イタリアのコンテ首相辞任もユーロは買い戻しが優勢に=NY為替

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/08/21 01:35
 ユーロドルはNY時間に入って買い戻しが優勢となっており、1.11ドルちょうど付近まで戻している。全体的に上値は重く1.10ドル台での推移が続いていた。イタリアのコンテ首相が議会で演説を行い首相を辞任することを発表した。同国のマッタレッラ大統領と本日中に面会を行うとしている。そのニュースが流れた直後はユーロは売りが強まり、1.1065ドル付近まで下落する場面も見られたものの、直ぐに買い戻しが強まっている。首相の辞任はある程度織り込んでいた節もあり、驚きではなかったようだ。

 ただ、イタリア政局に対する市場の不信感は強まっているようにも思われる。イタリアの銀行はまだ信用危機から完全に回復しておらず、伊銀は国債市場へのエクスポージャーを高めている。政治的な不安感の高まりが国債市場を圧迫する可能性もありそうだ。

 今後のシナリオとしては、マッタレッラ大統領が新政権樹立に向けて動く。与党の五つ星運動が今度は民主党(PD)との連立に動いており、PDの実力者であるプローディ元首相は支持しているとの報道も流れている。まずは新政権を樹立できるかが焦点となるが、それに失敗すれば、同大統領は議会を解散し総選挙を実施する可能性が高まる。

 もっとも、五つ星運動と民主党(PD)との連立は長続きしないとも見られており、年内に総選挙が実施されるとの見方も根強く、国民の人気が高い同盟のサルビーニ党首がいずれ首相に就任すると見られているようだ。サルビーニ党首は減税を主張しており、財政規律を維持できるか不安も根強い。

 ユーロ圏経済は景気後退に陥るとの見方が強まっており、確率70%との見方も出ている。いずれにしろ、ユーロドルは買い戻しが出ているものの、現状からは積極的に上値を追う状況ではなさそうだ。

EUR/USD 1.1097 EUR/JPY 117.98 EUR/GBP 0.9124
 
minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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