澁澤倉庫 Research Memo(2):創業者は“日本資本主義の父”と言われる澁澤榮一

配信元:フィスコ
投稿:2018/08/02 15:02
■会社概要

1. 会社概要と沿革
1897年、澁澤倉庫<9304>は“日本資本主義の父”と言われる澁澤榮一によって創業された。澁澤榮一は明治から昭和初期にかけて官僚や実業家として活躍、第一国立銀行や(株)東京証券取引所など数多くの企業の設立・経営に携わった。なかでも「わが国の商工業を正しく育成するためには、銀行・運送・保険などと共に倉庫業の完全な発達が不可欠」との信念から早期に物流の重要性を認識、自ら事業主となって澁澤倉庫部を創業したのである。このため、同社は日本で最も古い近代的倉庫企業の1つと言われている。

同社は事業を拡張し、昭和初期にかけ主要港をはじめ全国に支店を開設、戦後は子会社設立などによって陸・海・空へと領域を拡大、総合物流の体制を築いていった。平成に入ると、顧客のニーズに合わせて海外展開を加速する一方、所有不動産を活用した不動産賃貸業にも乗り出した。このように同社は、日本の経済成長とともに総合物流企業として発展してきたのである。


祖業・倉庫業以外の営業収益が4分の3を占める総合物流企業
2. 事業概要
同社は倉庫業を祖業とする総合物流企業であり、事業は物流事業と不動産事業に大別される。物流事業は、保管や輸送・配送をベースに、倉庫業務、港湾運送業務、陸上運送業務、国際輸送業務、その他の物流業務の5つの業務を展開している。不動産事業は、不動産賃貸や不動産管理などを行っている。売上高構成比は物流事業91.0%、不動産事業9.0%である。


様々な機能を有する関係会社が同社と連携
3. 業務内容と関係会社業務
倉庫業務は、寄託を受けた貨物の倉庫保管、庫入・庫出作業とこれに伴う流通加工などの荷役で、同社と大宮通運(株)などが行っている。また、荷役業務については九州澁澤物流(株)などにも委託している。港湾運送業務は、港湾における船内荷役、沿岸荷役、はしけ運送、コンテナ荷捌き、上屋保管及びこれらに伴う荷捌きを行う業務であり、同社が行っている。陸上運送業務は、貨物自動車運送及び引越などのサービスを行う業務であり、実作業・実運送は澁澤陸運(株)などが担っている。国際輸送業務は、国際一貫輸送、国際航空貨物運送、これらに伴う荷捌きを行う業務であり、海外においては澁澤(香港)有限公司とShibusawa Logistics Vietnamなどが推進している。その他の物流業務は物流施設賃貸業務、海上運送業務、通運業務などで、同社や親和物流(株)、大宮通運(株)などが行っている。子会社は、同社の物流事業の実作業・実運送や不動産管理など本社のサポートを担うほか、独自の営業活動を併せ持つものもある。なお、オフィスビルなど不動産の管理は、同社とともに澁澤ファシリティーズ(株)が行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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