テクノスJPN Research Memo(8):「スマート&デジタル化」の推進や北米市場への展開により成長加速を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2018/09/06 15:38
■成長戦略

テクノスジャパン<3666>は、これからの成長軸として、「ERPビジネス」と「ビッグデータ」、「グローバル」の3つを掲げている。新技術への対応や新たな価値創出を図りつつ、グループ各社及び提携先(協業企業や政府、大学、外部団体を含む)の強みを生かしたビジネスモデル構築により成長を加速する戦略である。また、今後の戦略テーマとして、ビッグデータや最新デジタル技術(IoTやAI、ブロックチェーン等)の普及によって市場拡大が予想されている「スマート&デジタル化」の推進に注力する方針である。すなわち、ERPビジネスの強みを生かし、ERP基盤と接点があるスマートファクトリー※1・スマートオフィス※2・スマートコントラクト※3の3つのデータを集積し、ビッグデータとしてセキュアに管理しつつ、次のアクション(生産性向上や業務効率化等)へとつなげていくという取り組みである。特に、スマートファクトリーは、同社の製造業向けERP導入実績と新たに立ち上がってきたビッグデータ事業との融合により、同社の強みが発揮できる分野として大きなポテンシャルを秘めていると言える。

※1 生産工程を密接に融合することにより、サプライチェーン全体を可視化・自動化するものである。今後はさらにCRM(販売促進ツール)との融合も推進する方針。
※2 RPA(ロボット)の活用や紙媒体電子化の自動化等により、間接部門の生産性向上と高付加価値業務への転換促進と図るものである。
※3 ブロックチェーンで契約・資産移転・決済等のデジタル化を目指しており、他の2つと比較すると中長期的な取り組みとなる。


各成長軸の方向性は以下のとおりである。

1. ERPビジネス
引き続き、大手企業を中心としたERP導入支援を強化するとともに、その周辺システムを含む需要の拡大も取り込む戦略である。また、クラウド化の流れに対応して、クラウドサービスと連携したSaas型ソリューション(ストック型事業モデル)を展開するなど、ERP導入のシンプル化も推進する。さらに、需要拡大が予想されているSAPの次世代型ERP「S/4HANA」については、マイグレーション(入れ替え)案件を含め、「Factシリーズ」の強化(独自テンプレートの「S/4HANA」化)などにより積極的に対応していく方針である。

2. ビッグデータ
注力するスマートビジネスの基盤となる事業であり、ビッグデータの集積だけでなく、データ管理をした上で、解析の部分はTDSE部隊の強みを生かしつつ、グループ全体で新たな価値を提供する方針である。また、TDSEについては、あいおいニッセイ同和損害保険とテレマティクス保険向けのデータ解析基盤構築とデータ整備、解析支援の推進を開始。また、東京電力パワーグリッド(株)とは、AIを活用した「架空送電線診断システム」の共同開発も進めている。

3. グローバル
買収したLirikのビジネスをベースとして北米市場への展開を加速する。特に、両社の強みを結集し、ERP×CRM×AIのビジネスを日本と北米で連携しながら拡大する方針である。また、Lirikのオフショア拠点(インド)の強化によるIT及びAI人材の獲得に加えて、引き続きシリコンバレーの最新技術の発掘・育成を目指していく。

弊社でも、外部要因及び内部要因の両面において、同社の中長期的な成長が加速される可能性が高いとみている。特に、注力するスマートファクトリーは、潜在的な市場が大きい上、同社の強みが生かせる分野であることから、そのポテンシャルの大きさに疑う余地はない。注目すべきは、事業拡大に向けた時間軸とその道筋であり、今後の動向を見守る必要がある。また、スマートファクトリー以外の分野(スマートオフィスやスマートコントラクト)やグローバル展開(北米市場の開拓)についても、どのような戦略で事業拡大を図っていくのか、さらには、新技術への対応など、外部環境の変化をいかにビジネスチャンスに結び付けていくのか、先見性や機動力の高さを生かした今後の動きにも期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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配信元: フィスコ

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