■要約
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。その間に培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が高い(約55%)。今後は、内需向けの製品を拡充する方針。長い間、業績低迷に苦しんだが前々期(2017年3月期)に9年ぶりに復配(年間3円)した。その後も業績は好調で、古豪復活の感があり、今後の動向が注目される。
1. 2018年3月期:営業利益は前期並みも内容は悪くない
2018年3月期の連結業績は、売上高15,548百万円(前期比1.2%増)、営業利益1,261百万円(同1.4%減)、経常利益1,160百万円(同8.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益810百万円(同16.0%減)となった。自動車向け製品が端境期であったことから売上高は微増収にとどまったが、以前から進めてきたコスト削減策の効果が出始めたことなどにより営業利益は期初予想を上回り前期並みとなった。但し、前期(2017年3月期)の利益が過去最高であったことを考慮すれば決して悪い内容ではなかった。さらに貸借対照表の改善が著しく、体質改善は進んでいる。
2. 進行中の2019年3月期は経費先行発生や減価償却費増により減益予想だが、内容は明るい
2019年3月期の連結業績は、売上高16,500百万円(前期比6.1%増)、営業利益860百万円(同31.8%減)、経常利益820百万円(同29.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益540百万円(33.3%減)が予想されている。売上高は、引続き自動車向けが好調に推移する見込みであること、自社製品も順調に拡大していることから増収が予想されているが、自動車向け次期製品用の金型投資や関連した梱包資材の投資が先行するために利益は減少が見込まれている。内容的には懸念されるものではなく、むしろ好調と言えるだろう。
3. 前々期に9年ぶりに復配(年間3円)、今後の収益動向と配当政策は要注目
同社は2016年3月期までの9年間無配を続けていたが、2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたことから、年間3円の復配を実施した。経営陣は、「復配したとは言え、決して高い水準ではないので、今後も業績を安定させ少しずつだが増配をしたい」と述べており、今後の業績動向や配当水準に注目したい。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力は高く顧客からの信頼は厚い
・2019年3月期は減益予想だが、先行投資や償却負担によるもので、内容的には悪くない
・今後は内需向け製品の拡充で収益基盤の安定化を図る。配当動向も要注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。その間に培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が高い(約55%)。今後は、内需向けの製品を拡充する方針。長い間、業績低迷に苦しんだが前々期(2017年3月期)に9年ぶりに復配(年間3円)した。その後も業績は好調で、古豪復活の感があり、今後の動向が注目される。
1. 2018年3月期:営業利益は前期並みも内容は悪くない
2018年3月期の連結業績は、売上高15,548百万円(前期比1.2%増)、営業利益1,261百万円(同1.4%減)、経常利益1,160百万円(同8.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益810百万円(同16.0%減)となった。自動車向け製品が端境期であったことから売上高は微増収にとどまったが、以前から進めてきたコスト削減策の効果が出始めたことなどにより営業利益は期初予想を上回り前期並みとなった。但し、前期(2017年3月期)の利益が過去最高であったことを考慮すれば決して悪い内容ではなかった。さらに貸借対照表の改善が著しく、体質改善は進んでいる。
2. 進行中の2019年3月期は経費先行発生や減価償却費増により減益予想だが、内容は明るい
2019年3月期の連結業績は、売上高16,500百万円(前期比6.1%増)、営業利益860百万円(同31.8%減)、経常利益820百万円(同29.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益540百万円(33.3%減)が予想されている。売上高は、引続き自動車向けが好調に推移する見込みであること、自社製品も順調に拡大していることから増収が予想されているが、自動車向け次期製品用の金型投資や関連した梱包資材の投資が先行するために利益は減少が見込まれている。内容的には懸念されるものではなく、むしろ好調と言えるだろう。
3. 前々期に9年ぶりに復配(年間3円)、今後の収益動向と配当政策は要注目
同社は2016年3月期までの9年間無配を続けていたが、2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたことから、年間3円の復配を実施した。経営陣は、「復配したとは言え、決して高い水準ではないので、今後も業績を安定させ少しずつだが増配をしたい」と述べており、今後の業績動向や配当水準に注目したい。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力は高く顧客からの信頼は厚い
・2019年3月期は減益予想だが、先行投資や償却負担によるもので、内容的には悪くない
・今後は内需向け製品の拡充で収益基盤の安定化を図る。配当動向も要注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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