日経平均は2ヶ月半ぶりの安値となり

著者:斉藤紀彦
投稿:2018/07/02 17:00

TOPIXは3ヶ月ぶりの安値となりました

けさは、寄り前に発表された6月日銀短観で景況感が5年半ぶりに2四半期連続で悪化したことが投資家心理を冷やして安く始まりましたが、その後は大企業・全産業の2018年度の設備投資計画が市場予想を上回ったことから、設備投資関連銘柄がけん引して日経平均はプラスに転じる場面もありました。

米中が互いに追加関税を発動する期限の6日を控え、中国・上海株や米国株時間外取引が下げたことで市場心理が悪化し、メキシコの大統領選でポピュリズム(大衆迎合主義)政策を掲げる新興左派候補の優勢が伝わったことからトランプ米大統領との対立が深まり、米国の保護主義に拍車がかかるとの警戒も意識されました。

また一部の米メディアが、北朝鮮の非核化が順調に進まないと報じたことから、日本株や韓国株の下落率が大きくなりました。

TOPIXの終値も1700ポイントを割り込んで3月26日以来の安値となり、東証業種別株価指数は33業種全てが値下がりしています。

投資家の不安心理を計るとされる日経平均ボラティリティー指数は一時23ポイント台まで上昇し、取引時間中としては4月3日以来の高水準を付けました。

東証1部の売買代金は2兆2992億円、騰落銘柄数は値上がり131銘柄、値下がり1935銘柄と、全体の92%が値下がりする全面安となりました。

日経225採用銘柄では値上がり11銘柄、値下がり213銘柄となっています。

日経ジャスダック平均、東証マザーズ指数はともに反落して安値引けとなりました。

日経平均は、前場中に割り込んだあとに回復していた26週線(今日現在:22257円)を後場から明確に割り込み、75日線(今日現在:22179円)や200日線(今日現在:22104円)を下回って心理的なフシ目の22000円も突破したことから一気に投げ売りが加速しました。

今週は6月日銀短観のほかにも6月米ISM製造業景気指数、5日に6月米ISM非製造業景気指数と6月米ADP雇用統計、6日には6月米雇用統計と重要な発表が相次ぐことから積極的な買いが入りにくいなか、4日は独立記念日で米国市場が休場となることから、米系の投資家が休暇入りで市場参加者が減る状況で先物への売り仕掛けから大きく崩されました。

メキシコの大統領選でポピュリズム政策を掲げる新興左派候補が優勢なことは想定内のことでしたが、北朝鮮を巡る地政学リスクが再度蒸し返されたことは想定外でした。

直近の安値である5月30日の安値21931円に接近するところまでは考えていましたが、そこからさらに大きく下落する流れになったのはまさに意外安でした。

日経平均のテクニカル指標はおおかたが底値圏を示唆する位置まで低下しましたが、市場参加者が減って様子見になりやすい今週は、そう積極的には買いづらいのが投資家心理だと思いますし、新興市場が大きく下落していることもさらに投資家心理を悪化させていると思います。

株価チャート的には相場全体にしても新興市場にしても、いつリバウンド入りしてもおかしくない形状にはなっていますが、きょうの大幅安を受けてあすの相場がどう動くか次第でもう少し時間が掛かるかどうかが見えてくるのかもしれません。
斉藤紀彦
ザイナスパートナー株式会社 代表取締役社長
配信元: 達人の予想