S&P500月例レポート(20年5月配信)<3>

<2>の続き

世界の株式市場

 ○3月に一様に下落した世界の株式市場は、トンネルの先に光が見えたことを受けて4月に上昇に転じました。ただし、これが太陽の光なのか別の列車がこちらに向かっている光なのかは判然としません。4月は49市場の全てが上昇し、上昇した市場がゼロだった3月とは正反対の結果となりました。米国市場が最も大きく上昇しました。

 ○世界の株式市場は4月に10.79%と大幅に上昇しました(米国市場の13.13%の上昇を除くと8.00%の上昇)。3月は14.61%の大幅下落(米国市場の13.95%の下落を除くと15.40%の下落)、2月は8.29%の下落、1月は1.42%の下落で、年初来では14.47%下落しています(米国の11.01%の下落を除くと18.45%下落)。過去1年間ではグローバル市場は8.11%下落しましたが、米国の5.34%の下落を除くと13.81%の下落でした。より長期で見ても米国のパフォーマンスが突出しています。過去2年間では、グローバル市場は6.22%の下落でしたが、米国の7.12%上昇を除くと19.31%の下落でした。過去3年間ではグローバル市場は5.29%上昇しましたが、米国の18.88%上昇を除くと8.33%の下落でした。

 ○4月のまとめ

  ⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は4兆9380億ドル増加しました(3月は7兆8810億ドル減)。米国以外の市場の時価総額は1兆6590億ドル増加し(同3兆8140億ドル減)、米国市場は3兆2790億ドル増加しました(同4兆680億ドル減)。

  ⇒新興国市場は4月に9.34%上昇し、年初来では17.91%下落、過去1年間では14.85%の下落となりました。

  ⇒先進国市場は4月に10.98%上昇し(米国を除くと7.57%上昇)、年初来では14.03%下落(同18.62%下落)、過去1年間では7.28%下落(同13.56%下落)となっています。

 ○4月は11セクター全てが上昇に転じ、セクター間のばらつきは著しく縮小しました。3月は2月と同様、全セクターが下落しました。パフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、16.49%上昇)と最低のセクター(公益事業、3.79%上昇)の騰落率の差は11.70%(過去1年間の平均は9.03%)と、3月の24.74%から縮小しました(2月は8.67%)。

 ○新興国市場は4月に全体で9.34%上昇しました。3月は17.18%の下落、2月は5.22%の下落、1月は4.34%の下落でした。年初来では17.91%下落、過去1年間では14.85%の下落となりました。過去2年間では19.75%の下落、過去3年間では6.01%の下落となっています。

  ⇒4月は24市場全てが上昇しました。これに対して、3月は上昇した市場がなく、2月はわずか1市場が上昇しました。パキスタンのパフォーマンスが最も良く、4月は21.74%反発しました。年初来では21.70%の下落にとどまり、過去1年間では24.76%の下落でした。次いでパフォーマンスが良かったのはタイで、4月は17.78%上昇しましたが、年初来では24.05%下落、過去1年間では23.18%下落となりました。3番目にパフォーマンスが良かったのはインドで、4月に15.99%上昇し、年初来では21.81%下落、過去1年間では21.73%下落となっています。

 パフォーマンスが最低だったのはメキシコで、4月は4.29%上昇、年初来では34.02%下落、過去1年間では34.93%の下落でした。2番目にパフォーマンスが振るわなかったのはトルコで、4月は5.39%上昇、年初来では25.62%下落、過去1年間では10.78%の下落でした。3番目はペルーで、4月は5.43%上昇、年初来では32.77%下落、過去1年間では36.64%の下落でした。

 ○先進国市場は4月に全体で10.98%上昇し、3月の14.28%下落から反発しました。米国を除くリターンは7.57%の上昇でした(3月は14.81%下落)。年初来では14.03%の下落(米国を除くと18.62%の下落)でした。先進国市場は過去1年間では7.28%下落(同13.56%下落)、過去2年間では4.50%下落(同19.25%下落)、過去3年間では6.70%上昇(同8.99%下落)しました。

  ⇒4月は25市場全てが上昇しました。対して、3月と2月は上昇した市場はなく、1月は6市場が上昇しました。パフォーマンスが最高となったのはオーストラリアで、4月は16.82%の上昇、年初来では22.90%下落、過去1年間では18.62%の下落となっています。2番目はカナダで、4月に13.87%上昇し、年初来では19.42%下落、過去1年間では14.21%下落しました。3番目はルクセンブルグで、4月は13.65%上昇、年初来では34.79%下落、過去1年間では42.42%の下落となっています。パフォーマンスが最低だったのはスペインで、4月は1.92%上昇、年初来では28.62%下落、過去1年間では29.63%の下落となりました。これに続いたのがポルトガルで、4月は2.97%上昇、年初来では17.39%下落、過去1年間では15.78%の下落でした。3番目はイタリアで、4月は3.79%上昇、年初来では26.64%下落、過去1年間では21.37%の下落となりました。

  ⇒注意すべき点として、ドイツは9.44%の上昇(3月は16.98%下落、年初来では20.37%下落、過去1年間では16.94%下落)、英国は6.31%上昇(同17.92%下落、同26.43%下落、同23.54%下落)でした。

S&P 500指数

 4月初めはまさに米国経済の存続そのものが焦点となっていた米国市場ですが、月末には市場の関心は経済活動の再開に向かいました。「経済活動を再開しても安全なのか」、「再開した場合に企業や消費者は戻ってくるのか」が現在、二つの重要な疑問として浮上しています。光がどれほど先にあるかはほとんど誰にも分からなくても(それは太陽の光ではなく、向かって来る列車の光だとの警告も一部で聞かれます)、市場はトンネルの先に光を見出そうとし、実際に現れた光に好意的に反応しました。

 第1四半期に関する経済指標は、新型コロナウイルスによる影響を如実に反映しており、第2四半期は一段の悪化が予想されます。第1四半期の業績を見ると、S&P 500指数の時価総額で57.0%に相当する企業が決算を終えた段階で、260銘柄中177銘柄で利益が予想を上回り(利益予想は27.4%引き下げられていました)、256銘柄中165銘柄で売上高が予想を上回りました。利益予想については、第2四半期は2019年末時点から41.2%、第3四半期は27.4%、2020年第4四半期は18.6%、さらに2020年通年では28.5%下方修正されています。2021年の利益予想も下方修正され始めており、9.0%引き下げられました。

 2020年第1四半期の自社株買いについては、44.1%が公表された段階で、実施額は予想を上回るペースで推移しています。第1四半期は1400億ドル台のレンジとなれば十分ではあるものの(2019年第4四半期の1816億ドル、2019年第1四半期の2058億ドルからは減少)、実際の公表額を踏まえれば、これを上回る可能性もあります。第2四半期に関しては何も期待しないのが得策で、そうでないと失望することになるでしょう。2020年第2四半期の配当に関しては、現在までに指数構成企業の19社が増配を発表した一方、12社が減配、更に12社が配当を停止しており、差し引きで134億ドル減少しています(年初来では174億ドルの減少)。

 雇用面では、4月はまさに生き残りをかけた月となりました。新規失業保険申請件数は6週間分の合計が3030万7000件に跳ね上がっており、5月8日発表の雇用統計で失業率は20%台に急上昇する見込みです。ただし、市場の取引では全般的に、2月末から3月にかけての反射的な動きに比べて、投資家の認識やファンダメンタルズに焦点が当たりました。もっとも、5月は米国の経済活動再開に関する個別のニュースに市場が反応するのに伴い、従来のボラティリティがある程度復活する恐れがあります。

 S&P 500指数の4月終値は、3月末の2584.59から12.68%上昇(1987年1月の13.19%上昇以降で最高。配当込みのトータルリターンは12.82%)の2912.43となりました。3月は12.51%の下落(同マイナス12.35%)、2月は8.41%の下落(同マイナス8.23%)で、終値は2954.22でした。年初来では9.85%下落(同マイナス9.29%)、過去1年間では1.13%下落(同プラス0.86%)しています。

 ダウ平均は3月末の21917.16ドルから11.08%上昇し(同プラス11.22%)、24345.72ドルで月を終えました。3月は13.74%の下落(同マイナス13.62%)、2月は10.07%の下落(同マイナス9.75%)で、終値は25409.36ドルでした。年初来では14.69%下落(同マイナス14.07%)、過去1年間では8.45%下落(同マイナス6.16%)しています。

 S&P 500指数の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除した算出)は3月の5.34%(2月は1.23%)から2.21%に低下しました。年初来では2.48%、2019年は0.85%、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以来の最低)でした。出来高は前月比で67%増加した3月から25%減少しましたが(営業日数調整後)、前年同月比では68%増加し、過去1年間でも前年比14%増加しました。

 セクター間のリターンのばらつきは縮小したとはいえ、なお大幅となり、4月は11セクター全てが下落した3月(2月も11セクター全てが下落)とは逆に、11セクター全てが上昇しました。パフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、29.66%上昇)と最低のセクター(公益事業、3.17%上昇)の騰落率の差は、3月に2月の8.93%から30.99%(1年平均は11.36%)に大幅に拡大したのち、4月は26.49%に縮小しました。騰落率の差は年初来では36.38%(3月末時点は38.84%)、2019年は40.41%となっています。

 4月は、3月に34.97%の下落で騰落率最下位となったエネルギーが29.66%の反発を見せて、パフォーマンストップとなりました。ただし、同セクターは年初来ではなお36.54%下落し、パフォーマンス最下位となっています。一般消費財が3月の13.39%下落の後に20.51%上昇し、2位で続きました。同セクターは年初来では3.09%下落しています。生活必需品は6.64%上昇し、年初来の下落率を7.64%としました。情報技術は4月に13.73%上昇し、年初来の下落率を0.16%にとどめています。ヘルスケアは4月は12.50%の上昇、年初来では2.20%の下落、金融は4月は9.34%の上昇、年初来は26.02%の下落となりました。パフォーマンス最下位となったのは公益事業で、4月は3.17%上昇で、年初来で11.47%下落しています。

 個別銘柄の騰落状況は3月の広範囲に及ぶ下落から完全に反転し、4月は値上がり銘柄数が3月の41銘柄(平均上昇率は6.19%)と2月の26銘柄(同5.69%)から、476銘柄(同15.72%)に増加しました。10%以上上昇した銘柄数も3月の6銘柄(同18.42%)、2月の4銘柄(同18.59%)から305銘柄(同21.40%)に大きく増加し、81銘柄(3月と2月は1銘柄)が25%以上上昇しました。

 同様に、値下がり銘柄数は大幅に減少し、3月の463銘柄(平均下落率は21.36%)、2月の479銘柄(同10.18%)から29銘柄(同6.55%)に減りました。10%以上下落した銘柄数も3月の356銘柄(同26.22%)、2月の223銘柄(同14.56%)から7銘柄に減少し、1銘柄(3月は154銘柄)が25%以上下落しました。

 年初来では、引き続き値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回っています。値上がり銘柄数は3月末の30銘柄(平均上昇率は8.27%)から86銘柄(同9.71%)に増加し、10%以上上昇した銘柄数も3月末の9銘柄(同17.07%)から34銘柄(同19.41%)に増加し、7銘柄(3月末は2銘柄)が25%以上上昇しました。一方、値下がり銘柄数は3月末の475銘柄(平均下落率は29.42%)から417銘柄(同23.48%)に減少し、10%以上下落した銘柄数も3月末の423銘柄(同32.33%)から333銘柄(同28.11%)に減少し、175銘柄(同28.62%。3月末は251銘柄で、平均下落率は42.04%)が25%以上下落しました。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム