今週は、アメリカ株式堅調ならば、戻りを試す展開続くが上値重い

著者:出島 昇
投稿:2018/07/18 11:18

先週は、週半ばまでは22000円をはさんだ上下動で、その後3週間ぶりの上放れ

 先週の予測では、22000円水準から上は、買い材料に乏しく22000円をはさんだ上下動を想定しました。柴田罫線では、22278円が上値抵抗ラインになるとしました。

 週前半は、10日(火)にザラ場で22321円をつけたものの、前引けで22278円と上値抵抗ラインでピッタリと止まり、終値は22196円となったので、上下動の動きとなるところでした。ところが11日(水)に21744円まで下げたあとの反発で、13日(金)は予想外の円安、アメリカ株高にサポートされ22692円まで上昇して△409円の22597円と3週間ぶりの高値で引けました。

 9日(月)は、前週末の6月雇用統計を好感して、アメリカ株式が3指標ともに上昇したことを受けて、日経平均は買い戻し中心で大幅高となり、△269円の22052円と22000円台を回復しました。

 10日(火)もアメリカ株式の3指標の上昇が続いたことで、日経平均も買い優勢で始まり、22321円まで上昇して、前引けは22278円の抵抗ラインで抑えられ、後場は△104円の22196円で引けました。

 11日(水)は、アメリカ株式の3指標は4日続伸となったものの、米中貿易摩擦が再燃(中国製品に2000億ドル相当の追加関税の公表)し、時間外でアメリカ株式先物が大幅下落となったことを受け、一時▼452円の21744円まで下落し、終値は▼264円の21932円と4日ぶりの反落となりました。

 12日(木)は、前日のアメリカ市場は、米中貿易摩擦激化懸念から3指標そろって反落となったものの、円安に加えて、アメリカ株価先物、上海株式が上昇したことで、△104円の22036円と買い先行で始まり、△301円の22233円まで上昇して△255円の22187円と大幅反発して引けました。

 週末の13日(金)は、前日のアメリカ市場で、ナスダックが史上最高値更新するなど3指標がそろって大幅高となり、為替も112円台の円安となったことで△209円の22397円で寄り付き、後場には一時△504円の22692円まで上昇して、大引けは△409円の22597円と3週間ぶりの高値となりました。

 SQ値22452円を大きく上回って引けていました。トピックスの上昇を大きく上回る日経平均のため、NT倍率は13.06と98年12月9日(13.08)以来の数字となっています。これは、アメリカのナスダックの史上最高値更新を受け、日本のハイテク産業などの日経平均に影響の高い銘柄(ソフトバンク、ファナックなど)が大きく上昇しているためです。ファーストリテイリングは1銘柄で日経平均に△127円の貢献をしています。3連休を控えているだけに一服してもおかしくないところですが、力強い上昇となっています。ただし、日経平均に影響を与える値ガサ株中心の上昇なので、貿易摩擦が激化すれば急落となりやすいといえます。

今週は、アメリカ株式堅調ならば、戻りを試す展開続くが上値重い

 今週の日経平均は、上値ポイントとしていた22278円を終値でぬけたことで、アメリカ株式が堅調であれば、そのまま戻りを試す展開となりそうです。相次いで発表される国内外の経済指標に加え、FRB議長の議会証言が注目されます。

 16日(火)には中国の今年4-6月期のGDP、17日(水)にはアメリカの6月鉱工業生産指数が発表され、FRBのパウエル議長が議会で金融政策や経済状況を説明するため、内容によっては早期利上げ加速の思惑もでてきそうです。又、米中貿易摩擦への影響などの発言内容も日経平均の値動きに影響しそうです。

 チャートでは、先週末に22278円を大きく上回る22597円となって柴田罫線では買転換となっており、目先の上値22278円を終値で突破すれば5月21日の高値23050円を試す動きとなりそうです。

 先週までは、トピックスの上昇を大きく上回る日経平均の上昇の結果、NT倍率が13.06と98年12月9日(13.08)以来の大きさとなっており、トピックスが出遅れています。当面、日経平均は戻りを試しても、上値が重くなるとトピックスが買われて全体の水準訂正が本格化してくる可能性があります。貿易摩擦がよほど激化しない限り、出遅れ株の水準訂正が続くことになりそうです。

 連休明けの本日は、昨日のアメリカ株式が高安マチマチだったことで手がかり材料に乏しく、又、先週末の大幅高の反動で利益確定売りもあって△8円の22605円で寄り付き、小動きだったものの、その後は円安基調と海外投資家の買い観測から、前引けは△127円の22724円となりました。後場になると一時22832円まで上昇するも、買い一巡後は伸び悩み△100円の22697円で引けました。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、貿易摩擦への警戒感が続き、6月雇用統計の結果を受けてのアメリカ株式の反発に引っ張られて戻りを試しても22000円水準(上値22278円)からは、上値重く、22000円をはさんだもみあいを想定しました。

 週半ばまでは、高値22321円、安値21744円、その後はアメリカ株式の上昇とインフレ上昇からのFRBによる利上げ加速への思惑から112円台後半の円安となったことで週末7月13日(金)は△504円の22692円まで上昇して、終値は△409円の22597円で引けました。

 今週は、先週末に△409円の22597円となって、柴田罫線での直近の上値22278円を終値で突破して買転換となったことで、次は22823円、さらには、5月2日の23050円を目指すことになります。貿易摩擦懸念はあるものの、米中お互いに譲歩しあっているところもあり、これ以上激化しなければ目先織り込み済みとなって株価にはプラスとなります。FRBの早期の追加利上げ観測が高まれば、円安進行となって日経平均にはサポート要因となります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、前週末の6月雇用統計の結果を受けて、アメリカ経済の堅調さを示すこととなって、株式は反発に転じています。しかし、米中貿易摩擦への警戒感は続いていることで、上値は重く4-6月期の決算シーズン突入で個別銘柄の物色を想定しました。

 結果的には、前週末の6月雇用統計の結果を好感し、7月9日(月)は△320ドルの24776ドル、7月10日(火)も△143ドルの24919ドルと続伸し、7月11日(水)は米中貿易摩擦の激化で▼219ドルの24700ドルと5日ぶりに反落するものの、欧州株、上海株が上昇するとすぐに反発し、△224ドルの24924ドルとなりました。特にナスダックは史上最高値更新となり、週末の7月13日(金)には、NYダウは△94ドルの25019ドルと25000ドル台のせと、S&Pも2月1日以来の2800P回復となりました。柴田罫線で、NYダウのチャートをみると、4月2日の23344ドルを安値とする上昇トレンド(C)の中で、下降ラインに近づいたあと反発となって終値では上値ラインである25146ドルにほぼ到達しています。

 今週も引き続き、米中貿易摩擦問題への警戒感は続くものの、一方でトランプ政権は、中国通信機器大手の中興通信への制裁解除による譲歩もみられており、これ以上事態が深刻化することはないとの見方も増えています。基本的には、4-6月期決算が本格化することで、その内容や経済指標の結果を受けての反応となりそうです。チャート上は、すぐ上に25146ドルの抵抗ライン、その上は6月11日の25402ドルがありますので、目先は上値は重いと思われます。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、FRBの利上げ方針は続いているものの、貿易摩擦への警戒感からドルの上値は重く、もみあいを想定しました。

 週前半は、アメリカの中国に対する2000億ドル相当の製品に対して10%の関税を表明したことに対して中国も対抗措置をとると表明したことでドルが売られました。しかし、6月の生産者物価指数が予想を上回り、ドルが買われだしたことで7月13日(金)の東京市場では112.80円まで上昇し、引け値は112.39円でした。ドルの下降トレンド(C)を上にぬきましたが113.8円に抵抗ラインがあります。

 アメリカ経済は好調で、インフラ懸念がでてきたことで、FRBの利上げ加速期待を背景にドルが買われており、目先の上値であった111.4円をぬけたことで、底堅い動きが続きそうです。但し、米中の貿易摩擦は激化しており、警戒感は続いています。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム