アドクリ Research Memo(1):2020年9月期以降収益成長が加速する見通し

配信元:フィスコ
投稿:2019/06/17 15:31
■要約

アドバンスクリエイト<8798>は、国内最大級の保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」を運営する独立系保険代理店の大手。「保険市場」を通して問い合わせのあった見込み顧客に対して、非対面型販売(通信販売、ネット完結型販売)や同社直営店舗での対面販売、提携代理店への送客など、多様な販売チャネルを通じて保険商品の販売を行っている。収益の大半はこの保険契約から得られる代理店手数料収入で占められ、そのほかにメディア事業、再保険事業を展開している。

1. 2019年9月期第2四半期累計業績
2019年9月期第2四半期累計(2018年10月-2019年3月)の連結業績は、売上高で前年同期比10.9%増の5,161百万円、営業利益で同12.1%増の689百万円と連続増収増益となった。主力の保険代理店事業の売上が同5.8%増と順調に増加したほか、メディア事業の売上が同214.1%増と急拡大したことが増収要因となった。メディア事業は「保険市場」の広告収入と保険会社向けのWeb広告運用サービスのいずれも好調に推移した。利益面では、プロモーション費用や人件費等の増加で保険代理店事業が減益となったものの、メディア事業の利益増でカバーした。

2. 2019年9月期業績見通し
2019年9月期の連結業績は、売上高が前期比15.1%増の10,900百万円、営業利益が同30.9%増の1,530百万円と期初計画を据え置き、6期ぶりの過去最高業績更新を目指す。第2四半期までの進捗率は売上高で47.4%、営業利益で45.1%と過去3年間の平均(売上高49.7%、営業利益54.5%)をやや下回る進捗となっており、足下の月次動向もやや軟調なことから、会社計画にはやや届かない可能性があるものの、メディア事業の成長や保険代理店事業、再保険事業の収益回復により増収増益基調は続く見通しだ。

3. 成長戦略
同社は「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を目指しており、新規事業としてASP※1事業とBPO※2事業を育成していく。ASP事業では、同社が独自開発した顧客管理システム「御用聞き」の外販を2018年11月より開始しており、提携代理店等で導入が進んでいる。また、2019年7月には共通プラットフォーム「ACP(Advance Create Cloud Platform)」を「御用聞き」に実装して外販する予定となっている。現在ACPでは異なる生命保険会社の保険商品を申し込む際の手続きを簡素化する機能を搭載しており、将来的には保全業務の効率化を実現する機能等も開発し、実装していく予定にしている。これらサービスは乗合代理店にとって、業務効率の向上につながるため潜在需要は大きく、今後急成長していく可能性がある。社内利用で開発したシステムのため収益性も高く、早ければ2020年9月期から収益貢献する見通しだ。また、BPO事業では、コールセンター業務のノウハウを生かして保険会社や保険代理店から保全業務※3の受注を獲得する。2019年6月より業務を開始し、徐々に規模を拡大していく計画となっており、2021年9月期以降の収益貢献を見込んでいる。既存事業の成長に加えて、これら新規事業が加わることで、同社の収益成長は2020年9月期以降加速していくものと予想される。

※1 ASP(アプリケーション・サービスプロバイダ)…インターネットを通して各種アプリケーションを提供するサービスまたはサービスを提供する事業者のこと。
※2 BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)…企業運営上の業務やビジネスプロセスを外部委託すること、受託する側をBPOベンダーと呼ぶ。
※3 保全業務…保険商品等の契約後の各種手続き(名義変更、保険料未納付者への督促、保険支払い手続き等)の総称。特に、保険料未納付者への督促業務はニーズが強い。


■Key Points
・国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店の大手
・2019年9月期第2四半期累計業績はメディア事業の急成長により増収増益を達成
・配当性向は50%以上が目安、株主優待や自己株式取得も行うなど株主還元に積極的な企業として評価

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ

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