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投資家とは失望した投機家のこと:投機家とはなにか Part2

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前回は
・投機家への誤解とはなにか
・投機と投資はどう違うのか
という点についてご紹介しました。
http://minkabu.jp/blog/show/5229

今回はもっと具体的に投機家とはどういうものなのか見ていきたいと思います。

◆投機家はチャンスを狙う人。投資家はチャンスを待つ人◆

・投機家とは短期的な視点で知的なチャンスに情熱を燃やす人。
・投資家とは長期的な視点でチャンスを待つ人。

これも「投機学入門」で取り上げられている内容です。

が、本来は短期的か長期的かは関係ないと思います。
積極的にチャンスを狙うと、結果的に短期で決着がつく場合が多いと言うことではないでしょうか。

「ホトトギス」にたとえるなら
・「鳴かぬなら鳴くまで待とう株式投資」
・「鳴かぬなら鳴かせて見せよう株式投機」
字余り。
こんな感じでしょうか。

よくよく考えると株式投機の方はちょっと違っていて

「鳴きそうなその瞬間に株式投機」。

こんな感じかもしれません。


◆割安銘柄を買うのも株式投機◆

「自分は投資家であって投機家とは違うんだ」とおっしゃる方の中には、いわゆる「割安株への長期投資」を行っている方が多いようです。

が、必ずしもそうとは言い切れません。

PERやPBRを徹底的に調べ上げ、割安な銘柄を絞り込んでいる人も間違いなく「投機家」です。
当然ながらインカムゲインを積極的に狙うのも投機家。優待狙いも同じ。
長期だろうが何だろうが機会を積極的に狙うという限りにおいては、ということですね。

もちろん、短期より長期の方が「投資」のイメージが強いであろうことは否定はしません。

◆投資家とは失望した投機家のこと◆
前回、今回と「投機学入門」の考え方を取り上げて話を進めてきたわけですが、「投機学入門」ご紹介の最後として、少々辛辣な批評を引用しておきます。

--
投機のことを真剣に考えずにチャンスを逃したり、あるいはチャンスを認識できなかったり、あるいは本気にならなかったために、投機精神を持った人々に後れをとってきた人々はこの世にたくさんいる。そういう人が、「私は投機なんてキケンなことはやらないのだ」と自らをなぐさめる。
あるいは、うかつな投機をして失敗し、そのダメージのためにチャンスがあっても動けないでいると、「私は投資をしているのであって、チャンスに賭けるなんて賭博的なことはしないのだ」と自ら思おうとする。

だから、「投資家とは失望した投機家」なのだ。
--

自称投資家のみなさんすべてがそういう方だとは思いません。
また、僕自身もそんなふうに考えていた時期があったのも事実です。

僕自身は、ある人との出会いによってそういうやっかみのような感情を持つことはなくなりました。
本当にありがたい限りです。

「投資」も「投機」も両立しうるものです。
両方の考え方を尊重して、人それぞれの株式投資(投機)ライフを楽しんでいければ良いのではないでしょうか。


もしかしたら上記の引用部分だけだと誤解されてしまう面があるかもしれません。
この内容をより詳しく知りたい方は原著を読んでみてください。
示唆に富んだ良著だと思います。


次回は「投機学入門」からは少し離れます。

今回詳しく取り上げなかった
・投機とは社会を応援する行為である
・投機に対するいくつかの「誤解」について、それがなぜ「誤解」なのか?

こういった点に関してご説明したいと思います。



つづく


引用:山崎和邦氏著「投機学入門」
13件のコメントがあります
  • イメージ
    私のかなり偏った私見ですが、
    財・サービスの効用による生産物(配当・利子なども含む)を意識しながらあわよくば財・サービスの成長や一時的な値上がりによる値鞘も取ろうというのが投資家
    時価と本質(的)価値の乖離に目を付けるのが投機屋と考えています。
    でも、ヤマタネの株の繫ぎ売りの場合は両方の視線を持っている気もする。

    ……
    結果的に社会貢献ー市場の流動性の確保・公正化価格形成への貢献を果たしているものの投機屋は冷徹な功利主義者であるだけで正義でも悪でもないと思っています。
    ましてやサヤトリ屋はその最たるものだと思っています。
  • イメージ
    Tanpanさん
    2007/7/15 00:26
    今日私はタイミング良く「投資家」日記を書いてしまいましたねぇ・・
    あっ!でも、失望していない点においてまだ当てはまらないのかな?
    投機と投資・・どう違うんだろうという興味は有ります。
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    さ のさん
    2007/7/15 00:30
    123さん、コメントありがとうございます。
    (すみませんが省略させていただきました)

    >時価と本質(的)価値の乖離に目を付けるのが投機屋
    おっしゃるとおりでそういう点があると思います。

    実は次回のネタにも絡んでたりするわけですが「適正価格」を求めるのが投機家といえます。
    なので投資という側面を持っている人しか市場に参加していない場合バブルが簡単に生まれます。
    あるいはずーっ低迷相場となるかもしれません。

    ヤマタネ氏は両方の側面を持っているのかもしれませんね。

    というかですね、投機家は常に投資家なわけですから当然とも言えてしまうんですが。

    123さんのお考えになっている投資家と投機家の違いに則すと
    どうなのかは何とも言えません。
    空売りはやはり投機的精神に基づいている面が強いとは思うんですが。

    それから、投機家が冷徹かどうかは印象に過ぎないと思います。
    正義とか悪とかの定義もしないほうがいいのではないでしょうか。

    投資家も投機家も、
    ある人、ある時代から見れば
    正義にも悪にもなるでしょうから。

    戦争というものも常に正義の名の下に行われますしねぇ。
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    さ のさん
    2007/7/15 00:35
    Tanpanさん、コメントありがとうございます。

    遅ればせながら日記拝見させていただきました。

    僕としてはTanpanさんのなさっていることも投資であり投機であると思います。
    「投資」だけを意識している場合は、株価が上がるか下がるかは二の次どころか三の次だと思うので、ナンピン等はしないと思うんですよね。

    意識的に平均単価を下げるような行為というのはやはり投機活動であると考えます。
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    さ のさん
    2007/7/15 00:38
    すいません、自己レスです。

    >正義とか悪とかの定義もしないほうがいいのではないでしょうか。

    というよりも
    「正義とか悪とかの定義は難しいのではないでしょうか」
    と訂正させてください。

    正義が何で、悪が何かを考えることまで否定したいわけではないので。
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    しぶきさん
    2007/7/15 00:45
    投資と投機の違いについて、前回の日記以降、少々自分で
    考えたのですが・・・

    株価を追求する以上、投機という枠にどうしても引っかかって
    しまう。じゃあ株価を追求しないのが投資?であるなら、

    投資=出資

    と捉えてみては?と思いました。

    含み益、含み損は考えずに、事業を営むための資金として、
    お金を会社に出す。中長期で株をお持ちの方は、目先の株価
    はもはや気にならないと思いますし、そういう気持ちで保有
    している株は、純粋な投資と言えるのではないでしょうか。
  • イメージ
    Tanpanさん
    2007/7/15 00:50
    そう言えばそうですねぇ。 うんうん・・
    さのさんの軸がぶれていない日記はとても参考になります。
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    さ のさん
    2007/7/15 01:32
    しぶきさん、ありがとうございます。

    出資はたしかに投資という側面があると思います。

    が、将来の利益を考えている場合も多々あるので、あながち純粋な投資とは言いにくい面がある気がします。

    でもってそれでいいと思うんです。

    自分の利益が出ることを願って投機する、その結果社会になんらかの貢献ができる。
    そういうことは多々あるはずですので。

    日本を例に挙げると電力会社は投機活動の資金によって生まれました。

    世界的に見ると、
    投機によって株式会社が生まれたし、投機によってアメリカ大陸も発見されました。

    そういった変化を悪いことだと考える方もいるでしょうが、僕は比較的前向きに受け止めたいと思っています。
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    さ のさん
    2007/7/15 01:34
    Tanpanさん、ありがとうございます。

    僕の考えを極論だと受け止めちゃう方もいるんだろうなぁとは思ってるんですけどね。

    語源に立ち返れば特に極論じゃないことに気づいていただけるかと。

    逆に、最近の「投資」、「投機」にたいするイメージのほうが変な色で染められてしまってる面はあると思うんですよね。
    元来社会的によくないものだとイメージされがちな「投資」が、さらに悪いものを見つけるために「投機」という言葉を利用してしまっている感じがします。
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    思惑さん
    2007/7/15 07:49
    私の「投機」と「投資」の定義は以下のとおりです。

    マーケット(特に株式市場)は、「投資」を促進するために自然発生的に出来る「投機」の場である。
    お金を運用する人はすべて「投資家」であり、投資家同士がお金と株式に交換する場が株式市場である。
    ゆえに、「投機家」は存在しない。
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    さ のさん
    2007/7/15 09:46
    オニールさん、ありがとうございます。

    はい、お金を運用する人はすべて投資家ですね。

    で、ここから少々考え方が違うのは

    >ゆえに投機家は存在しない
    という考え方ではなくて、

    「投機家」はすべて「投資家」である。

    つまり「投機家」は「投資家」の部分集合である、という点なんです。

    「投資家」をより細かく分類したときに「投機家」というものがいるよね、っていうわけで。

    ちょうど、「雨」には「大雨」や「霧雨」があるのと同様です。
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    NGTNさん
    2007/7/15 11:12
    私のイメージだと、キャピタルゲイン狙いが投機でインカムゲイン狙いが投資、ですね。あまり深く考えたことはありませんが・・・。
    なんとなくですが、英語だと(investment or speculation)投機の範囲がもっと狭くなる感じがしますねー。私だけ?
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    さ のさん
    2007/7/15 11:55
    インカムゲイン狙いはたしかに投資と考えられる面も多いと思います。
    その多くが、「積極的に思索を重ねた上での行為」というわけではないからだと思います。

    speculationの意味には思索・推測の意味がありますね。

    なので英語においてもやはり、思慮を重ねた上での投資のことを「投機」と言っていると考えられます。

    「投資」が何も考えずに行っている行為といいたいわけではありません。その点には無頓着で、単純に(将来の利益を目的として)資本を投じているということです。

    以下は英英辞典のLONGMANから引用です。

    【investment】
    the use of money to get a profit or to make a business activity successful, or the money that is used

    【speculation】
    when you guess about the possible causes or effects of something without knowing all the facts, or the guesses that you make
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