【IRアナリストレポート】EMシステムズ(4820)

著者:鈴木 行生
投稿:2018/12/03 19:22

~薬局・クリニック(診療所)・介護施設を繋ぎ、EHR(医療情報連携)を推進~

【ポイント】
・今下期から完全ストック型課金モデルに、ビジネスモデルを転換しつつある。11月にAIを取り込んだ新共通情報システム基盤(MAPsシリーズ)を発表した。これは画期的である。ソフト中心で、ハードについてはユーザーが自分で準備すればよい。使いやすさを十分検討しているので、これまでのような多くのサポートはいらなくなる。

・調剤薬局にとっては、例えば、今まで5年間で400万円かかっていた薬局の場合、ハード・ソフトの費用が、ソフトの初期費用がなくなるので、既設のハードを使う場合は240万円で済む。月々4万円の課金が基本となる。当社は初期売上160万円に含まれていた利益を失うことになるが、そのためのサービス提供コストも削減される。価格競争力は大幅に高まるので、業界シェアを32%から5年以内に50%まで高める計画である。

・初期収入がなくなるので、来期の業績は大幅に落ち込もう。しかし、3年目からは完全ストック型の課金モデルが寄与してこよう。5年目には会社計画を上回る過去最高の業績が達成できよう。業績の大幅ダウンは、2008年にかつてのフロー型モデルから、一部ストック型モデルに転換した時に経験している。10年を経て、再び勝負に出た。成功する公算は高いので、大いに期待できよう。

・AIを活用した商品やサービスの開発と提供を目指し、㈱情報医療への資本参加やUbicomとの業務提携を進めている。NECともAI活用や医療連携で組んでいる。11月には病院向けカルテのシーエスアイとも協業を開始した。完全クラウド型の課金型ビジネスモデルで差異化は大きく進展しよう。

・新中期5ヵ年計画では、調剤システムと医科システムの拡大に加えて、介護事業者向けシステム事業を第3の柱として推進していく。調剤システムで業界シェア50%、電子カルテの医科システムで10%、介護システムで5%を目指す。

・5年後の2023年3月期で経常利益51億円を目指しているが、これは十分クリアすることができよう。株式市場での評価は、ネットワーク化の進展とストック効果による3部門の収益力向上とともに大幅に高まってこよう。

目 次
1.特色 薬局向け処方箋処理システム(レセコン)で業界トップ
2.強み 他社に真似のできない課金システムの確立で収益は安定
3.中期経営計画 完全ストック型ビジネスモデルへの転換を開始
4.当面の業績 戦略遂行で今後2年間の大幅減益は想定内
5.企業評価 業績浮上後は会社計画を上回るストック効果に期待

EMシステムズ <4820>
企業レーティング
株価
(18年12月3日)
1167円
時価総額 426億円
(36.516百万株)
PBR 2.53倍
ROE 12.3%
PER 20.4倍
配当利回り 1.5%
総資産 21754百万円
純資産 16479百万円
自己資本比率 75.1%
BPS 461.9円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2008.3 11288 1010 997 496 15.7 5.75
2009.3 8776 -1316 -1355 -1241 -39.1 3.25
2010.3 9818 -720 -493 -516 -16.3 3.25
2011.3 8202 86 318 1149 36.4 4.50
2012.3 9013 835 977 447 14.5 5.25
2013.3 10257 1209 1766 1076 35.1 7.50
2014.3 11369 1672 2284 1420 45.6 9.25
2015.3 11257 1232 1702 965 30.0 11.25
2016.3 13199 1861 2446 1621 46.7 11.75
2017.3 13676 2597 3163 2116 60.3 15.50
2018.3 13953 3063 3618 2369 66.7 18.50
2019.3(予) 13200 2400 3000 2020 57.1 18.00
2020.3(予) 13000 1400 2000 1300 36.8 18.00

(2018.9ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2016年4月1日に1:2、2018年3月1日に1:2の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/emsisutemuzu201812.pdf
 

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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