今週は、週末にメジャーSQもあり、21000円水準が守れるか注目

著者:出島 昇
投稿:2018/12/10 19:20

先週は、米中貿易摩擦をめぐって、週始め大幅上昇し、その後急落へ

 先週の予想では、12月1日(土)の米中首脳会談で貿易摩擦が和らぐような結果がでるかどうかがスタートで決まり、結果がよければ22500円水準を試すことになり、結果がよくなければ22000円水準を試す動きになるとしました。

 首脳会談の結果は、追加制裁を90日猶予するものとなり、貿易摩擦の緩和になるのかどうかわかりにくい結果でしたが、最初は好感して大幅な7日続伸となり、22698円まで上昇して、11月8日の戻り高値22583円を上回りましたが、終値では22574円と抜くことができませんでした。柴田罫線では買転換になったのでもう少し上があるかと思われましたがダメでした。

 結局、90日間の猶予の間に貿易摩擦が緩和するような進展はないとの見方からすぐに反落し、日米ともに下げ勢いがつき、日経平均は21307円まで下げ、NYダウも25980ドルから週末は24284ドルまで下落しました。

 3日(月)は、1日の米中首脳会談での追加制裁を90日猶予する合意を好感し、一時△347円の22698円まで上昇したものの、戻り売り圧力が強く△223円の22574円となって11月8日の戻り高値22583円を終値では突破できませんでした。

 4日(火)は、前日のアメリカ市場も米中首脳会談の交渉決裂という最悪のシナリオが回避されたことで買い戻しとなり、3指標そろって続伸し、NYダウは△287ドルの25826ドルとなりましたが、日経平均は追加関税延期は昨日すでに織り込んでおり、逆に90日猶予くらいの措置では貿易摩擦解消にはならないという懐疑的見方から▼538円の22036円と8日ぶりの大幅反落となりました。

 5日(水)は、前日のアメリカ市場では、長期金利が大きく低下し、長短金利が逆転する現象(マクロ的に景気後退を示唆する)が起きたことで、▼799ドルの25027ドルの大幅反落となり、これを受けて日経平均は▼327円の21708円まで下落し、終値は▼116円の21919円と続落しました。

 6日(木)は前日のアメリカ市場はブッシュ元大統領の追悼で休場でしたが、日本市場では開始前に中国通信機器最大手ファーウェイの副会長が米国の要請によりカナダで逮捕されたと報じられると、米中貿易戦争の激化懸念から時間外での米株価先物の下落や上海株式の下落が嫌気され、一時▼611円の21307円まで下げ、終値は▼417円の21501円で引けました。

 7日(金)は、前日のNYダウは▼785ドルまで下げて終値は▼79ドルの24947ドルと大きく戻したことで、日経平均は△142円の21643円で始まり、一時△4円の21506円まで上げ幅を縮小するものの、終値は切り替えして△177円の21678円で引けました。

 7日(金)のアメリカ市場は、中国通信機器最大手ファーウェイの副会長をアメリカの情報によりカナダ当局に逮捕させたことがきっかけに、米中貿易戦争の激化、長期化懸念から中国関連銘柄中心に大きく下落し、NYダウは▼558ドルの24388ドル、ナスダックは▼219Pの6969Pとなりました。為替は11月雇用統計で非農業分門雇用者数が予想を大きく下回ったことで、追加利上げのペースが後退するとの思惑からドルが112.56円まで売られました。

 シカゴの日経先物は▼285円の21335円でした。

今週は、週末にメジャーSQもあり、21000円水準が守れるか注目

 今週も引き続き貿易摩擦を巡る米中対立の悪影響を探る神経質な展開が想定されます。先週後半の中国通信機器最大手のファーウェイの副会長の逮捕をきっかけに貿易摩擦の激化懸念が高まっており、アメリカの長短金利逆転を嫌気して、NYダウは大幅下落となり、シカゴの日経先物も▼285円の21335円となっていますので、まずは11月21日の安値21243円を守れるかどうかとなります。

 この21243円は、10月2日に年初来高値の24448円をつけてからの1番底が10月26日の20971円で、11月21日の21243円が2番底となって12月3日に22698円まで上昇して下落している形となります。21243円を終値で切ると、この2番底の形は崩れ20971円を試す形となります。ここを終値で切ると今年の最安値3月26日の20347円がターゲットになってく可能性もあります。

 今週はメジャーSQもあり大きな上下動の可能性もありますので基本的には様子見となります。

 本日12月10日(月)は、先週末の米中貿易摩擦懸念でアメリカ株式の大幅下落に加わって、寄り前の7~9月期GDP改定値が、速報値の▲1.2%を下方修正する▲2.5%になったこともあり、一時▼508円の21169円まで下落しました。いったん下げ渋るものの戻りは弱く、後場はアジア株安もあって安値でのもみあいが続くが、その後、日銀のETF買い期待で持ち直す場面もあったが、上値重く▼459円の21219円で引けました。21000円水準が守れるかどうか(特に10月21日の20971円)に注目となります。週末のメジャーSQも絡んでいるのでザラ場は大きな上下動も考えられます。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、12月1日(土)の米中首脳会談の結果を受けて米中に歩み寄りがみられれば、日本市場は上昇で始まるとし、その場合でも22500円水準からは過去の累積出来高が多いところであり戻り売り圧力が強いとしました。

 結果的に、米中首脳会談では追加制裁を90日猶予することが決まり、これを好感して12月3日(月)は22698円まで上昇して△223円の22574円で引けました。しかし、すぐに懐疑的見方となって翌日12月4日(火)は▼538円の22036円と大幅反落し、さらに米中貿易戦争激化懸念が高まり、12月6日(木)には21307円まで下げ▼417円の21501円で引けました。週末は△177円と4日ぶりの反発でした。

 今週は、先週に引き続き米中貿易摩擦の再燃への警戒が高まり、さらに11日には英国のEUからの離脱を巡る合意案の採決が予定され、否決されるようであれば欧州株式市場が下落し、日米の株式市場にも影響を与えることになります。神経質な動きとなりそうですが、下値はまずは11月21日の安値21243円を守ることができるかどうかとなり、ここを切ると10月26日の20971円が下値ポイントとなります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、12月1日(土)の米中首脳会談での通商協議が全面的合意にならなくても前向きな進展があれば、株価のサポート要因になりそうだとしました。

 結局、12月1日(土)の米中首脳会談で、中国への追加関税の発動を90日間猶予することになり、これを好感して12月3日(月)のNYダウは25980ドルまで上昇し、△287ドルの25826ドルで引けました。しかし、すぐに米中貿易摩擦の行方について懐疑的見方となり、長期金利が大きく低下して長短金利の逆転となり、一時▼818ドルまで下げて▼799ドルの25027ドルと大幅反落となりました。さらに週末になると、中国通信機器最大手ファーウェイの副会長がカナダ当局により逮捕(アメリカの要請)されたことで米中貿易戦争激化懸念から▼558ドルの24388ドルと昨年来水準を割り込んで引け、柴田罫線では売転換となっています。

 今週は、先週の米中首脳会談の追加関税延期は、一時的な先送りに過ぎないとの見方となり、さらにファーウェイの副会長の逮捕から貿易交渉は激化し、米景気の先行き懸念が強まり、投資家心理が悪化した状態のままの相場となりました。来週にはFOMCを控えており様子見ムードが強まりそうです。又、11日には英国のEUからの離脱を巡る合意案の採決があり、もし否決されれば欧州株は下落し、アメリカ市場への影響も考えられます。

 チャートでは、24000ドル水準は目先の下値ですが、もし4月2日の23344ドルを終値で切ると10月3日の26951ドルの高値が決定することになります。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、利上げ継続への期待が低下しており、リスク選考のドル買いは抑えられますが、一方でユーロ売り・ドル買いは根強いためドルは下げ渋ることになりそうだとしました。

 週始めは、米中首脳会談の結果を受けてドルが買われ113円台半ばの動きだったものの米中貿易協議の責任者に対中強硬派のライトハイザー通商代表が選ばれたため協議離脱の思惑から株売り、ドル売りとなって112.64円で引けました。

 今週は、12月18~19日にFOMCを控え、インフレ指数が市場予想を上回れば12月の追加利上げを織り込むことになります。アメリカ経済の減速感が広がれば、リスク回避のドル売りがやや強まり、円高方向の動きとなり、又、長期金利の低下や株式が下落すればドル売りになりやすいといえます。12月利上げを織り込む動きと、リスク回避のドル売りでもみあいになる可能性もあります。111.5~113.5円のレンジを想定。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム