今週は、パリ同時テロやNYダウの下落もあり一服局面

著者:出島 昇
投稿:2015/11/16 17:24

<先週は、目先の上値の19700円台にザラ場で達して反落>
 先週は、19500円を突破してくると2万円が意識されることになり、その場合はチャートでは19700円台を上にぬければ確率は高まるとしました。19700円台は柴田罫線でフシがあり、又、すでに8月11日の20946円の高値から9月29日の16901円までの下げ幅の2/3戻し(約19600円)を達成しており、いったん調整してもおかしくないところでした。 そして先週の副タイトルとして「当面のリスクはアメリカの利上げが確実になった時か?」としましたが、先週は、アメリカの金融当局者の年内利上げを支持するコメントが相次ぎNYダウは、年内利上げを織り込む下げとなってきました。これを受けて日経平均は、12日(木)に19725円まで上昇し終値は△5円の19697円と7日続伸となりましたが、週末はアメリカの年内利上げ観測から原油安、欧米株安となったことで▼100円の19596円と8日ぶりの反落となりました。

 13日(金)の日本市場の引け後のアメリカ市場では、この日も金融当局者の年内利上げの可能性について言及があり、利上げを前提にした発言が繰り返されていることでNYダウは年内利上げを織り込む展開となり、原油安や10月小売売上高の予想を下回る結果も嫌気され▼202ドルの17245ドルと大幅続落となりました。シカゴの日経先物も大証比▼215円の19415円となっていました。

<年内利上げの確実性高まり、NYダウは大幅続落>
 先々週までは、アメリカの利上げ観測が来年に伸びたことで、アメリカ株式が上昇し、その後は年内利上げが高まってもNYダウの上昇が続いたことで専門家の間ではすでに利上げを織り込んで上昇しているという見方もかなりありました。その見方の背景はFRBが利上げするのはアメリカの景気回復が確かなもになっているとみているからだというものでした。そこで考えられるシナリオは、そのまま日経平均が2万円を試した後、いったん調整し年末に向けて年初来高値である4月26日の20952円を試す動きになるというものです。
又、もう1つの確率の高いシナリオとして、私はこれからのリスクはアメリカの12月利上げが確実になった時に、いったん利上げを織り込んで下落することを想定しました。これまでの日米株式の上昇は短期資金が利上げを無視して景気回復を材料に買っていることも考えられるのです。これまで安いところで買った銘柄は利益確定するタイミングをみるところで11月中、もしくは12月始めまでにいったん利益確定がいいかもしれないとしました。

 先週はFRBの高官の次々と年内利上げを前提にした発言が相次いだことで、年内利上げの確実性が高まり、NYダウは大幅続落の▼202ドルの17245ドルとなり、9月29日の15942ドルから11月3日の17977ドルまでの上昇幅の1/3押し(17299ドル)を下回って引けました。明白な上昇の時は1/3押し水準から反発するのがふつうですが、さらに下げるようですと完全に利上げを織り込む調整になっているといえます。そうなった時に日経平均にとっては日米金利差拡大から円安メリットがありますが、NYダウが下落するのに反して日経平均だけが上昇するとは考えにくいといえます。なぜなら日本株式の70%近くは外国人買いですので海外のナイマスを日本株を売って補填する動きになるのが過去の経験則だからです。但し、NYダウほどの下げはないと思われます。

<今週は一服する局面で戻りがあっても限定的>
 今週は、週前半は先週末のアメリカ株式の下落に加え、13日に欧米株式市場の引け後のあとパリで同時多発テロが発生しました。目先はリスク回避の円買いや株売りとなってくる可能性があります。それはいったん落ち着けば反発に転じますが、上値はアメリカ株式の動き次第となります。年内利上げに関しては確実性が高まったといっても今回のテロを受けて、又、経済指標の悪化があれば年内利上げの見送りという思惑もでてくる可能性もあり、その場合は株式市場は目先の金融緩和が継続するとして反発に転じることになります。今週はFOMCの議事録公開もあり年内利上げに関して思惑が対立するかもしれません。

 本日はアメリカ株安に加え、パリ同時多発テロ、リスク回避も円高を受けて300円をこえる下げとなって19263円で寄り付き、売り一巡後は下げ幅を縮小して19451円まで戻しました。しかし、ここから上値重く▼203円の19393円で引けました。今週は週前半調整し、週後半戻りを試す動きが想定されますが戻りは限定的と思われます。19200~19600円台を想定。

出島式ズバ株投資情報ブログ
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(指標)日経平均

 先週の予測では、柴田罫線でろく買(11月6日19265円)、200日移動平均線(11月6日時点19249円)を上回ったことで19700円台を目指す動きが想定されるとしました。19700円台をこえると2万円が視野にはいってきますが、この水準ではアメリカの利上げ観測が強まって利上げを織り込む動きがでてくる可能性があるとしました。
 結局、想定通り19700円台を試す動きとなり、11月12日(木)まで7日続伸となり、ザラ場では19725円をつけ終値では△5円の19697円で引けました。しかし、アメリカ市場では金融当局者の年内利上げの言及が相次ぎ、NYダウは利上げを織り込む動きとなって大幅続落となり11月13日(金)の日経平均も▼100円の19596円と8日ぶりの反落となりました。
 今週は先週の11月12日(木)までの7日続伸の反動で一服する週となりそうです。特に週前半は先週末のアメリカ株安に加え13日(日本時間14日)のパリ同時テロが一時的にリスク回避の円買いと世界的な株安を引き起こす可能性があります。それが落ち着けば戻りを試すことになりますが、NYダウの年内利上げを織り込む下げが続けば日本株式も当面の戻りは限定的になります。今週は19200~19600円台のレンジを想定。

 本日はアメリカ株安に加え、パリ同時多発テロ、リスク回避の円買いもあって19263円で寄り付き、売り一巡後は下げ幅を縮小して19451円まで戻しましたが終値では▼203円の19393円で引けました。

<a href='/stock/100000018'>日経平均</a>11-16

(指標)NYダウ

 先週の予測では、18000ドルを回復できるかどうかは経済指標(特に10月小売売上高)に注目とし、一方で12月利上げの可能性については織り込まれておらず、利上げが確実になった時点で調整にはいるとしました。
結果的には、先週は金融当局者の利上げ賛成の意見が相次ぎ、年内利上げの確実性が高まったことで株式市場は年内利上げを織り込みだした動きになりました。
11月9日(月)は▼179ドルの17730ドル、11月10(火)は△27ドルの17758ドルと小反発するものの11月11日(水)は▼55ドルの17702ドル、11月12日(木)は▼257ドルの17448ドル、そして13日は注目の10月小売売上高も予想を下回り、さらに利上げへの言及が相次ぎ▼202ドルの17245ドルで引けました。
アメリカ株式は、年内利上げを織り込む動きになってきましたが、FOMCは12月15~16日ですので、まだ1ヶ月あります。利上げを行うのはアメリカ経済がしっかり回復してきるという前提がありますので、織り込んでしまえば急反発の可能性があります。それまでの円は上下動を繰り返しながら下値を確認する動きが続くことになります。まずは9月29日の15942ドルから11月3日の17977ドルまでの上昇幅の1/3.押し(678ドル)の17299ドルですが、ここは先週末の終値17245ドルで切れました。その下は17000ドルの大台のフシ、その下は1/2押し(1017ドル)の16960ドルというところです。2/3.押しだと16620ドルとなります。
今週は13日のパリ同時テロの影響やFOMC議事録公開(10月27~28日分)でこの内容がより年内利上げを高めるのかどうか注目となります。

NYダウ11-16

(指標)ドル/円

 先週は、前週末の10月雇用統計の結果を受けてドルが買われ、11月6日に123.27円まであったことで、引き続き年内利上げ観測からドルが買われる展開となるものの、上値は限定的で124円台としました。レンジを122~124円。
先週は11月9日(月)は123.5円のドル高・円安となりましたが、その後は欧米株安を受けてドル買いが伸び悩み1ドル=122円台でのもみあいとなって11月13日(金)の引け値は122.68円でした。
今週は13日のパリ同時テロを受けて週明けの市場ではリスク回避の円買いが高まりそうです。しかしアメリカの年内利上げ観測が高まっており円高は限定的となり、又、11月18日のFOMC議事録公開でさらに年内利上げの確率が高まればドル買い要因となります。但し、123円台では短期の利食い売りがアタマを押える可能性があり121~124円のレンジを想定。

為替11-16

配信元: みんかぶ株式コラム