■業績動向
1. 2018年3月期通期業績の概要
アイエックス・ナレッジ<9753>の2018年3月期通期の業績は、売上高が前期比3.7%減の16,666百万円、営業利益は同9.5%増の650百万円、経常利益は同9.4%増の692百万円、当期純利益は同14.0%増の465百万円となり、売上高は微減ながらも2年連続の増益を確保した。
売上高が前期比で3.7%減となったのは、大手通信会社向けシステム検証案件の拡大や車載システム案件の受注拡大などのプラス要因があったものの、金融分野でのメガバンク向け次期システム開発案件の縮小や社会・公共分野での開発案件の縮小などのマイナス要因が上回ったことが主要因である。
減収の一方で、営業利益は前期比56百万円増加、売上高営業利益率は前期比0.5ポイント上昇した。売上原価及び販管費の減少要因としては、事業基盤強化の一環で取り組んできた部門間接費の削減(部門間接費の見える化)、残業抑制、労務費の削減(人員減)、研修費の減少(内製化)などが挙げられる。
2. 主要ユーザー別の動向
主要顧客の動向を見ると、構成比の大きいトップ4社のうち、日立グループ向け(車載システム案件受注拡大など)、KDDIグループ(システム検証案件受注拡大など)は構成比が上昇、一方でみずほフィナンシャルグループ(次期システム案件縮小など)、NTTデータグループ向け(大型統合案件の方針変更など)は構成比が下がった。
財務の安全性、効率性が高い
3. 財務状態
(1) 貸借対照表関係
貸借対照表を見ると、2018年3月期末における総資産は9,389百万円となり、前期末に比べ694百万円増加した。これは流動資産が前期末に比べ709百万円増加したことが主要因。現金及び預金が555百万円増加し、売掛金が116百万円増加した。
負債合計は前期末に比べ413百万円増加して5,067百万円となった。そのうち流動負債は368百万円増の2,473百万円であり、未払金の110百万円増及び賞与引当金の95百万円増が主な要因である。固定負債は45百万円増の2,593百万円であり、長期借入金の90百万円増が主な要因である。
純資産は4,321百万円となり、前期末に比べ280百万円増加した。これは、利益剰余金の増加361百万円が主な要因だ。
(2) キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フローの状況を見ると、2018年3月末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ555百万円増加し4,066百万円となった。営業キャッシュ・フローは、652百万円の収入となった。投資キャッシュ・フローは17百万円の支出と大きな変化はなかった。財務キャッシュ・フローは79百万円の支出となった。これは、長期借入による収入200百万円、配当金の支払額103百万円及び自己株式の取得による支出102百万円などによる。
(3) 経営指標
自己資本比率は46.0%、流動比率は295.8%と財務の安全性は高い。ROEは11.1%と2年連続で10%を超えており、経営効率は高い。
2019年3月期は産業・サービス分野と情報・通信分野がけん引し増収増益予想
4. 2019年3月期の見通し
2019年3月期業績については、売上高で前期比3.3%増の17,211百万円、営業利益で同7.7%増の700百万円、経常利益で同6.7%増の739百万円、当期純利益で同4.6%増の486百万円と期初の増収増益を予想する。
売上高に関しては、産業・サービス分野及び情報・通信分野が成長をけん引する見通しだ。産業・サービス分野では、車載・画像センサーなどの組込みシステムが受注拡大基調のほか、機械・化学業界の大手メーカーの開発案件も期待できる。情報・通信分野では、大手通信会社向けのシステム検証案件がさらに伸びる可能性がある。社会・公共分野は社会インフラ(鉄道、エネルギー等)系システム開発案件の受注拡大を目指すものの売上高は維持予想。金融・証券分野は、メガバンクの次期システム収束によるマイナスを、生損保、証券、信託銀行、地銀などの案件でカバーできるかがポイントとなる。2018年3月期ほどの大きな落ち込み(前期比643百万円減)にはならずに、微減にとどめたい考えだ。
利益に関しては、利益率向上施策の実施を通じて、営業利益率で0.2ポイント改善を見込む。2019年3月期は、業務改善による生産性の向上、事業の選択と集中の加速、などを重点的に取り組む計画だ。なお、売上高販管費率が前期比で0.5ポイント増加するのは、新規採用が奏功し77名(前期比17名増)となったため、研修期間の人件費が販管費に計上されるためであり、先行投資と考えたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
<NB>
1. 2018年3月期通期業績の概要
アイエックス・ナレッジ<9753>の2018年3月期通期の業績は、売上高が前期比3.7%減の16,666百万円、営業利益は同9.5%増の650百万円、経常利益は同9.4%増の692百万円、当期純利益は同14.0%増の465百万円となり、売上高は微減ながらも2年連続の増益を確保した。
売上高が前期比で3.7%減となったのは、大手通信会社向けシステム検証案件の拡大や車載システム案件の受注拡大などのプラス要因があったものの、金融分野でのメガバンク向け次期システム開発案件の縮小や社会・公共分野での開発案件の縮小などのマイナス要因が上回ったことが主要因である。
減収の一方で、営業利益は前期比56百万円増加、売上高営業利益率は前期比0.5ポイント上昇した。売上原価及び販管費の減少要因としては、事業基盤強化の一環で取り組んできた部門間接費の削減(部門間接費の見える化)、残業抑制、労務費の削減(人員減)、研修費の減少(内製化)などが挙げられる。
2. 主要ユーザー別の動向
主要顧客の動向を見ると、構成比の大きいトップ4社のうち、日立グループ向け(車載システム案件受注拡大など)、KDDIグループ(システム検証案件受注拡大など)は構成比が上昇、一方でみずほフィナンシャルグループ(次期システム案件縮小など)、NTTデータグループ向け(大型統合案件の方針変更など)は構成比が下がった。
財務の安全性、効率性が高い
3. 財務状態
(1) 貸借対照表関係
貸借対照表を見ると、2018年3月期末における総資産は9,389百万円となり、前期末に比べ694百万円増加した。これは流動資産が前期末に比べ709百万円増加したことが主要因。現金及び預金が555百万円増加し、売掛金が116百万円増加した。
負債合計は前期末に比べ413百万円増加して5,067百万円となった。そのうち流動負債は368百万円増の2,473百万円であり、未払金の110百万円増及び賞与引当金の95百万円増が主な要因である。固定負債は45百万円増の2,593百万円であり、長期借入金の90百万円増が主な要因である。
純資産は4,321百万円となり、前期末に比べ280百万円増加した。これは、利益剰余金の増加361百万円が主な要因だ。
(2) キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フローの状況を見ると、2018年3月末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ555百万円増加し4,066百万円となった。営業キャッシュ・フローは、652百万円の収入となった。投資キャッシュ・フローは17百万円の支出と大きな変化はなかった。財務キャッシュ・フローは79百万円の支出となった。これは、長期借入による収入200百万円、配当金の支払額103百万円及び自己株式の取得による支出102百万円などによる。
(3) 経営指標
自己資本比率は46.0%、流動比率は295.8%と財務の安全性は高い。ROEは11.1%と2年連続で10%を超えており、経営効率は高い。
2019年3月期は産業・サービス分野と情報・通信分野がけん引し増収増益予想
4. 2019年3月期の見通し
2019年3月期業績については、売上高で前期比3.3%増の17,211百万円、営業利益で同7.7%増の700百万円、経常利益で同6.7%増の739百万円、当期純利益で同4.6%増の486百万円と期初の増収増益を予想する。
売上高に関しては、産業・サービス分野及び情報・通信分野が成長をけん引する見通しだ。産業・サービス分野では、車載・画像センサーなどの組込みシステムが受注拡大基調のほか、機械・化学業界の大手メーカーの開発案件も期待できる。情報・通信分野では、大手通信会社向けのシステム検証案件がさらに伸びる可能性がある。社会・公共分野は社会インフラ(鉄道、エネルギー等)系システム開発案件の受注拡大を目指すものの売上高は維持予想。金融・証券分野は、メガバンクの次期システム収束によるマイナスを、生損保、証券、信託銀行、地銀などの案件でカバーできるかがポイントとなる。2018年3月期ほどの大きな落ち込み(前期比643百万円減)にはならずに、微減にとどめたい考えだ。
利益に関しては、利益率向上施策の実施を通じて、営業利益率で0.2ポイント改善を見込む。2019年3月期は、業務改善による生産性の向上、事業の選択と集中の加速、などを重点的に取り組む計画だ。なお、売上高販管費率が前期比で0.5ポイント増加するのは、新規採用が奏功し77名(前期比17名増)となったため、研修期間の人件費が販管費に計上されるためであり、先行投資と考えたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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