日経平均は25日線を回復しましたが

著者:斉藤紀彦
投稿:2018/06/21 16:50

NT倍率で見る日経平均の割高感は顕著になっています

けさは、米国株は高安まちまちでしたが、欧州連合(EU)が米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に対する対抗措置としての報復関税を22日から発動すると決めたことや、きのう大幅高した反動から小安く始まりました。

その後は米国株時間外取引が上昇幅を広げ始めたことや円安ドル高進行、中国株などの上昇を受けて先物を中心に買い戻しが入って上昇しました。

昼休みの時間帯に中国株は下落に転じ、米国株時間外取引の上昇幅も縮小しましたが先物に売り方の買い戻しが続き、上値を伸ばしました。

3月期決算企業の配当金を受け取った投資家が再投資の買いを入れたとの観測もありました。

東証1部の売買代金は2兆5002億円、騰落銘柄数は値上がり713銘柄、値下がり1303銘柄、日経225採用銘柄では値上がり81銘柄、値下がり137銘柄と、いずれも値下がり銘柄数の方が多く、東証1部値上がり銘柄数は全体の約34%にとどまっています。

ソフトバンクが約43円、ファーストリテが約42円など日経平均を押し上げました。

日経ジャスダック平均、東証マザーズ指数はともに続伸しました。

時価総額の大きい銀行株が大幅安してTOPIXは反落しましたので、日経平均をTOPIXで割って算出するNT倍率は12.96倍に上昇して2000年以降での最高を更新しました。

まだ先物を中心とした売り方の買い戻しが日経平均をけん引している状態で、ここまで割高だった日経先物を売って割安となっていたTOPIX先物を買っていた投資家が、このポジションを損失確定の解消をするために日経先物を買い戻したことでさらに上昇したとの観測もありました。

これによってさらに買われた日経平均は25日線(今日現在:22612円)を上回り、そのことによってさらに買い戻しに拍車が掛かったとも言えます。

通商問題など不透明要因が残るなか日経平均だけ上昇している感じですので、下で買えたものはリバウンドでは利益確定売りを進めながら、再度下落したときに買い直すくらいのイメージの方がいいと思います。

新興市場はIPOが活況ですので、これによって利益が乗った資金が、割安になっている銘柄を買ってくる好循環になってきています。
斉藤紀彦
ザイナスパートナー株式会社 代表取締役社長
配信元: 達人の予想