先週末時点の予測 … 目先、23000円を守れるかどかに注目

著者:出島 昇
投稿:2020/02/25 18:52

先週は、想定通り23000~24000円の前半でのもみあいで、円安で23800円をつけるが一時的

 先週の予測では、前週に日経平均は23000~24000円のレンジの中で新型肺炎の感染拡大が続いているにも係らず23000~24000円のレンジの上限での動きとなっていたことで、感染拡大が継続するなら次は23000~23500円のレンジの下限の動きを想定しました。

 結果的に週の前半の2月19日(水)までは想定通り23500円以下でのもみあいとなりましたが、20日(木)には、米株式のナスダックとS&Pの史上最高値更新と111円台の円安を受けて、日経平均は23806円まで上昇。しかし終値では23500円を超えることができませんでした。特に週末の21日(金)は、為替は1ドル=112円台前半までの急速な円安となりましたが、日経平均の上昇は限定的で、逆にマイナス圏での推移となりました。これまで円安と日本株の上昇は連動していましたが、少し状況が変わってきました。ドルは米経済指標や決算が好調で買われていますが、今回の円安の流れはユーロ圏が円を売っており、その理由は新型肺炎による日本経済の後退と、日本でのオリンピックは難しいのではないかという不透明さからきているといわれています。

 17日(月)は、連休中のテレビは新型肺炎の感染拡大ニュースだらけで、また、寄り前の10~12月期GDP速報値は前期比-1.6%と大きく悪化したことで、▲197円の23489円で寄り付き、一時▲351円の23335円まで下落しました。売り一巡後は下げ渋るものの、再び上値が重くなり▲164円の23523円と3日続落しました。

 18日(火)は、前日のアメリカは休場のため手掛かり不足から▲124円の23398円で寄り付き、米アップル社の1~3月期売上が新型肺炎の影響で予想に届かないというニュースで半導体関連が下落し、前場は▲285円の23237円でした。後場になると時間外の米株先物安が重しとなり、▲389円の23133円まで下落し、終値は▲329円の23193円と大幅に4日続落となりました。

 19日(水)は、前日の米国市場はアップルが売られて、NYダウは一時▲281ドルとなりましたが、ナスダックが最高値更新となり、NYダウは▲165ドルまで下げ幅を縮めたことや、上海株式、ハンセン指数も上昇したことや、円安も支えとなって△135円の23329円で寄り付き、終値は△206円と5日ぶりの大幅反発となりました。

 20日(木)は、前日の米国市場で3指標が上昇し、ナスダックとS&Pは最高値を更新し、ドルは買われて111円台半ばと3年ぶりの高値となったことで、前場の日経平均は△265円の23666円で寄り付き、一時△405円の23806円まで上昇して前場は△207円の23607円でした。しかし、後場になると戻り待ちの売りに押され上げ幅を縮小し、△78円の23479円となって終値では23500円をぬけませんでした。

 21日(金)は前日の米国市場は、新型肺炎への懸念が収束せず、為替はヨーロッパで円が売られて112.23円までドルが上昇しましたが、日経平均は23500円を前に上値重く、一時▲100円の23378円まで下げて、▲92円の23386円と3日ぶりに反落しました。

 21日(金)の米国市場は、新型肺炎の拡大により感染者が再び増加したことや、米経済指数の悪化もあって世界経済の減速懸念が高まり、NYダウは一時▲327ドルまで下げ、終値は▲227ドルの28992ドルと2日続落しました、為替は前日の112円台から111.57円の円高となっており、シカゴの日経先物は▲100円の23190円でした。

先週末時点の予測 … 目先、23000円を守れるかどかに注目

 今週は、拡大する新型肺炎の影響で、国外では日本への渡航の中止を政府が出す(19日には米疾病対策センターが日本への渡航者に渡航注意情報)など、各国の日本への渡航が減少してきています。又、国内ではスポーツや芸術などのイベントが中止となってきており、国内の人の移動も減少してきていますので、個人消費の低迷に結びつくことになります。そのため景気や企業業績に対する警戒感も増して、相場の地合いも悪化してくることになります。

 今週は週末、月末に向けて発表される海外の経済指標がどれくらい新型肺炎の影響を受けているのか注目され、見送りムードが強まることになります。

 約10ヶ月ぶりに1ドル=112円にのせた円安は、従来ならば円安・株高となるところですが、今回の円安は日本経済の今後の停滞見通しを懸念したものですので注意が必要です。新型肺炎は中国がスタートですが、春節明け以降も経済活動は不安定になっており、「世界の工場」である中国経済が変調をきたせば、世界経済の景気後退に繋がりますので、中国政府の積極的な対策を期待するところです。今週の日経平均の動きは、基本は23000~24000円のレンジの中で、前半(23000~23500円)での動きとなって。23000円を試す場面があるかもしれません。そうなった時の次の下値ポイントは昨年11月21日の安値22726円となります。

 新型肺炎の解決が長引けば、世界経済の低迷を先取りして、米株式も下がり、かなり大きな調整後、日経平均は21000円水準が長期的には可能性があることを念頭に入れておいた方がよいと思われます。もちろん、大きな調整を待つ人にとって数年に1度の買いチャンスになるといえます。

3連休明けの予測 … NYダウの下落につれ安する。米株式の反発を待つ

 日本市場が休場の昨日(24日)のアメリカ市場は、韓国、イタリアなど中国以外にも新型肺炎が拡大したことで、世界の景気悪化が懸念され、NYダウは▲1031ドルの27960ドルと2018年2月以来の大幅下落となりました、為替は1ドル=110.69円の円高となり、シカゴの日経先物は▲1125円の22165円でした。

 2018年12月25日(▲1010円)以来、1年2ヶ月ぶりの下げ幅となりましたが、売り一巡後は時間外で米株先物が上昇し、上海株式も落ち着いたことで前引けにかけて下げ渋りました。しかし、戻りは限定的で大引けは▲781円の22605円でした。時間外の米株先物の反発や日本株の22335円(▲1051円)をつけてからの戻りを考えると、そのまま相場は崩れていくことはないように見えます。チャート的には、本日の安値を切って22000円を切るようだと本格調整の可能性がありますが、新型肺炎の拡大をどう織り込むのかNYダウ次第といえます。

出島式ズバ株投資情報ブログ
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(指標)日経平均

 先週の予測では、前週から新型肺炎の拡大が一段と高まっており、その流れの中で警戒感が強まり、それに応じて株価は下値を試すことになります。基本は23000~24000円の1000円幅のレンジの中で前週は23600~24000円というレンジの後半の動きでしたが、先週はレンジ前半での動きとなりました。特に17日発表の10~12月期GDPの速報値が予想を下回れば投資家心理を冷やすとしました。

 結果的に、週前半はGDP速報値が-1.6%と予想を下回ったことで週前半は18日(火)は一時23133円まで下落しました。その後、米株式の史上最高値更新や1ドル=111円台への円安もあって、20日(木)には23806円まで上昇しましたが、終値では23500円を回復できませんでした。又、週末の21日(金)は112円台の円安になったにもかかわらず、日経平均は▲92円の23386円で引けました。日経平均の円安・株安という動きには注意が必要です。

 今週は、新型肺炎の拡大から日本経済に与える悪影響が注目されており、基本は23000~24000円のレンジでの前半(23000~23500円)の動きが想定されます。しかし、今のところ米株式が堅調ですが。米国でも新型肺炎が拡大すれば世界経済の悪影響から、アメリカ経済への懸念も生じ、米株式が調整すれば日本株式にも影響を与え、23000円を割る場合も考えられます。今週も国内各地で感染者が相次いでおり、人の移動が減って消費が抑えられ、景気を冷やすとの見方が生じて株価の上値を抑えることになります。22800~23500円のレンジを想定。
 
<a href='/stock/100000018'>日経平均</a>02-25
 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、前週のNYダウは新型肺炎に対する楽観論が優勢で、感染拡大にもかかわらず、2月12日には29568ドルと3万ドルの大台まであと432ドルと迫ってきたが、先週は楽観論が後退して上値が重くなるとしました。

 結果的に、3連休明けの18日(火)は、アップルの売上が新型肺炎の影響で目標を達成できないということで、▲165ドル29232ドルとなりました。翌日はナスダック、S&Pが史上最高値を更新したことで、△115ドルと反発するものの、その後は新型肺炎への懸念が収束せず、3指標そろって反落し、NYダウは一時▲328ドル下げ、終値は▲227ドルの28992ドルと29000ドルを割り込んで引けました。チャート上は、まだ余裕がありますが、1月31日の28169ドルを終値で切るとNYダウも要注意となります。

 新型肺炎に対する不透明感が、これまで楽観論だった米株式市場にもブレーキをかける可能性が出てきそうです。先週のFOMC議事録の内容は、新型肺炎に対する懸念は示されながらも、米経済の堅調さを示す議論が主流で、利下げなどの金融政策の変更の可能性は低いと認識されました。

 しかし、世界中に新型肺炎が拡大しており、米国でも感染が広がってくると投資家心理は後退することになります。高値圏で調整気味になりそうです。黄信号は1月31日の28169ドルを終値で切ってからといえます。

 日本が3連休中の昨日(24日)のNYダウは、新型肺炎の世界中への拡大から、世界経済悪化への懸念で▲1031ドルの27960ドルの急落となりました。先週末に予測した1月31日の28169ドルを切ると黄信号としましたが、そのような動きとなりました。
 
NYダウ02-25
 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、前週は新型肺炎の感染拡大が楽観視されて株価は上昇し、為替も110円近辺までのドル高・円安となりましたが、先週は楽観論が後退し、ドルは上値が重くなるとしました。しかし、一方で感染拡大の懸念が強まれば、トランプ政権は経済を維持するために一段の政策金利を要求してくるので利下げ期待が生まれるとしました。

 しかし、結果的には、感染拡大を嫌気してNYダウは反落となり、特に週末の21日(金)は3指標そろって下落となり、為替は10ヶ月ぶりの112円台となりました。チャートではドルは2016年12月15日の118.66円の高値から2018年3月26日の104.56円を安値とする、直角三角形(C)の上放れの形となってきています。このようなドル・円の動き(円安)となれば、日経平均は連動して上昇するところですが、今回は上昇できずにいます。それは日本経済が新型肺炎によって後退し、場合によってはオリンピックも開催できないのではという不透明感が投資の世界で広がっているとの見方があります。

 先週は、ドル・円で上値の重かった110円を突破し、2月20日には112.23円と1週間で約2円近いドルの上昇となりました。一気に2円近い円安となりましたが、日経平均は連動しない形となっています。今回の円安は、米経済の堅調さからのドル買い・円売りと、日本経済が新型肺炎による悪影響でかなり悪化するとの見方からの日本売り(円売り)の結果だと思われます。そう考えると当面は日本経済への不安や企業の業績悪化と個人消費の落ち込みなどから、円が売られドル・円はジリ高の可能性があります。110~113円のレンジを想定。

 日本が3連休中の昨日(24日)は、世界各国へ新型肺炎が拡大し、世界経済への悪化懸念から、NYダウが1000ドルを超す急落となり、ドルも売られて111.72円から110.34円まで下げ、引けは110.67円で引けました。
 
為替02-25
 

配信元: みんかぶ株式コラム