アメリカの上昇に連動して、日経平均の上昇がどこまで継続するか見極めるところ

著者:出島 昇
投稿:2018/02/19 18:46

アメリカ株式は5日連騰し、日本も週後半つれ高となって大幅上昇

 先週の予測では、引き続きNYダウに連動する荒い動きになるとし、週末のオプション決算日まで続く可能性があるとしました。その原因は、長期金利の上昇に伴うVIX指数の急上昇によるアルゴリズムトレードの売りでした。日経平均のレンジはチャートをみると下値は21000円前後は大きなフシとなっていますので上値はNYダウ次第ですが、当面は21000~22000円の中での上下動としました。又、為替は追加利上げ観測は高まっており、日米金利差が拡大するところですがトランプ政権での11月中間選挙に向けた貿易是正から「ドル安」政策と財政赤字懸念からドル安・円高の方向の動きとなってきています。

 結果的には、金利上昇一服とVIXショックも一服となったことで、アメリカ株式は自律反発が続き、NYダウは6日続伸となり週後半は日経平均も連動して2日連続の大幅反発となり、16日(金)は21866円まで上昇して△255円の21720円で引けました。

 3連休明けの13日(火)は、前週末のアメリカ株高を受け、前場は△285円の21668円で引けるものの、後場になると円が強含むと先物主導で下げに転じ、▼137円の21244円で引けました。

 14日(水)は、前場は一時△126円の21371円まで上昇後マイナスに転じ、後場には為替が1ドル=106円台の円高になると、日経平均は一時▼294円の20950円と21000円を割り込みましたが、終値では▼90円の21154円となりました。 200日移動平均線(13日時点21030円)を割り込んだあと回復したことで目先下値をつけた動きとなりました。

 15日(木)は、前日のアメリカ株式が4日続伸し、NYダウは△253ドルの24893ドルとなったことで、円高の影響は限定的なものとなり、一時△424円の21578円まで上昇し、△310円の21464円と4日ぶりの反発となりました。

 週末の16日(金)も前日のアメリカ株式の5日続伸を受け全面高となって一時△401円の21866円まで上昇しましたが、為替が1ドル=105円台をつけるとさすがに上値は重くなり、△255円の21720円で引けました。

 16日(金)のアメリカ市場は、経済指標は好調なものの3連休を控えて3指標はやや軟調なスタートとなりました。だが、10年債利回りの上昇がみられなかったことで株価は次第に買い優勢となりましたが、午後にモラー特別検察官が大統領選にからみ、複数のロシア人と企業3社を訴追すると発表したことで、ロシアゲート問題が再燃し、株価はチグハグの動きとなりました。NYダウは△19ドルの25219ドルと6日続伸でした。シカゴの日経先物は△135円の21875円となっていました。

為替の動きは要注意

 先週後半の日経平均は、アメリカ株高が支えとなっていましたが、日米金利差拡大にもかかわらず、円高・ドル安が一時105円台まで進んだにもかかわらず、大幅高となっているのがよくわかりません。日経平均は日銀の異次元緩和による円安というアベノミクス政策で上昇を続けてきました。

 輸出企業の想定レートは110円水準ですので、大きな為替差額が出る水準の円高となっています。市場の見方では3月期決算までは今年になっても円高は、これまでの円安で調整されて業績への影響は与えないとの見方のようです。

 しかし、110円を大きく下回る円高が続けば、当然、輸出企業は下方修正をしてくることになります。今は短期的な需給要因で上昇が続いている可能性があり、その間に為替が円安方向に戻らなければ日本株の円高を織り込む調整が続くことになります。

 先週、円高が止まらなかった原因は、アメリカの消費者物価指数が前回の0.2%から1月は0.5%になり、10年物国債も2.9%水準まで上昇していることから、利上げ懸念による株式市場の下落となっていたようです。リスク回避の資金が円買いに向かいました。又、トランプ大統領の大幅減税政策やインフラ投資が財政赤字を膨らませることでドル売り要因となり、貿易赤字問題に着手しそうな雰囲気も円高要因となっています。経済の動きからいえば、日米金利差拡大方向にあるわけで円安となるのですが、前にも述べたように、短期的には政治が経済より優先するというのが歴史の現実です。

 先週後半は、景気が良いことでアメリカの金利が上昇、株式市場も上昇、ドル下落という形で東京市場に戻ってきました。これからのトランプ大統領はドル安政策をとって円高を誘導する可能性が高いと思われます。16日アメリカでは米商務省が輸入制限案を出しました。鉄鋼やアルミニウムを安値でアメリカへ輸出する国への対抗措置として、輸入量を制限する案をトランプ大統領に勧告したと発表しました。主力は中国ですが日本も入っています。この延長線上に為替是正もでてきそうです。円高がどこまで進むのかは中間選挙の情勢、貿易収支改善策としての有効な手段との比較などで決めると思われます。市場では105円が底だといっていますが、チャートをみると昨年の9月9日の107.32円の直近の安値を切って下放れの形となっており、100円を目指す形といえます。

 そうであれば、今年の1月23日の24129円は今年のピークとなる可能性は高く、ここからの日経平均は戻りを試す相場となってしまうということです。

日経平均の上昇がどこまで継続するか見極めるところ

 今週も、アメリカの株式市場や為替相場の動きをみながらの展開となりそうです。為替は円高水準のままながらアメリカ株式が長期金利の高止まりを背景とする景気悪化懸念からの株式下落はいったん後退し、その反発に連動して日本株も連動しています。但し、日本株は円安をベースとする上昇であるため、この上昇がどこまでアメリカ株式と連動するかを見極めることになります。為替のチャートは下放れの形となっていますので、輸出企業の想定レートである1ドル=110円水準への戻りは当面は難しいと思われます。そうなると戻りは限定的となります。

 基本は21000~22000円のレンジ内の動きですが、ここをこえるとしたら2月7日の22353円が長い上ヒゲとなっていますので、ここを埋めるぐらいまでというところでしょう。アメリカ株式の上昇は、長期金利の上昇で金融株を物色する動きとなっており、半導体関連株の見直しのみられてきています。但し、トランプ政権のロシアゲート問題の進展ぐあいでは、政権運営の不透明さがでてきて株価の上値を重くすることになります。

 本日19日(月)は、先週の上昇を引き継いで、為替は106円台前半ながら、株価は大幅上昇となっています。本日のアメリカ市場はプレジデントデーで休日のため、売りスタンスの外国人投資家の注文は減少、この中で後場は株価指数先物にまとまった買いが入って上げ幅を拡大し、△428円の22149円で引けました。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、アメリカの上下動に左右される展開になるとし、上に行く場合は、柴田罫線では引線の終値で21900円以上で引ければ買転換となって、さらに戻りを試す形になるとしました、

 結果的に、NYダウが先週の2月8日(木)まで下落で高値から11%近い下げとなっていたことで、2月9日(金)から急反発となって2月15日(木)まで5日連続の続伸となって25000ドルを回復したことで、日経平均もNYダウに連動し、週始めから3日続落のあと急激な円高にもかかわらず2月15日(木)は△310円の21464円、2月16日(金)は△255円の21720円となりました。為替は105円台に一時入ったにもかかわらず大幅上昇というのは理解しにくい動きです。

 今週は、先週の後半にアメリカ株式に支えられ急激な円高にもかかわらず2日連続の大幅高となったことで22000円を前に正念場といえます。NYダウの上昇が続き円高一服していれば22000円を試すことになりそうですが、NYダウがもみあいとなり、為替が円高水準のままであれば日経平均は上値の重たい動きとなって21000~22000円のレンジの真ん中近辺でのもみあいとなるかもしれません。22000円を超す場合は2月7日の22353円の上ヒゲを埋めるぐらいは考えられます。いずれにせよ為替が110円水準へ戻らず円高のままであれば、いずれ輸出関連株の下方修正が続いて日経平均は下値をさぐる動きも考えられます。

 本日は、NY市場が休場ということもあり、外国人の売り注文が減少した中で、株価指数先物の買いで上げ幅を拡大し、△428円の22149円と買転換が出現しました。
 

 

(指標)NYダウ

 今週も長期金利の動き次第では、大きな上下動を想定し、荒い動きになりそうだとしました。

 結果的には、前週の2月8日(木)の1000ドルを超す下げで史上最高値からの下落率が11%を上回る状況になっていたことで、2月9日(金)は△330ドル24190ドルと自律反発で引け、先週は、それを引き継いで2月15日(木)まで3指標は5日続伸となりました。好調な経済指標や10年債利回りの一服もあって反発が続き、3指標とも柴田罫線ではいったん買転換となっています。週末の2月16日(金)は、ナスダックは反落したもののNYダウは一時△232ドルの25432ドルまで上昇し、終値は△19ドルの25219ドルと長い上ヒゲを出して6日続伸となりました。

 先週の2月15日の終値25200ドルで柴田罫線では買転換となっています。2月16日(金)には、一時25432ドルまで上昇しましたが、トランプ大統領のロシアゲート問題の再燃で△19ドルの25219ドルまで上げ幅を縮小して引けました。政権運営の不透明さが出てくることになります。長期金利の上昇からのVIXショックがいったん落ち着いていますが、まだ警戒心が残っており、ここからの上値は重くなりもみあいとなりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、ドル・円は強弱感が対立し、ドルは下げ渋る可能性としました。

 結果的には、日米株高でもドル売り優勢となり、一時105.55円までのドル安・円高となりました。要因は、アメリカの財政赤字の拡大に対する警戒感からのドル売り、1月小売売上高の予想を下回った結果のドル売り、トランプ政権の貿易不均衡是正からのドル売りの見方でした。一方で3月利上げの見方や好調な経済指標から長期金利は上昇しており、日米金利差拡大からの円安材料はあるもののそうはなっていません。

 先週は、急激な円高進行となり直近の安値である昨年の9月9日の1ドル=107.32円を下に切り、週末の2月16日(金)には、一時105.55円まで下げ引け値は106.30円となっています。チャートを見る限りドル・円は完全に下放れしており、戻しても109円水準というところです。下値はまずは1ドル=100円を目指す形といえます。

 今週は、105.5~107.5円の間でのもみあいが想定されます。ユーロ高・ドル安が進行すればドル・円にも影響し、円高方向となり、3月利上げが確定してくると織り込む形でドルが買われることになります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム