トランプ発言で米中協議への期待後退 ドル円は108円台半ばに下落=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/12/04 02:53
 きょうのNY市場はリスク回避の雰囲気が強まる中、為替市場はドル売り・円買いが強まっている。ドル円は一時108.50円近辺まで下落し、108円台後半に来ている200日線と21日線を下回る展開。

 トランプ大統領がNATO首脳会談のため訪問中のロンドンで記者団の質問に答え、「中国との貿易合意に期限はなく、来年の米大統領選後でも良い」と述べた。この発言で市場は、早期の第1段階合意への期待感を大きく後退させているようだ。

 12月15日に対中追加関税の期限を向かえる中、市場では年内に合意はしなくても、協議は継続され、追加関税は見送られるとの期待が出ている。ただ、トランプ政権は15日までに合意できなければ、追加関税を発動する方針を明確にしており、きょうのトランプ大統領の発言で、関税発動への懸念を強めているようだ。また、来年への合意持ち越しを市場は、ある程度許容している面もあるが、大統領選後というのは、あまりに遅過ぎるとも感じているのかもしれない。

 米株や米国債利回りが大きく下げ、リスク回避の雰囲気が強まる中でドル円は利益確定売りを強めている格好。目先は11月に強いサポートとなっていた108円台前半の水準が意識される。

 ドル売りが強まる中、ユーロドルは前日からの買い戻しが続いており、一時1.1095ドル付近まで上昇し、1.11ドルをうかがう動きを見せている。ただ、ユーロ買い自体の材料はなく、ドルの動きが依然としてユーロドルを支配している構図に変化はない。

 ECBは11月から開始している債券購入プログラムで、目標の月200億ユーロに対して、11月は約241億ユーロの債券を購入したことが明らかとなっている。その中で、ECBは償還期限が長めの社債をターゲットにしている傾向がうかがえたほか、新発債や発行まもない債券の購入も多く見くけられた。購入した債券のうち77%が残存期間6年以上の債券で、新発債の平均償還期限は9.6年となっている。社債については66億ユーロを購入した。

 なお、市場の一部からは、12月の購入は140億~160億ユーロ程度へ減速するとの見通しも出ている。また、12月19日から31日までは購入が休止される予定だが、完全に購入を中止することはないとの見方なども聞かれた。

 ポンドドルも買いが強まっており、1.30ドル台に上昇。この日発表の世論調査では保守党がリードを広げていたこもポンドをサポートしている。対円では下落しているものの、対ユーロでは上昇。この日発表になった英建設業PMIが3ヵ月連続で上昇していたこともポンド買いをフォローしている模様。ただ、ポンド円は一時140円台に下落している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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