NYコラム(14日)ダウ平均は2万9500ドル付近で上値が重い−3連休控え商い低調か⁈

著者:加藤裕一
投稿:2020/02/14 23:03

▶︎NY株式市場(14日)ダウ平均はもみあいスタートか⁈−小売売上高0.3%増

14日のアメリカ株式市場でダウ平均は方向感を探りながらのスタートへ

取引開始前に発表されたアメリカの1月の小売売上高は、前月比0.3増と市場予想と一致した。改めてアメリカ国内での個人消費の底固さを示す内容となった。

ただ、筆者が注目しているのは、ミシガン大学の消費者態度指数だ。新型肺炎が世界に拡大した2月分の速報値として発表される。

市場予想では、99.5と前月=1月(99.8)から悪化が見込まれている。

来週には、フィラデルフィア製造業景況感指数など2月分の景況感=マインドを示すソフト・データが相次いで発表される予定だ。

新型肺炎の拡大が消費者マインドに与えたインパクトを見極めるタイミングにある。

14日のアメリカ株式市場は、午後に入るとやや持ち高を整理する動きが商いの中心になるだろう。

来週月曜日はアメリカ市場が祝日で休場となるため、積極的にポジションを傾けにくくなっている。

ダウ平均は、13日の日中値幅(高値:2万9535ドル−安値:2万9345ドル)のレンジ内に収まるイメージだ。

アメリカ政府は、日本時間14日午後2時過ぎに中国からの輸入品に対する制裁関税(テレビなど1200億ドル)の税率を15%から半分に引き下げた。

先月15日に行われた米中貿易協議で「第1段階」の合意に伴い発効した。

中国政府もアメリカからの輸入品(750億ドル)に課している税率を半分に引き下げている。

第1段階の合意に盛り込まれた中国によるアメリカ農産品などの輸入(2年で2000億ドル増やす)に関する履行は、新型肺炎の発生で非常に厳しいだろう。

新型肺炎が収束するまで貿易協議は棚上げで、米中の貿易をめぐる覇権争いは、新型肺炎の発生で大きな転換点に差し掛かっているのではないだろうか。

トランプ政権は、大統領選挙の情勢を踏まえつつ、新型肺炎が拡大した中国の景気動向次第で貿易交渉の戦略を修正せざるを得ないとみる。
加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想