「新コジテク(小次郎講師の使えるテクニカル分析講座)実践編」第1回
□皆さんこんにちは、小次郎講師です。
■助手のムサシです。よろしくお願いします。
□このコラムが復活したこともあって、ムサシ君の人気もリバイバルしたんじゃないかな?
■残念ながらそんな事ないんですよ、小次郎講師…
□ありゃ、それは残念。
■みんな僕が「民那野 無茶四(みんなのむさし)」だということも覚えてないくらいですからね。
□「みんムサ」という愛称も全く定着しなかったからな。
■それは言わないでくださいよ小次郎講師。
□私はその間に結構有名人になってしまったぞ。
■小次郎講師だけズルい!
□ごめんごめん。
少し間が空いてしまったから、ムサシ君の事を思い出す意味も込めて、私のテクニカル分析の大事なところを、今一度新シリーズで復習していこう。
■初めての方もよろしくお願いします。
1、大数の法則
□まずは基本的なことから。
■えー。僕もっと必殺技のようなものが聞きたいです。勝率100%の技、とか!
□ムサシくん、そんなものはない。投資において“絶対“はあり得ない。
だからどんなにチャンスでも、トレードが失敗で終わることは当然ある。
■でも小次郎講師、勝率100%のトレード手法と謳ってる本が世の中にはたくさんありますよ?
□そんなものはまやかしだ。いいかい。どんなにチャート分析を究めても将来のことは100%はわからない。チャートが教えてくれるのはあくまでも「現状分析」だからだ。
■そうなんですね。確かに明日のことも僕はよくわからないからなぁ。
□100%勝てる方法があるなら誰しもが勝っていなくてはおかしい。でも実際はそうじゃないだろう?
■た、確かに。
□だから、投資をギャンブルではなく「確率のビジネス」にすることが大事。100%や90%がないのはもちろんのこと、80%や70%だってなかなかない数字だ。せいぜい60%当たれば良い方だろう。
■そんなに低くて大丈夫なんですか?
□だから言っただろう「確率のビジネス」だって。
自分勝手な予想をして上がる下がるに賭けるのは単なる予想のゲーム。ギャンブルだ。けど投資は違う。しっかりと勉強をし、当たり外れの中で最終的にトータルでプラスになる方法が分かれば、「大数の法則」に裏付けされた確率論で正しく勝っていくことができる。
■よく仰る「予想はよそう」というやつですね。
で、小次郎講師、大数の法則って何でしたっけ?
□確率はデータが多くなればなるほど有効に働くという法則。これは数学的に正しいと証明されている。60%の確率で勝つ勝負を1回だけしか行わなかったら、負けることもあるかもしれない。しかし、それを100回やれば60回近く勝ち、40回近く負ける。これを1000回、10000回と、回数を増やせば増やすほど60%に限りなく近い確率で勝つことができるようになる。
■試行回数が多くなればなるほど、確率は正しく働くんですね。
だから、「大きな数」と書いて「大数(たいすう)」と読むのか。
□正解。よって投資においても大数の法則を使うことが勝利の方程式。
なんとなく上がるか下がるかの丁半博打ではなく、きちんと分析をして確率的に有利な方に賭けていれば、最終的には必ず勝つ事に繋がる。これが投資における唯一の必勝法なのだよ。
■なるほど、小次郎講師が言うと説得力があります。
□君よりちょっとだけ長く生きているからね。
■ちょっとじゃないような…
□何か言ったか?
■いえ!
2、テクニカル分析とファンダメンタル分析
■あ、小次郎講師、そのさっき言っていた確率的に有利な方、というのはどんな状況なんですか?
□一言で言うと「エッジが発生しているかどうか」。
■エッジですか?
□「優位性」と訳されることが多いが、確率的に有利な状況のことを言う。
■「チャンス」って感じですね。
□まぁそういうことになる。
通常、買方と売方の力関係というものは五分五分だ。しかし色々な材料が出てくるとその力関係のバランスが崩れ、買方が有利、売方が有利、という局面が出てくる。そうやって刻一刻変化する買いと売りのバランスの崩れ、つまりエッジの発生を教えてくれるのが「チャート分析」だ。
■「テクニカル分析」とは違うんですか?
□最近では同じ意味で使われることが多い。テクニカル指標というものを使って現在のチャートと過去のチャートを比較して、パターン分析をしていくわけだからね。
■そこで冒頭の「チャート分析は現状分析」だという話に戻っていくんですね。
□ムサシ君もそのくらいは覚えていられたか。
■そのくらい覚えていますよ!
□これは失敬。では一般的によく使われる価格変動の予想手段にはこのテクニカル分析ともう1つ何があるか、ムサシ君はわかるかな?
■えーと。何でしたっけ?
□「ファンダメンタル(ズ)分析」。
テクニカル分析が主にチャートを見てこれからの動きを予測するのに対して、ファンダメンタル分析は主に需給や世界情勢などの値動き要因を分析して将来を予測することを言う。
■そんなに色々あったら僕迷っちゃいますよ。
□物事にはそれぞれ長所と短所がある。それを見ていこう。
ファンダメンタル分析
[長所]
・価格の変動要因は第一にファンダメンタルの変化による[短所]
・現在の価格に材料がどれほど織り込まれているか分かりにくい
・一般投資家が知ることのできる情報は限られている
テクニカル分析
[長所]
・売買のポイントをシグナルで教えてくれる
・全ての銘柄に共通するトレードルールが作れる[短所]
・「ダマシ」がある
■やっぱり価格変動の大部分はファンダメンタルの変化によるんですか?
□そう言っても過言ではない。
でも私もかつてはファンダメンタルだけで売買を行っていたこともあるが、それだけでは勝てない。
■なぜですか?
□何の経済指標の数字が何%下がったら為替が◯◯円動くといったような、明確なルールがないからだ。それに、ありとあらゆる膨大なファンダメンタルの情報を個人投資家が集めようとしても不可能に近い。
■想像してみたら情報だけ集めるのに必死になって、トレードができなくなりそうです…
□そうだろう。
それに一般投資家はどうしても情報の取得が遅くなってしまう。そうなると早耳筋に流れた後の、古びた情報を掴まされて売買することになる。それでは優秀な機関投資家等には勝てない。
■それに、いつ株が暴落するとかいつ自然災害が起こるなんてのは、分かりませんもんね。
□そこに個人の予想が入ると、もう考えが凝り固まって目の前の値動きに対する正しい判断ができなくなる。
■その点、テクニカル分析はどうなんですか?
□全ての情報はチャートの中に反映される、と言ってもいい。どこどこの国で紛争が起きたということや、どこどこの石油化学工場で事故が起きた、というようなこともニュースになる前に、実はすぐさまチャートに価格変動という形で現れる。
■すごい!
□すごいだろう。過去の大きなニュースや事件の時には必ずと言っていいほどそれがまずチャートに現れている。ムサシ君も家に帰ったら過去のチャートで確認してみるといいぞ。
■わかりました。
□そして「トレードルール」を作ることができるのもテクニカル分析の大きなメリットだ。テクニカル指標は千差万別で一筋縄ではいかないが、エッジの発生するポイントを教えてくれるし、エントリーやエグジットの売買タイミングをルール化することもできる。
■ただ「ダマシ」と呼ばれるものがあるんですよね?
□先ほどの確率論を思い出して欲しい。
どれだけ有利な状況でも確率通りにいかず外れることがある、と言っただろう?
■そうでした。
□そのことを考慮してルールを作れば、シグナル通りに動かない「ダマシ」にあっても怖くない。
■でも、できれば全部勝ちたいです…
□言っただろ。毎回勝つことは不可能なんだから、負けた時のことをちゃんと考えられるようになることが重要だ。
資金管理をきちんとして、「ダマシ」にあった時のことも考慮に入れれば、一定確率で必ず存在する負けトレードの時でも大きく資金を失わずに済む。
■確かに、資金を考えてトレードをしないと、たまたま2、3度続けて負けただけで破産してしまうこともありますもんね。
□その通り。特に日本人投資家はコツコツ勝ってドカンと負ける「コツコツドカン」というトレードに陥りやすい。
■(ぎくっ)
□だから、如何にエッジを読み解いて確率の高いところで勝負できるか、また予測が外れた時に対処できるトレードルールがあるかどうかが、「ギャンブル」と「確率のビジネス」を分けるポイントだ。そして大切なことは目先の損益に一喜一憂せずに「トータルで勝つこと」。
ムサシ君も勝ち組投資家になりたいなら、そのことを意識しなくてはいけないぞ。
■了解です。やっぱり勉強せずに楽に勝つ方法はないんだなぁ。
□それを出来るだけ分かりやすく教えるために私がいるんだ。
この調子で今一度、一緒に勉強していこう。本日はここまで。
■ありがとうございました。
□新シリーズ第1回講義終了。
■起立、礼!
「小次郎講師の先物流儀」
http://f-blog.jp/kojiro/
「小次郎講師流タートルズ投資塾」
http://www.masters-tv.net/
【DVD】
http://money01.h8w.co.jp/lp/06/
【動画】小次郎講師のテクニカル分析講座
http://commodityonlinetv.com/basic-the-commodity/
【チャート】公式一目均衡表チャート
http://ichimoku-chart.com/
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