[資源・新興国通貨8/12~16の展望] 15日に政策金利発表、メキシコ中銀の判断は!?

著者:八代 和也
投稿:2019/08/09 16:00

豪ドル

RBA(豪中銀)は8月6日、政策金利を過去最低の1.00%に据え置くことを決定。声明では、「労働市場の動向を引き続き注意深く監視」し、「“必要に応じて”金融政策をさらに緩和する」と改めて表明しました。

RBAが政策金利を据え置いたのは、これまでの利下げ(6月と7月に実施)の効果や豪政府による減税の影響を見極めるためと考えられます。ただ、いずれ追加利下げが必要になるとみられます。豪州の6月の失業率は5.2%と、RBAがインフレの加速に必要と推計する4.5%を大きく上回っているうえ、米中貿易摩擦が一段と激化するおそれがあるためです。

足もとの豪ドルは、豪州の材料(RBAの金融政策など)以上に投資家のリスク意識の変化に反応しやすい地合いであり、こうした状況は当面続くとみられます。米中貿易摩擦が一段と激化する場合、リスク回避の動きが強まり、豪ドルに対して下落圧力が加わる可能性があります。

NZドル

RBNZ(NZ中銀)は8月7日、0.50%の利下げを決定。政策金利を1.50%から過去最低の1.00%に引き下げました。利下げは今年5月以来(6月は据え置き)です。

オアRBNZ総裁は会合後の会見で追加利下げを示唆。「今回の利下げは、将来行動することを排除しない」と述べ、「マイナス金利が必要になるというのは、十分に可能性の範囲内だ」と語りました。

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FRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中銀)など主要国中銀の多くが政策の緩和姿勢を強めています。その中でも、RBNZは緩和姿勢が特に強い感があります。RBNZは、次回の金融政策報告の公表と総裁会見が行われるタイミングである11月に追加利下げに踏み切りそうです。RBNZの利下げ観測が今後、NZドルの上値を抑える可能性があります。

一方で、NZドルは豪ドルと同様、投資家のリスク意識の変化を反映しやすいという特徴があり、リスク回避の動きが強まる場合には、NZドルに対して下落圧力が加わる可能性があります。NZドル/円は63.251円が下値メドになりそうです。63.251円は、44.250円(2009年2月安値)から93.990円(2014年12月高値)の上昇幅49.740円に対して、61.8%下落した水準です(フィボナッチ参考)。

カナダドル

カナダドルは今週(8/5の週)、対米ドルで約1カ月半ぶり、対円で約7カ月ぶりの安値をつけました。原油安の進行が資源国通貨であるカナダドルの重石となったうえ、対円(カナダドル/円)はリスク回避の動き(円高)も加わり、下げが大きくなりました。米WTI先物は今週、約7カ月ぶりの安値を記録しました。

来週(8/12の週)のカナダドルは引き続き、原油価格の動向に左右されやすい地合いになりそうです。主要産油国が協調減産の幅を拡大するとの観測が浮上しているため、原油価格は下げ止まる可能性があります。その場合、カナダドルは底堅く推移しそうです。カナダドル/円については、米中貿易摩擦の行方にも影響を受けそうですが、下値メドとしては76.910円(1/3安値)が挙げられます。

トルコリラ

トルコリラは今週(8/5の週)、対米ドルで約4カ月ぶりの高値をつけました。主要国の中銀の多くが利下げへと動くなか、TCMB(トルコ中銀)の政策金利(19.75%)の高さが市場に着目されているとみられます。また、S-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)の納入が7月に始まりました。米国はトルコに対して“S-400を導入すれば、制裁を科す”と警告していましたが、今のところ米国にその動きがみられていないことも、リラの下支え要因になっていると考えられます。

ただ、トランプ米大統領やエルドアン・トルコ大統領の言動には注意が必要です。両大統領が米国とトルコの関係を悪化させるような言動をすれば、トルコリラは下落基調へと転じる可能性があります。

8月11~14日はトルコの祝日です(犠牲祭)。市場参加者が減少して通常よりも流動性が低下する分、突発的なニュースが出た場合にはトルコリラの値動きが増幅される可能性があり、要注意です。

南アフリカランド

南アフリカランドは今週(8/5の週)、対米ドルで約11カ月ぶり、対円で約3年1カ月ぶりの安値をつけました。米中貿易摩擦の激化への懸念から新興国通貨全般に対して下落圧力が加わるなか、南アフリカの格下げへの懸念やエスコム(国営電力会社)の問題がランドを一段と押し下げました。

格付け会社のムーディーズは7月25日、南アフリカ政府がエスコム(国営電力会社)に対する追加支援(590億ランド)を議会に提案したことについて、「国の信用力にネガティブに働く」と警告しました。ムーディーズは南アフリカ(外貨建て長期債務)に対して投資適格級最低の“Baa3”の格付けを付与。格下げされれば、南アフリカはジャンク(投機的等級)に転落します。

一方、エスコムは7月30日、“2019/20年度は200億ランドの純損失を計上するとの見通し”を発表。ムーディーズは8月6日、「エスコムの資本構造は持続不可能であり、ただちに改善計画が必要だ」と指摘しました。

南アフリカランドには引き続き下落圧力が加わりやすいとみられ、ランドは一段と下がる可能性があります。ランド/円は6.300円(2016/6安値)が下値メドになりそうです。

メキシコペソ

BOM(メキシコ中銀)が8月15日に政策金利を発表します。その結果がメキシコペソの動向に影響を与える可能性があります。

経済指標は、利下げを支援する内容です。メキシコの4-6月期GDP成長率は前期比+0.1%にとどまり、かろうじて2四半期連続のマイナス成長(1-3月期はマイナス0.2%でした)を回避。7月CPI(消費者物価指数)は前年比+3.78%と6月の+3.95%から上昇率が鈍化しました。

一方で、米中貿易摩擦の激化を背景にメキシコペソが対米ドルで足もと軟調に推移しています。その状況のなか、BOMが利下げに踏み切れば、ペソに対してさらなる下落圧力が加わる可能性があります。通貨安は輸入物価の上昇を通じてインフレ圧力を強めるおそれがあります。

BOMは難しい政策判断に迫られそうですが、今回は政策金利を据え置いて声明で利下げを示唆する可能性が高いと考えられます(そして9月26日の会合で利下げか)。

市場の見方は“利下げ”と“据え置き”で分かれているため、政策金利が据え置かれれば、メキシコペソが上昇しそうです。ただし、米中貿易摩擦が一段と激化してリスク回避の動きが強まる場合にはそちらの影響の方が大きくなる可能性もあります。リスク回避はペソ安要因であると同時に、円高要因でもあります。
八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
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