ドル円は108.45円近辺で推移=NY為替後半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/04/04 05:18
 NY時間の終盤に入ってドル円は108.45円近辺で推移。きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となっている。前日はリスク回避の雰囲気が一服していたが、為替市場はドル買いの動きを見せていた。NY州では感染者数が10万人を超えるなど、感染拡大が依然として鎮静化しない中、米株式市場でダウ平均が500ドル超下落するなど、リスク回避の雰囲気が強まっている。ドル資金のひっ迫感は落ち着いているものの、リスク回避でも、そうでなくても為替市場はドル買いが根強いようだ。

 きょうは米雇用統計が発表になっていたが、非農業部門雇用者数(NFP)は70.1万人減と予想以上の大幅な減少となった。失業率も4.4%に悪化。ウイルス感染拡大が既に影響を及ぼし始めていることが示されたが、まだ始まったばかりとの見方が大勢。米雇用統計は前月の12日を含む週に企業、家計双方にアンケート調査を実施し、データを解析する。そのため、今回のデータは3月中旬までの調査ということもあり、その先はさらに悪化が確実視される状況。ただ、市場は、既に織り込でいるのか、弱い指標自体には、いまのところ冷静な反応を示している印象だ。

 そのような中、ドル円は堅調な流れを維持しており、108円台半ばでの推移。200日線が108.35円付近に来ているが、その水準を上回って来ている。ただ、100日線が109円付近に来ているが、その水準を試す雰囲気までは見られていない。上値には慎重な雰囲気もあるが、下値も底堅いようだ。目先は200日線を維持できるか注目される。

 ユーロドルは下値模索が続いており、きょうは1.07ドル台に一時下落。ECBが量的緩和(QE)を強化しているほか、財政出動に関して域内が対立していることも、ユーロを圧迫しているようだ。来週7日にはユーロ圏財務相会合が予定されており、市場は動向を注目しているようだ。

 ウイルス感染に関しては、イタリアの情勢が依然として先行きが見えない状況が続いている。経済活動がほぼ停止している中、市場の一部からはイタリアの格下げリスクが意識されているようだ。あとどれくらい投資適格級格付けを維持できるの不透明で格下げが濃厚だとの声も聞かれる。目先はS&Pグローバルが4月24日にイタリアの格付けの見直しを発表予定。同社はすでに格付けを「BBB」、格付け見通しを「ネガティブ」としている。格付けが「BB」になると投資不適格級。ECBによる購入やオペ担保としても使用しづらくなる。

 NY時間の終盤に入ってポンドドルは下げ渋る動きが見られており、1.22ドル台後半まで下げ渋る場面も見られた。ただ、きょうの為替市場はリスク回避のドル買いが優勢となる中、ポンドドルは1.22ドル割れを試す場面も見られていた。21日線が1.2265ドル付近に来ているが、いまのところ、その水準は維持されている。

 ウイルス感染の景気対策として、英政府も大型の財政支出を計画しているが、エコノミストからは、米国が2000年代初頭に経験した国内の民間貯蓄不足が英国にも発生し、それが構造的なポンド安につながる可能性があるとの指摘も出ている。場合によっては、財政規律緩和による循環的な景気への好影響以上に、中期的にポンドを圧迫するリスクもあるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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