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PER(株価収益率)について

ある銘柄がお買い得かどうか判断するのには色々な指標がありますが、多くの人が参考にするであろうPERについて書いてみたいと思います。ちょうど四季報も発売されたましたし、銘柄探しをしている人も多いでしょうから少しでも参考になれば。ちなみに私は金融工学をちゃんと勉強したわけじゃなく、経験から書いているところも多いのであまり鵜呑みにしないでくださいね。

・業種
まずその銘柄のPERが妥当かどうかは、同業種の平均的なPERと比べてみる必要があります。また、業種によって平均的なPERは異なってきます。
景気に敏感な業種はPERが低めのことが多いです。景気によって利益が変動するリスクが高いからです。具体的には、鉄、非鉄、海運、機械などですね。これらはPER15くらいだから割安、とは言えないでしょう。
電力、食料品、医薬品などのディフェンシブセクターは、不景気時でも安定して収益を出せるので景気に敏感な業種よりは高めのPERになります。これらはPER20くらいが平均ですね。
東証のサイトで業種別PERは見ることが出来るのですが、
http://www.tse.or.jp/market/data/per-pbr/index.html
これだと特殊要因でPERが変動しているところも含まれているので、これを見るよりもその業種の代表的な企業のPERをいくつかチェックするのが良いと思います。例えば、海運だったら、日本郵船、川崎汽船、商船三井あたりのPERを確認して、平均的なPERはどのくらいか把握します。

・時期・環境
これから景気の山を登っていく(成長していく)と思われる場合はPERは高くなり、これから景気の山を下っていくと思われる場合はPERは低くなります。例えば、ダヴィンチなどの不動産流動化関連は、2005年後半にはPER50くらいまで買われましたが(新興バブルのせいもあったでしょうけど)、今はPER10以下になっています。大手海運も以前はPER10くらいで今はPER15超えくらいになっていますが、新興国の景気がピークアウトして運搬量が減り運賃も下がってくれば、またPER10くらいになるかもしれません。景気の波や相場環境によって同じ業種でもPERは変わってきますので、以前のPER水準にこだわるのは危険です。

・成長力
基本的に、高い成長力をもつ企業ほど高いPERまで買われます。将来の利益を織り込みにいくからです。情報通信の高成長企業は高いPERになる傾向がありますね。

・テーマ性
原発関連、水関連などのテーマ性を持っていたりするとPERが高くなる傾向があります。

・企業規模
大型株よりも小型株の方がPERが低い傾向があります。これは、企業規模が小さい方が収益の安定性が低いとみなされるのと、市場における株式の流動性が低いからだと思われます。小型株だと、PER10以下の銘柄がゴロゴロしていますが、それらがいずれ同業種の大型株と同じ水準まで買われるかというとその可能性は低いと思います。特にライブドアショック以降、機関投資家が小型株を買わなくなった印象を受けます。会計不信もあるでしょうけど、ストップ安連発で売れなかった経験から流動性の低い小型株は投資対象から外している感じです。

・特別利益/損失
特別利益/損失によって当期利益が大きく変動するとPERが参考にならなくなります。その場合は、経常利益の60%を仮想の当期利益とみなしてPERを計算すると良いでしょう。ちなみに大手銀行はほとんどが法人税を払っていないので、PERは参考になりません。

・長期金利
長期金利が高いとPERは低くなります。「イールドスプレッド」で検索すると色々と出てくるので、興味のある方はどうぞ。日本国債とのイールドスプレッドから日本株は割安だ、という意見もありますが、日本国債は異常な低利回りですし、外国人が売買の7割を占める市場なので比較するなら米国債と比較したほうが良いでしょう。

・国
新興国の場合、長期金利が高いためか、カントリーリスクが高いためかわかりませんが、PERが低い傾向にあります(勿論、高成長企業はPERは高いです)。また法人税率の違いも考慮したほうが良いでしょう。法人税率が低ければ当期利益が増えるのでPERも低くなります。


理論株価を求めるには、DDM(Dicounted Dividend Model 配当割引モデル)やDCF(Discounted Cash Flow)といった方法があります。計算式をみると、どちらも分母にリスクに関するパラメータ(リスクプレミアム)が入るので、リスクが高いほど理論株価は(PERも)低くなるというのがわかるかと思います。そのリスクは、収益変動リスクであったり流動性リスクであったり倒産リスクであったりするわけです。リスクプレミアムは結局、えいや!で決めなければならないので、絶対的な理論株価は出ないのですが、その銘柄にどんなリスクがあるのかを考えていくとPERによる銘柄選びも精度が上がっていくかも知れません。DDMやDCFについては以下のサイトが非常に参考になりますので興味のある方はどうぞ(一部、お下品な記述もあります)。

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/15887378.html
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/50544228.html
(上のURLはこのページだけではなく、バリュエーション講座①-⑪まであります。)
6件のコメントがあります
  • イメージ
    Tanpanさん
    2007/9/15 20:54
    (一部お下品な・・)につられて即クリック!!
    SV(セックス・バリュー)・・おぉ・・!!  妙に納得・うんうん・・
    他も全部見ましょ!!(^^)
    いつも優良?なサイトを紹介してくださってありがとうございます。
  • イメージ
    NGTNさん
    2007/9/15 21:27
    Tanpanさん!お下品な箇所見つけるの早いですよ!

    この人は外資系投資銀行で働いていて、最近本も出してます(ブログのトップページから著書へのリンクが貼ってあります)。職種は多分クオンツで、頭のいい人だと思います。
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    Tanpanさん
    2007/9/15 21:54
    でしょうねぇ・・
    でなければ経済学系の人か・・って思いました。
    専門分野で計算式まで出すのは相当頭の中でこなしていないと出来ませんから。
    本も出してるんですねぇ。
    「金のなる木の値段とか」他の講座も面白かったです。
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    NGTNさん
    2007/9/15 22:21
    説明がわかりやすいですよね。配当割引モデルは他のところで読んだ時はよくわからなかったのですが、ここの説明でイメージが掴めました。
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    Tanpanさん
    2007/9/15 22:30
    そうそう・・
    私のような素人は理論はともかく「イメージ」として理解できることが大事ですね。
    もちろん実践で生かせるかどうかは・・**
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    NGTNさん
    2007/9/15 22:59
    PERでの割安割高も結局なんとな~くの相対評価ですし、PBRやEV/EBITDAなどの他の指標もありますし、あとは経験でしょうね。
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