NYコラム(28日)ダウ平均は底入れ見えず−FRBとのマーケット・トーク始まるか⁈

著者:加藤裕一
投稿:2020/02/28 21:24

▶︎NY株式市場(28日)ダウ平均先物は一時600ドル安−米国10年債利回りは1.2%割れ

27日のダウ平均は1190ドル安となり過去最大の下げ幅を記録した。2月12日に付けた過去最高値からの下落率は12.8%に達している。

新型肺炎の世界的な拡大によるリスク回避で投資資金が向かったゴールドが7年ぶりの高値。米国10年債利回りは連日で過去最低を記録している。

28日の時間外でもリスク回避のマイナス・スパイラルは続いている。ダウ平均先物は一時600ドル超安となる一方で米国10年債利回りは1.2%割れだ。新型コロナウイルスの感染拡大で世界景気のクラッシュを折り込みに行っている状況で、ヘッジファンド中心に米国債orゴールド・ロング/アメリカ株ショートのストラテジーがアグレッシブに動いている。

28日のダウ平均は、深押しする局面で2万5000ドルに接近する場面も見られそうだ。

ただ、アメリカの金融市場からキャピタル・フライ=投資資金が引き揚げられているかと言うとそうではない。いずれ反対売買に動くことになる。27日のアメリカ株式市場の出来高(合算)は、156億3000万株と5年7カ月ぶりの大商いとなった。ニューマネーの流入で相場の厚みが増すものと期待できる。

▶︎3月FOMCを前にFRBとのマーケット・トークが始まるか⁈

アメリカFRBは、3月17日からFOMCを開催する。3月の利下げ確率は60%まで急上昇し利下げ観測が高まっている。アメリカ株式市場の底打ちを見極める上で重要なイベントだ。

パウエル議長は、1月に発生した新型肺炎への対応は「データ」を慎重に見極めるとの姿勢を示している。スケジュール的には、サイレント期間に入る3月10日前後までの1週間、3月第1週にFEDサイドから何らかのメッセージが伝わるとみる。

FRBの伝統的な手法として利下げなどの政策を変更する場合はマーケットとのコミュニケーション通じてコンセンサスを高めることがある。特にWSJなどのFEDウオッチャーに注目しておきたい。FEDウオッチャーを通じてマーケットへメッセージを送りコンセンサス作りにつなげるのだ。さらに、FED高官や連銀幹部のコメントもニュース・フローとして伝わることになる。相場急落でFRBに対する利下げ圧力が高まるなかで、パウエル議長のコミュニケーション能力が試される局面に差し掛かってきた。
加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想