ドルは上に往って来い ECBは慎重姿勢を強調=NY為替前半
きょうのNY為替市場でドルは上に往って来いの展開が見られている。序盤はこの日のECB理事会を受けてユーロが下落した半面、ドル買いが優勢となった。
ECBは予告通り年内一杯での資産購入終了に言及した。そのこと自体は大方の予想通りで、ユーロを圧迫したのがECBのスタッフ見通しで2019年の成長とインフレを下方修正したこと、そして、ドラギ総裁が会見で「最近のデータは予想よりも弱く、リスクバランスは下振れに向いつつある」と述べたことがユーロ売りを誘ったようだ。
ただ、中盤にかけて米株が伸び悩み、原油が買い戻されるなか、ドルは徐々に戻り売りに押されている。
ドル円は先ほどから伸び悩む動きを見せているものの、一時113.70円近辺まで上昇している。円安の動きがサポートしているようだ。投資家は米中貿易協議への懸念を消化し始めようとしている。中国の国営企業による米大豆の輸入再開が確認され、市場も次第に合意に向けて楽観的になっている模様。
ドル円はきょうの動きで21日線を上放れする展開が見られている。目先のターゲットである114円を試す動きまではまだ出ていないが、底堅い動きは見せている。
ユーロはECB理事会を受けて売り優勢となったものの、その下げを取り戻している。このところのドイツをはじめとした指標の弱さや、フランスやイタリアの政治的混乱などを考慮すると、ECBが慎重姿勢を強調するのは想定範囲であったのかもしれない。しかし、きょうのところは市場も改めて確認したといった反応ではあった。
ECB理事の一部からはより景気の先行きに対して警戒感を示すトーンを望む声も出ていたとの報道も流れていた。ただ、最終的には全員が賛成したという。
ポンドも序盤は戻り売りに押され、ポンドドルは1.26ドル台前半、ポンド円は143円半ばまで一時下落した。きのうメイ英首相は、与党・保守党内の党首としての信任投票に勝利したが、今後の展開は依然として不透明。きょうはブリュッセルでEU首脳会談が行われており、メイ首相は、より良い条件をEUから引き出したい意向を示していたが、EU側も再交渉には応じない姿勢を示しており難航しそうだ。
一部からは今回のメイ首相の勝利で不秩序なEU離脱の可能性は後退したものの、離脱そのものが覆る可能性が高まったとの指摘も聞かれる。前日の信任投票で不支持の人数は117名いたが、保守党内の反対勢力が造反し、野党・労働党と組んで議会での首相としての信任投票を求める可能性があるという。そうなれば2回目の国民投票への道が開かれることもあり得るという。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。
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