先高感は強いが、22000円水準からは一段高できるかどうか

著者:出島 昇
投稿:2017/10/30 18:02

日経平均は16連騰で止まるものの、すぐに反発となり21年ぶりに2万2000円台で引ける

 先週の予測では、週明けは衆院選の与党の大勝を受けて、アベノミクス加速期待でもう一段の可能性があり、連騰記録が57年ぶりに連騰最高記録と並ぶ14連騰を更新すれば、目標達成感が出る可能性があるとしました。柴田罫線分析では、そのまま上昇してもNYダウで1つの上値の目安として23300~23500ドル、日経平均で2万20000円水準としました。

 結果的に、海外投資家の買いの勢いは止まらず、24日(火)の16連騰で連騰記録はストップするものの、1日の反落のあと、すぐに2日続伸となり週末の27日(金)は21年ぶりの22000円台回復となりました。

 衆院選の与党大勝の結果を受けた23日(月)は、△251円の21709円と高寄りし、いったん伸び悩むものの、後場に△265円の21723円まで上昇後、高値圏で推移し△239円の21696円と15連騰となって連続上昇記録を更新しました。上げ方をみると、先物主導で主力値ガサ株中心に買われ、中小型株などの現物株はついていけない状況でした。24日(火)は、前日のアメリカ株安を受け▼26円の21670円と売り先行で始まるものの、企業業績の上ブレ期待にカラ売りの踏み上げが続いており、プラスに転じて△108円と16日連騰となり、連日の連騰記録更新となりました。25日(水)は、買い先行で始まるものの、連騰の高値警戒感から利益確定売り優勢となり、▼97円の21707円と17日ぶりに反落しました。

 26日(木)は、前日の欧米株安にかかわらずしっかりした動きで△32円の21739円とすぐに反発となりました。27日(金)は、ECB理事会の今後の量的緩和縮小ペースは穏やかなものになるとの見方からドルが114円台まで買われたことで日経平均は△163円の21903円で寄り付き、買い気強く1996年7月5日の終値2万2232円以来、2万2008円と21年ぶりに2万2000円台回復となりました。

 27日(金)のアメリカ市場は、7~9月期の決算がそろって好調で、ナスダックとS&P500は最高値更新となり、NYダウは△33ドルの23434ドルでした。シカゴの日経先物は±0円の2万2050円でした。

今週は、22000円水準を上放れするかどうかは、アメリカ株式を為替次第

 海外投資家の資金は、衆議院選挙での与党大勝を受けて安倍首相の長期政権への安定を期待して資金流入が継続しており、相場全体の先高感は強い状況となっています。今週は決算発表の第一弾のピークを迎えて様子見が高まれば一服してもおかしくなく、柴田罫線の全体チャートをみてみると22000円水準が目先の上値のフシとなっています。但し、アメリカ市場で12月の追加利上げ観測が高まって円安進行し、税制改革実現期待でアメリカ株式の上昇が継続すればつれ高する可能性もあります。その場合、次の上値のメドは1996年6月26日の22750円が意識されることになります。

 今週は、まず22200円水準でもみあうのか、そのまま上へ行くのか、それともいったん調整するのか、ちょっとした分岐点にきているといえるかもしれません。

 本日は、先週末のアメリカ株高で買い先行となり、△39円の22047円で寄り付き、22086円まで上昇後、利益確定売りで▼87円の21921円まで下落するものの、売り込む動きとはならず、22000円をはさんだもみあいとなって大引けは△3円の22011円と3日続伸となりました。 東証1部の売買代金は4兆373億円と2016年2月以来の4兆円超えとなり、出来高も23億7158億株と膨らんでいますが、1-3月期決算銘柄の浮動株調整などトピックスのリバランスによるものです。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、22日(日)の衆議院の選挙の結果は予想通り、与党の大勝に終わりアメリカ株式も最高値更新が続けば、もう一段高が期待できるものの一服する可能性があるとしました。但し、そのまま上昇が続くとしたら22000円水準が1つ目のフシになるとしました。

 結局、与党の大勝となり安倍政権の長期安定を好感した外国人買いが続き、10月24日(火)まで16日続伸と連騰記録を更新しました。翌日、反落となったものの10月26日(木)△32円、10月27日(金)は△268円と大幅続伸となって21年ぶりに2万2000円台で引けました。

 今週は、上場企業の1つ目のピークや日米の金融政策が注目となります。アメリカ株高・円安が継続すれば次の上値目標は1996年6月26日の2万2750円を目指すことになりますが、その前に22000円水準を一気に上にぬけるかどうかとなります。一般的に、決算発表が本格化すれば様子見が高まりやすいのですが、外国人の積極的な買いで先高感があり、経験則をこえた上昇が続くのかどうか期待されるところもあります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、主要企業の7~9月期決算がピークを迎え、予算が上院を通過したことで税制改革実現の期待が高まり、上昇要因が多いものの高値警戒感もでており、どこで一服してもおかしくないとしました。目先は柴田罫線では、2013年10月7日の14719ドルからの上昇ラインの上値斜線にあたるところが、23300~23500ドルにあるとしました。

 結果的には、好業績を受けて10月24日(火)には23785ドルまで上昇し、その後は高値もみあいとなって週末は23434ドルで引けました。

 今週からは、先週、上院、下院で18年度予算案が可決したことで、税制改革の実現に向けた議会動向が注目となります。税制改革は法人減税や海外保留利益への低税率適用が実現すると企業業績や成長のサポートとなるので、株価はさらに上昇し法人や個人投資家にとって好影響となります。そういう意味では株価の行方は税制改革にかかっています。

 もう1つは、10月31日~11月1日のFOMCで12月利上げ観測が強まるのかどうか注目となりますので、11月3日の雇用統計を待つことになりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、日本の衆院選の結果とFRB議長人事に注目となるとし、日本は与党の大勝でアベノミクス加速期待からの円売り、FRB議長人事はタカ派であってもハト派の人選であっても、FRBの金融正常化方針は変わっていないためドル買いが想定されるとしました。

 結果的に、与党の大勝を受けアベノミクスの継続で株価が上昇し円安の動き、さらにアメリカでは税制改革期待やGDPが予想を上回ったことでドル買いが進み、一時114.45円となりました。しかし週末にスペインの政局を嫌気して113.69円までドルが売られました。

 今週は、10月31日~11月1日のFOMCで12月の追加利上げ観測が高まるのかどうかとなります。先週ECBが金融正常化を慎重に進める姿勢を示したことで、FRBも金融正常化の推進を想定した動きとなって12月の追加利上げ観測が高まる可能性があります。又、FRBの次期議長にタカ派のテイラー氏が指名されれば、同じくドル買い要因となります。指名されなかった場合は一時的にドル買いが後退するかもしれません。ドルが買われる場合でも北朝鮮が水爆実験をやる可能性があり地政学的リスクがドルの上値を抑えることになります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム