「再生医療のグローバルリーダー」を目指すサンバイオとは?
サンバイオ株式会社
2013年(創業は2001年・米国)
細胞治療薬の開発・製造・販売
24億96百万円
29名(2025年1月現在、連結)
〒104-0044 東京都中央区明石町8-1聖路加タワー13F
サンバイオ株式会社(4592)
https://www.sanbio.com/サンバイオ株式会社は、2001年に「日本発の再生医療を世界に届ける」という構想のもと、アメリカ・カリフォルニア州で創業しました。2013年に日本法人として再編され、現在は東京・中央区に本社を置き、29名の精鋭チームで研究開発を中心に製品化や供給体制の構築などの取り組みを一貫して進めています。
同社が注力しているのは、事故や病気によって損なわれた脳や神経の機能を、細胞を活用して回復させるという再生医療の分野です。外傷性脳損傷のほか、脳梗塞、脳出血、アルツハイマー病など、従来の医療では対処が難しかった中枢神経系の疾患を対象としています。
根本治療がまだない中枢神経系疾患
2024年7月、世界初となる脳の再生を促す細胞治療薬について、厚生労働省より条件及び期限付き承認を取得しました。現在は、承認条件のひとつをクリアした上で、実用化の一歩となる、出荷可能な状態を目指しています。
さらにサンバイオは、日本国内での普及に取り組むと同時に、創業の地である米国市場への再参入にも動き出しています。外傷性脳損傷を対象とした臨床試験については、FDA(アメリカ食品医薬品局)との協議を再開。脳梗塞についても日米で臨床試験実施に向けて準備を進めています。
米国事業の再始動の背景
今回は、創業以来同社を牽引してきた森敬太社長のインタビューを通して、世界初の治療薬誕生の舞台裏と、グローバル展開にかける想いに迫ります。
「クレイジーな挑戦」を実現するまでの道のり
御社の強みはどういったところにあるのでしょうか?
当社は、創業以来25年間にわたり、脳の再生を目指した細胞治療の開発に取り組んできました。そしてようやく2024年、世界で初めて「脳の再生」という分野において、新薬の承認を取得することができました。
当社は、こうした新薬を保有する世界で唯一の企業であり、この画期的な細胞治療薬を自ら開発・事業化できることが大きな強みであると考えています。
素人目にも非常に困難に見える分野ですが、これまでどのように取り組んでこられたのでしょうか?
日本はもちろん、アメリカでも「クレイジーだ」と言われるほど、無謀な挑戦だと受け取られてきました。実際、今からおよそ100年前にノーベル賞を受賞された著名な先生が「大人の脳は再生しない」と明言しています。そんな「不可能」とされてきた領域に対して、当社は挑み続けてきました。
100年来の常識を覆す「脳の再生」への挑戦
「世界初の治療薬」普及へのこだわり
そんな不可能と思われてきた「脳の再生」を実現する世界初の治療薬が、いよいよ実用化を迎えるというタイミングです。これまで決して平坦ではなかった道のりを経て、ようやくここまでたどり着かれたわけですが、今後この治療薬がどう普及していくのか、その展望についてぜひお聞かせください。
当社は、「普及」という点には非常に強いこだわりを持っています。脳の再生という新しい医療分野を築くにあたっては、何よりも多くの患者さんに治療を届けることが重要だと考えており、それを創業当時から常に意識してきました。
他家細胞治療薬の開発アプローチ
少し専門的な話になりますが、再生医療には「自家移植」と「他家移植」という2つの方法があります。「自家移植」は患者さんご本人から細胞を採取し、それを戻す1対1の治療です。一方、当社では、健康なドナーの方から提供された細胞を使い、これを大量に培養して細胞治療薬として製造する「他家移植」を採用しています。これにより、より広く普及させることが可能になります。
今後の展開ーー脳梗塞へのチャレンジと米国展開
現時点では慢性期外傷性脳損傷での条件及び期限付き承認を取得した段階ですが、今後の展開については、どのようなビジョンをお持ちでしょうか?
この薬のメカニズムとしては、損傷した脳組織を再生させ、麻痺の改善や機能回復を促すことを目指しています。たとえば脳梗塞や脳出血、アルツハイマー病などの治療に役立つ開発も計画しています。
直近の進捗 今後のエリア/適応疾患拡大
- ※1 慢性期
- ※2 自社開発又はパートナーリング等のオプションを検討
なるほど。悩みを抱えるより多くの患者の方々の役に立つ可能性が広がっているということですね。
その通りです。そして、今回の承認は日本国内ですが、当社はもともとアメリカで創業した企業でもありますので、世界最大級のバイオ市場であるアメリカでの展開は非常に重要だと考えています。実際に、原点回帰をして米国での活動も再開をしたところです。
決算説明資料でも、アメリカ市場に向けた取り組みが強調されていましたね。やはりアメリカの方が市場規模が大きい分、成長性もより期待できるという見方でよろしいでしょうか?
そうですね。バイオテックとしてはアメリカでの展開が重要だと考えています。
日本で25年間にわたって研究を積み重ねてきた成果がいよいよ実を結び、今まさに世界展開のスタートラインに立っている、そんなタイミングということですね?
そういうことになります。当社は再生医療を推進しようという政府の方針のもと整備された法律や制度を最大限に活用し、日本でいち早く承認を取得することができました。これを活かしてアメリカをはじめとするグローバル市場への展開を進めていく、そんな戦略を描いています。
バイオベンチャーへの投資はリスクがある?
聞きにくい質問になってしまうのですが、個人投資家の中にはバイオベンチャー企業に対して「赤字が続いている」といった印象を持たれる方もいらっしゃいます。専門知識がないと、リスクを感じたり、投資判断が難しいと感じる方も多いかと思います。
そうした方に向けて、社長として「こういう視点で見てもらえるといい」というアドバイスがあれば、ぜひ教えていただけませんか?
そうですね。ご指摘の通り、バイオベンチャーの多くは売上が立つ前に研究開発費に多くの資金を投じるというところで、財務諸表で推し量るのは難しいところがあります。
そういった中で、プロの投資家の方々が注目しているのは、「開発中の製品が将来どれだけ大きなインパクトをもたらすか」、そして「どれだけの患者さんに、どれほどの効果を届けられる可能性があるか」といった点です。そのうえで、「その成果がどのくらいの確率で、どのくらいの時間軸で実現されるか」を見積もって、投資価値を判断しているのだと思います。
ありがとうございます。その目線で見ると、今回のサンバイオさんの「世界初の脳の治療薬」がどのようなインパクトをもたらすのか、投資家の方にはしっかり見守っていただきながら投資を検討していただくのがいいのかなと感じました。
日本発の再生医療技術を世界へ
それでは最後に、個人投資家の皆さんへメッセージをいただけますでしょうか。
当社は創業以来、「再生医療のグローバルリーダーを目指す」と言い続けてきました。昨年、世界初となる脳の細胞治療薬について、日本で条件及び期限付きの承認を取得することができました。これから、日本の患者さんへ確実に届けるために取り組んでいきます。
同時に、創業の原点であるアメリカにおいても臨床試験の準備を始め、FDAとの協議も始まっています。さらには、脳梗塞など他の中枢神経系疾患への展開も視野に入れています。これらを着実に進めることで、5年後、10年後には、私たちの治療薬を日本(の患者さん)だけでなく、世界中の患者さんに使っていただきたいと考えています。