ドル買いの動き ローゼングレン総裁の発言に反応も=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/08/20 06:00
 きょうのNY為替市場でドル円は底堅い動きとなっており、一時106.70円近辺まで上昇。株式市場も米国債利回りも上昇しておりリスク回避の円高が一服している。目先は先週上値を拒まれた107円ちょうど水準が意識されるが、107円にかけては新規売りオーダーも観測されている模様。

 後半に入るとローゼングレン・ボストン連銀総裁の発言が伝わりドル買いの反応が見られた。同総裁は「見通しが想定通りなら追加緩和の必要はない。金融政策は既に緩和的。追加緩和を正当化する証拠が欲しい」などと追加緩和に慎重姿勢を示した。

 市場は週後半のジャクソンホールでのFRBの年次シンポジウムに注目している。特に23日にはパウエルFRB議長の講演が予定されておりその内容を見極めたい雰囲気が強い。FRBは世界経済や貿易問題の影響を懸念し、前回のFOMCで10年ぶりに利下げを実施した。足元の米経済指標を見ると、インフレ指標は低下傾向を示しているものの、そのほかの指標は力強い内容が相次いでいる。

 前回の利下げは保険的利下げの位置づけだったが、市場では米中貿易問題がエスカレートし、世界経済も減速傾向を鮮明にする中、FRBによるもう一段の保険的利下げを見込む動きが強まっている。一部には9月FOMCで0.5%の大幅利下げを織り込む動きも出ている状況。

 そのような中で、パウエルFRB議長が市場の期待を追認する発言を行うかどうか注目されている。その場合、ドル円は再び大きな心理的節目である105円を目指す展開も警戒されているようだ。

 ユーロドルは1.10ドル台に下落。序盤は下げが一服し、一時1.1115ドル付近まで上昇する場面も見られた。ドイツ政府は同国経済が深刻なリセッションに陥った場合に発動できる財政措置を準備していると伝えていた。先週からドイツ政府は財政赤字覚悟の景気刺激策を検討との報道が繰り返し伝わっている。ただ、終盤になってドル買いの動きが出ており、1.10ドル台に戻す展開。

 きょうは独連銀が月報を公表していたが、第3四半期にドイツ経済が再びマイナス成長となるリスクが想定されると報告していた。ユーロ圏経済についても第3四半期は低調なペースの成長を予想しているという。労働市場が軟化の初期兆候を示しているとも指摘。

 ポンドドルは1.2160ドル近辺まで買い戻される場面が見られた。ロンドン時間の序盤に売りが優勢となり1.2105ドル近辺まで下落する場面が見られた。きっかけは労働党のマクドネル議員が10月か11月の総選挙を予想していると述べたこと。

 市場は英EU離脱に関して国民の意見が分かれている中で、選挙後の議会はどの政党も過半数を獲得できないハングパーラメントの状態になるリスクを意識している面もあるようだ。なお、英政府は議会の早期解散は排除と発表していた。

 ジョンソン英首相は今週、メルケル独首相とマクロン仏首相と会談を行う計画でEU離脱が議題にのぼりそうだ。ジョンソン首相はバックストップ条項の削除を求めているが、現段階ではまず受け入れられないであろう。目先は21日線が1.22ドルちょうど付近に来ている。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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