ディーエムソリュ Research Memo(3):成果に焦点を当てたトータルWebマーケティング支援サービス

配信元:フィスコ
投稿:2018/07/17 16:30
ディーエムソリューションズ<6549>の事業概要

4. インターネット事業
インターネット事業におけるサービスは、SEO、コンテンツマーケティング、運用型広告、Webサイト制作などのデジタルマーケティングサービス、及びマッチングメディアや記事系メディアなどの運営を行うバーティカルメディアサービス※の2つで構成される。SEOは同社初期からの主要サービスで、インターネット広告における重要なマーケティング手法でもある。検索エンジンのアルゴリズム更新に影響を受けるため、SEOにコンテンツマーケティングや運用型広告、Webサイト制作などを合わせ、トータルソリューションやWebコンサルティングとしてサービスを提供している。また、こうしたノウハウを生かして、マヌカハニーの販売サイトを実証的に運営している。さらに新たなサービスも開発中である。

※バーティカルメディアサービス:特定の分野・テーマに特化した自社Webサイトの運営を通じて、利用者に有益な情報などを提供するサービス。


(1) SEOコンサルティングサービス
同社が提供する「3D-SEO」は、顧客と共有した目標数値から必要なサイト訪問数や検索需要を割り出し、キーワード戦略や内部施策に落とし込んで、顧客のビジネスゴールを達成するサービスである。「3D-SEO」は、Googleが提供するガイドラインに沿った本質的なWebマーケティング支援サービスで、外部リンクや順位、成果報酬に焦点を当てた従来型SEOサービスとは一線を画している。「3D」とはデザイン・企画、ディテール・施策、デジタル・解析の最初の3つの「D」のことで、競合分析とシミュレーションに基づく費用対効果が高いSEO戦略の企画、ロングテールキーワードの取りこぼしを許さないディテールにこだわった施策、感覚ではなくアクセス解析や分析ツールのデジタルデータに基づく運用——が特徴となっている。なお、SEOの効果は一般的に2週間~2ヶ月と言われるが、同社はスパム行為と認識されないよう過剰・過激な施策は行わないので、効果が現れるまでに若干時間がかかる場合がある。一方、その分検索エンジンのアルゴリズムに左右されにくい、安定的・継続的な上位表示を実現することができる。

(2) コンテンツマーケティング
SEOコンサルティングで培ったノウハウをベースに、「ユーザーに見つけてもらえるコンテンツ」と「ユーザーに読まれるコンテンツ」の両方を満たす「Contents+」を提供している。Googleが不自然な外部リンクを嫌い、優良なコンテンツを評価していることを念頭に、プランニングからコンテンツ制作、効果検証、分析まで一気通貫したフレームワークに沿って進めている。これにより、顧客のWebプロモーションの効果を最大化するとともに、顧客のWebサイトに新たな価値を与えている。具体的には、顧客サイトと競合サイトを比較して狙いのキーワードを分析、キーワードプランをもとにペルソナを作成してコンテンツを企画、得意分野が合致したライターを手配してSEO効果を考慮してコンテンツを制作、追加したコンテンツの流入数や流入キーワードなどを分析して効果検証を行う——という流れである。

(3) Webサイト制作
一般的に、WebサイトのデザインとSEOを両立させることは、非常に難しいと言われる。しかし、両者は相反するものではなく、「ユーザー目線でWebサイトを考える」ことで、SEOに強くデザインにも優れたWebサイトを制作することは可能である。同社のWebサイト制作サービスでは、長年のSEOコンサルティングのノウハウを駆使し、自然検索からターゲットユーザーを集客するためのサイト設計を行うとともに、ユーザーの心をつかむビジュアルデザインとインターフェースを提供している。特徴は、SEOキーワードや流入経路、ユーザービリティ、コスト削減を意識した「企画」、構築対象のキーワードチューニングや自然検索からの流れを意識したユーザー動線設計、セマンティックのHTMLコーディング、301リダイレクト※などSEOの内部対策を考慮した「制作」、ターゲットやストーリー、スマートフォンサイトに合わせた汎用性の高い「Webデザイン」、SEOの効果測定やコンサルティングによる「解析」——などである。

※HTMLコーディングとは、HTMLなどを用いてデザインどおりの見た目になるようコードを記述し、ブラウザで表示すること。301リダイレクトとは、サイトの移転で転送する必要が生じた場合、旧URLが持っているGoogleからの評価を引き継いで転送すること。


(4) 運用広告
同社はWebサイトに合わせた最適な広告運用によって、最大の効果を追求している。500社以上のWebマーケティングの支援を通じて培ったノウハウにより、キーワード戦略を効率的に進め、徹底的なA/Bテストや検証を行うことで、クリック率・離脱率を改善して見込客・成約件数を最大化している。LP制作やバナー制作も自社内で完結可能な体制が整っているため、広告の出稿から運用までワンストップサービスの提供が可能となっている。さらに同社は、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などを熟知した専任担当者が、Webサイトに合わせた最適な広告運用を提案し、制作チームと連携して結果の伴う効果的なLP・バナーを作成、効果測定も毎月実施して具体的な改善点をレポートしている。

(5) バーティカルメディアサービス
バーティカルメディアサービスとは、エンドユーザーが検索や説明を期待する商品に特化したサイト(メディア)を運営することで、ランキング形式になっていたりする。同社のバーティカルメディア事業は、集客メディアの構築・運営を通じて顧客Webサイトへの送客などを側面から補強・支援、運営サイトの閲覧者数を増やすことで広告収入や商品販売時のインセンティブを得るビジネスになっている。同社が運営する「ウォーターサーバー比較」のポータルサイトでは、閲覧者の使用目的や求める条件に合わせて最適なウォーターサーバーを選択できるよう、商品ごとの詳細情報に加え口コミやランキングも掲載することでサービスを強化し、収益をあげている。こうした経験値が積み上がってきたことから、妊活・妊娠・出産・育児の応援サイト「たまGoo!」や「WiMAXプロバイダー比較サイト」「葉酸サプリ徹底比較サイト」などへと横展開を加速している。


営業力と価格提案力、DMとネット広告の併営が強み
5. 強みと課題
ダイレクトメール事業における同社の強みは、営業力と価格提案力、ダイレクトメールとインターネット広告の併営にある。インターネット事業については、技術・サービス・制度の進化が速く、現在経験値を積み上げているところである。

(1) ダイレクトメール事業における発送代行の強み
ダイレクトメールの市場は微減収傾向にあるが、同社のシェアは2~3%程度しかない。しかも、依然として小規模な印刷業者等が印刷のついでに数社の郵便の発送を代行していることが多い。そのような業界で、同社は宅配便の発送代行も含め、80人の営業を抱え全国規模で営業を展開している。同業の大手発送代行企業でもそれほどの営業体制はないように思われる。しかも、スケールメリットなどにより郵便やメール便の発送費が安くなっている。DM部門だけで自社にデザイナー6人を抱え、商品企画のできる部署もあるため、ダイレクトメールの発送代行にとどまらず、顧客の求めに応じてDMの企画、デザイン、印刷、作業、配送業者への引き渡しまで、ワンストップのサービスが可能である。こうした、営業力と価格提案力、ワンストップサービスが強みとなって、毎月50社を超える新規顧客と新たに契約ができているようだ。また、去年、発送原価の値上がりが世間を賑わせたが、値上げを受けた他社の広告主が見積もりをとり直す動きをしたため、同社にとってむしろ非常にいいビジネスチャンスになったもようである。

同社は宅配便など小型貨物の発送代行を請け負っているが、NET通販市場の拡大に伴い、近年急速にニーズが広がっている。加えてWeb制作が可能のため、Webサイトの制作、同サイトの検索順位の上位表示、商品の保管・管理、商品の発送とワンストップでネット通販を丸ごと扱うというニーズにも対応可能である。また、同社は500~数万通の中小案件に強くシェアを拡大しているところだが、上場資金により自動封入機などの機械を導入したことで、同業大手のような10万通以上の大ロット案件の発送代行も手掛けることができるようになった。このように、ワンストップかつフルラインのサービスができることも同社の強みと言え、それゆえ顧客に最適な発送方法を提案することが可能となる。ちなみに、日野フルフィルメントセンターの稼働率は現在6割程度のもようである。まだキャパシティに余裕があるが、同社のセンターは特殊な構造や設備は要しないので、更なるニーズが生じても低投資の賃貸物件で十分対応可能である。このため、キャパシティによる成長の制約はないと考えられる。

(2) インターネット事業の課題
もちろん、ダイレクトメール事業とインターネット事業という2軸によってリスクが分散され、売上げのボラティリティを抑えることができることも同社の強みである。しかし、ドッグイヤーのインターネット業界の特徴として、日進月歩で新しい技術が開発される。このため、常に新たな技術に関するノウハウを導入しサービスを拡充させないと、ただちに優位性が失われてしまう。また、同社の得意とするSEOとバーティカルメディアにおいては、検索エンジンにおいて適切な順位にあることが優位性の決め手となるが、順位を決定する検索エンジンのアルゴリズムが定期的に更新されるため、更新や競合他社の技術進化への対応がまずかった場合、顧客や同社の運営するWebサイトの集客が減少し、手数料の低下などにつながる恐れがある。こうしたことへの対応は、同社インターネット事業にとって課題と言うことができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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