jojuさんのブログ

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★通貨量、通貨供給量、為替操作、インフレ目標、中銀独立性

 最近まで日銀は、通貨供給量のGDP比の多さから日本の金融緩和は十分だった、と屁理屈をこねていました。

 こういう屁理屈をこねてまで金融緩和アピールをするのは、逆に言えば、これまでの金融緩和が不十分だったことを悟られたくないからであり、それを維持したい、という政治的な(不合理な、反国民益的な)思惑があるからです

 

 為替レートの挙動を決めるのは、通貨供給量(マネタリーベースの増大率)の各国差異です。

 例えば、米国の通貨供給量が低下トレンド(もしくは横ばい)にあり、日本のそれが上昇トレンドにあれば、ドル高円安方向に為替は動いていく。

 短期的にはともかく、中長期的には為替は通貨供給量に大きな影響を受けるのです

 で、金融のプロは当然それを熟知し、先読みで動くから、各国中銀の金融政策(通貨供給量等を差配する)が為替レートの挙動を支配することになる。

 

 一方、通貨供給量のGDP比は、通貨供給量とGDPで変化するので、デフレが続く国(GDP縮小傾向になりがち)では通貨供給量が少なくても、そこそこ高くなる。 逆にインフレ(GDP増大傾向になりがち)が続く国では、通貨供給量が大きくても、低めになりがち。

 つまり、通貨供給量のGDP比は、通貨供給量の多寡、金融緩和の多寡を誤魔化す指標にしかならない

 

 それと、通貨量の多さから日本の金融緩和は十分、という向きもありますがこれも間違い。

 通貨量は過去の通貨供給量の累積であり、それは既に現在の為替レートや景気状況に織り込まれている。 通貨量は、これからの為替レート挙動や景気動向(インフレ率)の主因ではない。 通貨量から今の金融政策を論じるのは間違い。

 バブル後の通貨供給量が不足気味だったり短期金利が高めだったりで、デフレ的状況が長く続いた国では、通貨量は無駄に多くなりがちなのです(退蔵資金が膨大化)。 

 

 

<政府の為替介入・為替操作は無意味、無駄使い>

 政府であれ、民間であれ、通貨量の一部しか保有していないわけですから、その動き(為替介入や貿易決済、投資資金の挙動)は、通貨量全体を差配する中銀の動きの前では、短期の小さい影響しか持てない。

 政府の為替介入・為替操作は税金の無駄使い、政府債務の膨張策と言われる所以です。

 投機的な動きへの対抗措置で為替介入する、と言って正当化する向きもありますが、そもそも投機的動きは民間資金の動きでしかない。 中銀の金融政策に相反してれば、一時的な動きにしかならず、経済への影響はほぼ皆無。 だから、投機的動きに対し為替介入するのもやはり、税金の無駄使いなのです

 

<適正レート化とインフレ目標>

 上記のように、為替は、各国中銀の金融緩和の温度差で決まる。

 ゆえに、国内経済が適度なインフレ(適度な経済体温)になるように中銀が通貨供給量を調整すれば、為替は自ずと(自国経済の実力に応じた)適正レートに収束していく。

 この点からも政府の為替操作(為替介入)は無意味と言える。

 政府がやるべきは為替操作でなく、中銀が通貨供給量を適正化してるか否かの監視、、つまりはインフレ目標政策です。

 中銀がインフレ目標をいつまでも達成できなければ、当然、中銀総裁のクビをすげ替えなければいけない。

 

<中銀の独立性>

 中銀の独立性はあくまでインフレ目標達成手段の独立です。

 そこは金融のプロたる中銀に任せるべきです。

 しかし、目標の設定や監視は国民に付託された政治家が行うべきことであり、政治家の目標設定の正しさは国民が監視すべきことです

 民主主義国では最終的な決定権者は国民であり、中銀も政府もそこから独立していいわけがない

 

 金融政策は国家経済、国民生活に最大の影響をもたらす政策です。

 全ての経済行為は、金融政策という太陽を中心に回る惑星に過ぎない。

 もし、中銀の独立性がインフレ目標設定にまで認められるならば、国は中銀官僚が支配する官僚統制経済国家になってしまう。 政治家がインフレ目標を設定出来ないならば、誰も中銀官僚の暴走を止められない。 これは国民益に大いにマイナスなのです(冒頭のような屁理屈をこねる中銀官僚ならば尚更)。

 

 

 

 

 

 

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2件のコメントがあります
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    jojuさん
    2013/1/27 13:04

    どうもです。

     

     各国からの批判というより、海外の少数意見を利用した国内反対勢力(日銀、財務省)からのけん制だと思います。

     日本のマスコミは官僚のぱしりですから、こういう小さいニュースも大々的に取り上げ金融緩和をけん制してるのでしょう。

     

     インフレ目標は純粋に内政問題で、各国と同じ政策を取るようにしただけなので、国際問題にはならないのです。

     なっても火消し、反論、無視は容易。

     

     ちなみに麻生氏の財政出動政策は逆効果で税金の無駄使いだと思います。

     彼は金融緩和についても財務省寄りの発言をしてますね。

     

     

     

     

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    富武 昇さん
    2013/1/27 12:25

    各国の批判に屈せず、麻生財務大臣とアベ首相は政策を形にしていますね。

    ヨーロッパからの批判が強く、英フィナンシャルタイムズは「日銀が通貨戦争を仕掛けてきた」趣旨の記事を書いています。

    日銀は、今までの失敗を反省して強い金融緩和を実施してほしいです。