ドル円が110円割り込む リスク回避の円高と先行き不安のドル売りが重なる=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/05/24 01:57
 きょうのNY為替市場、リスク回避の雰囲気が強まる中、ドル円は110円を割り込んでいる。リスク回避の円高もさることながら、ドル売りが強まっておりドル円を圧迫。

 トランプ政権が中国のハイテク企業への制裁を強める中、中国側も米国は間違った行動をとっていると非難しており、市場もハイテク新冷戦への懸念を高めているようだ。大手金融機関から米中貿易問題は長期化するとのレポートも出回っており、市場は改めてこの問題の影響に警戒感を示しているのかもしれない。

 ただ、この問題の長期化は既に認知されているところもあり、驚きはなさそうだが、楽観的に見ていた向きの修正が出ている可能性もありそうだ。

 ドル売りについては、米株式市場でダウ平均が400ドル超下落する中、米10年債利回りが2017年以来の低水準に下げている。きょうは原油相場も心理的節目の60ドルを割り込む中、景気の先行きへの懸念が高まっているようだ。前日のFOMC議事録ではFRBが利下げを協議していないことが明らかになっていたが、米中貿易問題を材料にした先行き不安で、FRBが予防的な利下げを実施してくるのではとの見方が根強くあるのかもしれない。

 ドル円はロング勢の見切り売りも出て、109.50円近辺まで下げ幅を拡大。目先は今月安値の109円ちょうど付近が下値サポートとして意識される。

 ユーロドルは買い戻しが強まっており、1.1180ドル近辺まで上昇。ドル売りがユーロドルを押し上げている。しかし、ユーロ自体に買い材料は無い。この日発表のユーロ圏やドイツの景況感指標は予想を下回る弱い内容だったほか、ECB議事録が公表されており、理事のハト派姿勢が示されている。複数の理事はインフレ率が目標を不快なほど下回っていると言及している。年後半に予定するしている長期資金供給プログラム(TLTRO)の実施条件を吟味することで合意していた。また、成長は年内に再び上向く公算が大きいとの見方は維持しているものの、曇り始めていることも示唆している。

 ファンダメンタルズからはユーロの上値を積極的に追う材料は無さそうだ。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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