますので、全体的にみればドルは底堅いと思われます。

 先週までは、2017年12月5日の118.6円を戻り高値とする直角三角形の保ち合いから118.6円を戻り高値として下降トレンド(B)の動きに見方を変更、下値ポイントは100円でここを切ると急激な円高へ。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム