米中貿易協議への期待でドル円は109円台堅持=NY為替後半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/12/13 05:56
 NY時間の終盤に入ってドル円は109.35円近辺での推移が続いている。きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが強まり、ドル円は109円台を回復している。トランプ大統領の発言がきっかけとなったようだ。大統領は「中国との大きな取引に非常に近づいている。彼らはそれを望んでおり、私たちもそうだ」と述べていた。

 また、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として、米国側の関税引き下げ案は3600億ドルの中国輸入品が対象と伝えていたこともフォローとなっている模様。3600億ドルの中国輸入品に対して、最大50%関税を引き下げる案を提示しているという。この提案は5日間で作成されたものだと伝えていた。

 更に終盤に入って今度はブルームバーグが関係者の話として、米交渉担当者は中国と原則合意しており、トランプ大統領の署名を待っていると報じたことで、堅調な動きが続いている。

 米株式市場も買いが強まり、ダウ平均は一時300ドル超上昇し、米国債利回りも大幅に上昇する中、ドル円は上値を抑えていた200日線を突破し、109.30円近辺まで上昇。目先は今月初めに付けた109.75円付近が意識されるが、まずは109円台と200日線を維持できるか注目される。

 ユーロドルは伸び悩んでいるものの、一時1.1155ドル近辺まで上昇し、200日線に顔合わせする場面も見られている。きょうはラガルドECB総裁のもとでの初のECB理事会が開催されていたが、大方の予想通りに政策は据え置きとなった。ただ、その後のラガルドECB総裁の初の会見で、「底打ちの暫定的な兆しがある」との認識を示したことで、ユーロは買いが強まる場面が見られた。

 総裁の理事会のデビューに関して市場からは、「エレガントで信頼感があった」との声も聞かれるなど上々の滑り出しとなったようだ。市場が注目していたECBの戦略検証は1月のうちに開始すると表明した。気候変動問題も含め、2020年末までに完了したいとも述べていた。

 ポンドドルは戻り売りが強まり、一時1.30ドル台半ばまで急速に下落。英総選挙の投票が始まっており、その行方をにらみながら、選挙結果前のロングポジションのヘッジと思われる売りが断続的に入り、1.3050ドル近辺まで急落していた。しかし、終盤に入って急速に買い戻されている。終盤に入ってヘッジの動きも一巡したものと思われ、今度は1.3170近辺まで急速に買い戻される展開。英総選挙への思惑が錯綜する中、きょうのポンドドルは値動きの荒い展開が見られている。

 基本的には選挙の結果待ちだが、シナリオは3つある。直近の世論調査から可能性の高い順番に、1)与党・保守党が過半数を獲得し、秩序あるEU離脱が実現。2)与党・保守党は勝利はするものの過半数を獲得できずに少数与党になり、議会は混迷し、合意なき離脱の可能性も。3)野党・労働党が勝利し、2回目の国民投票実施などがある。

 1と3はポンドにとってはポジティブとの見方も多く、2であれば、ポンドは3%急落するとの予想も出ている。いずれにしろ、大勢判明は日本時間の昼以降になるものと思われるが、明日の東京市場は開票速報に釘付けになりそうだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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