米国、1年ぶりの利上げへ

著者:矢口 新
投稿:2016/12/15 20:03

更なる引き締め政策の可能性も示唆

米連銀は政策金利であるFFレートの誘導目標を0.25%引き上げ、0.50%とした。

7年と1四半期続いている今回の景気拡大局面での利上げは、2015年12月に続いて2度目となる。会合後の声明では、インフレ率上昇期待が「相当に」上昇したと指摘したほか、労働市場が引き締まってきているとの見方を示唆した。

FOMC参加者による利上げ予測中央値によると、2017年は0.25ポイントの利上げが3回実施されるもよう。前回9月会合後に示された予測中央値では、来年の利上げ予想は2回だった。また、トランプ新大統領の財政政策次第では、更なる引き締め政策の可能性も示唆した。

米金利の上昇を受け、ドル円は117円台後半にまで上昇している。

ドル円は9月末までにトリプルボトムをつけた形となっており、第4四半期入りからトレンドラインを上抜けた。10月以降は、米国で債券から株式への資金移動も始まっており、その勢いで日本株にも買いが入っている。そこに追い打ちをかけたのが、トランプ氏の大統領選勝利だ。ドル円ショートが急速にカバーされた。まだ、ドル円のロングを積み上げている時期なので、120円超えも視野に入ってきた。

先日、欧州中銀は量的緩和の延長を決めた。日銀が引き締めに転じる要素はほぼない。となれば、米金利と日欧との金利は、今後も拡大する公算が強い。

2016年は投機筋にとって、年末近くまで苦しい年だった。一気に取り返したところもあるようだが、もう一勝負して、ドルの上値がどこか、探りに行きそうだ。
配信元: 達人の予想