欧米為替見通し:ドル・円は小じっかりの展開か、貿易戦争への懸念はやや後退

配信元:フィスコ
投稿:2018/06/21 17:25
21日の欧米外為市場では、ドル・円は小じっかりの展開を予想する。貿易戦争への懸念がやや後退するなか、米金融引き締め方針維持を背景としたドル買いは継続する見通し。ただ、新たなドル買い材料は見当たらず、ドルの大幅上昇は想定しにくい。

米国が3月に打ち出した鉄鋼・アルミ製品の輸入制限に関し、トランプ政権は20日、日本や中国などから輸入する一部製品を追加関税の適用から除外する方針を示した。トランプ大統領は中国の知的財産侵害への対抗措置として、7月6日から500億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する予定だが、一部適用除外を受け両国が協議して最終的には対立を回避する、との楽観的な見方が浮上している。一方、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はポルトガルでの講演で、好調の国内経済を背景に緩やかな利上げは必要との考えを強調。こうした状況を踏まえ、本日のアジア市場では日本株高も手がかりとなり、ドル買い・円売りが強まり、ドル・円は一時110円70銭台まで上昇した。

今晩の海外市場でもこうした流れが受け継がれ、ドル・円は1カ月ぶりの111円台回復が視野に入りそうだ。通商面での米中対立にはなお警戒が続いているものの、市場センチメントの改善が進めば、株買い・ドル買いに振れるだろう。また、ユーロ・ドルは今年最安値が意識されるなか、欧州中央銀行(ECB)の利上げ時期後ずれ観測から下落基調が続き、ドルをある程度押し上げそうだ。ただ、今晩発表となる米国の6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は低下が予想されており、ドル買いをある程度後退させる可能性もある。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・5月公的部門純借入額(銀行部門除く)(予想:+63億ポンド、4月:+78億ポンド)
・20:00 英中銀が政策金利発表(0.50%に据え置き予想)
・20:00 英中銀金融政策委員会の議事要旨
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:22.0万件、前回:21.8万件)
・21:30 米・6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(予想:29.0、5月:34.4)
・22:00 米・4月FHFA住宅価格指数(前月比予想:+0.5%、3月:+0.1%)
・22:00 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演
・23:00 米・5月景気先行指数(前月比予想:+0.4%、4月:+0.4%)
・23:00 ユーロ圏・6月消費者信頼感指数(予想:0.0、5月:0.2)
・05:15 カーニー英中銀総裁マンションハウススピーチ
・ユーロ圏財務相会合



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